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次の日。
いつも通り、学校に向かって、教室に入った俺。
そんな俺の前にある人物が視界に入った。
それは、原田 美玖さんだ。
なんだか、原田さんはやたらと機嫌がいい。
「美玖ーなんだか機嫌よさげだけど、なんかいい事でもあったのー?」
「うん、ちょっと……」
顔を赤くし、恥ずかしがる原田さん。
その様子に、島崎さんと小林さんは、ますます興味を示す。
「なになに教えてよー」
「じ、実は昨日、白馬の王子様に昨日助けられたの!」
顔を真っ赤にする、原田さん。
それ対して島崎さんと小林さんは興味深々だ。
「へぇーどんな男だったのよ?!」
「それは超ーイケメンで、とても強かったの!」
「それでそれで、そのイケメンとはどこで!」
「それは、あの行列のできるカフェで」
「どういうシチュエーションだった!?」
「わ、私がナンパされているときに……」
なんだか、小林さんの会話。
俺が昨日遭遇した話と、とても似ている。
けど、偶然に違いない。
だってあの彼女は、小林さんとは違う印象をしていた。
それに俺は強くない。
だから偶然だ。
「はぁ~、また、あのイケメン君に会いたいなぁ~」
と言う感じでギャル達は会話を弾ませる。
それは悪くないことだが……
それよりも俺の席からどいて欲しい……
すると、俺に気づいた小林さんが俺を見た。
「ねぇ、美玖。もしかして、美玖が出会ったイケメンて……こんな奴だったりして……?」
そう言って小林さんはニヤニヤしながら俺を指さした。
一応言っておくが、これは悪ふざけで言っている。
「ねぇ楓。いくら、友達だからと言って、言っていいことと、悪いことがあるんじゃないのかな?」
原田さんは笑みを浮かべている。
けどそれとは裏腹にどこか怒りの感情も見える。
しかもその被害は俺の方まで来た。
「あんたも、楓にイケメン呼ばわりしてくれたからって、調子に乗るなよ」
睨みつけてきた原田さん。
そこからは、殺気のようなものを感じる。
よっぽど、そのイケメンさんに惚れているだろう。
まぁ、そんな事よりも……
「あ、あの小林さん。そこどいてくれるかな?……」
ギャル集団は俺の席を占領している。
それはリーダーである島崎さんと席が隣同士だからだ。
「はぁ?どいてくださいだろ?なに馴れ馴れしくため口なんて使ってるんだよ」
俺の机を蹴った原田さん。
だぶん、小林さんの言葉がかなり気に食わなかったのだろう。
今日の原田さんはいつもよりもきつく八つ当たりをしてくる。
そのおかげで今日の原田さんは俺に対する扱いが酷かった。
時には、「パンを買ってこい!」と言われ、パシリをされては「また、そんなエロ本を読んでいるのかよ!」と言われ、ラノベを放課後まで隠されてしまう始末だった。
放課後――
「はぁ……疲れた……」
今日もへとへとになりながら、学校の門をでた。
すると背後から、ツンツンと肩を叩かれた。
そして聞き覚えのある声が……
「結城君。よく、堂々と学校から出てこられたわね……」
ヤバい…… 昨日、恵理を放置して、帰ってしまったことすっかり忘れていた……
俺は恵理がいるほうを振り返る。
「え、恵理さん……」
恵理は満面な笑みを浮かべている。
けれど、俺の腕を掴む手は、もの凄く力が入っている……
もしかしてこれって……
「覚悟?出来ているよね?」
そう言った恵理は、俺の腕を捻り始まる。
そして……
ご想像におかませします。
こうして、今日も散々な一日を過ごした白金結城。
一体、いつになったらまともな生活を送れるか……
次回に続く
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