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俺は今、一葉から告白を受けた。
それも、文化祭と言う大きなイベントかつ、クラスメイトがいる前で……
だがこれは一葉が仕組んだと思われる告白
俺に告白を断らせないための告白……
すると一葉が俺の手を握り、俺を見つめた。
そして、こう言った。
「そろそろ返事、教えてくれないかな」
と一葉は俺を急かしてくる。
俺が考える時間を減らし、自分の思い通りにさせるつもりだ。
可愛い顔して、やっていることは悪魔だ!
だが、このまま一葉の思い通りにはさせない
俺は頭をフル回転させて考える。
けれど、こんな短時間で、いいアイデアが思い浮かぶはずがなかった。
なので俺は一か八かの勝負に出ようとした。
そんな時。
「ちょっと待った!」
とそこにある人物が現れた。
それは……
「末永さん!」
驚く一葉。
末永さんは俺の前に立つとこう言った。
「白金君!以前から好きです付き合ってください!」
と告白をした末永さん。
そんな末永さんの告白にクラス中が騒めく。
まぁ、無理もない、学年の中でもトップクラスで美少女である末永さんの告白なのだから。
いや、そんな事よりもマジでどうしよう!
末永さんの告白。
それはとても嬉しいことだが、末永さんとは付き合えない!
俺みたいな陰キャより、末永さんにはもっといい人を見つけて欲しい!
それと、どうして俺が好きなのか分からない!
特別末永さんと親しい中でもないのになぜ、俺なのか全く分からない!
と他にも末永さんと付き合えない理由があるが、以下の理由で末永さんとは付き合えない!
が参ったもんだ。
このまま両方の告白を拒否したら、百パーセントクラスの反感を買うのは目に見えている。
こんなクラスの前で大きなサプライズをさせておいて告白を断るとか、あり得ない状況下だ。
だが、一葉の告白は絶対に断る!
一葉の思い通りにはさせない!
そうなれば……
あぁ!もう仕方がない!
「す、末永さん。よ、宜しくお願いします……」
「えっ、本当にいいの?!」
と俺を見つめる末永さん。
後で、告白を断るつもりだが、なんだか物凄く言いづらいし、今俺の胸はとても痛い。
だけど、これも一葉を思い通りにさせないための必要な犠牲だ!
と思いながら俺は末永さんにこう言った。
「うんいいよ」
「ありがとう!白金君大好き!」
と言い、末永さんは俺に抱きついてきた。
末永さんは心の底から嬉しそうだ。
まずい……これでは、ますます末永さんに本当の事を言えない。
一方、告白に敗れた一葉はこう言うのであった。
「ふ~んそれが、結城の答えなんだ……」
と言い残し一葉は立ち去るのであった。
そして、俺は末永さんにテンションに流される形で、デートの約束をしてしまうのであった。
ある日の休日。
俺は今、末永さんに言われた駅前で待っている。
「お待たせ!」
と秋らしい服装で現れたのは末永さん。
制服姿の末永さんも可愛いが、私服姿の末永さんは天使!
「どうしたの?白金君」
「いえ、別になんでも無いですよ」
しまったつい、末永さんの美しさに見惚れてしまった……
俺は慌てて末永さんから顔を反らせた。
末永さんを見ていると、虜になってしまいそうで、ある意味危険だ。
と思っていると末永さんはニヤニヤしながらこう言った。
「ふ~ん、白金君嘘ついているでしょ?絶対何か隠しているね~?」
と言い、末永さんは俺に顔を近づけじっと見てくる。
その距離は末永さんの吐息が聞こえる!
「いや、別に……」
「絶対嘘!ほら隠さないで教えて」
と言い末永さんは俺の耳元に息を「ふぅ~」と吹き込む。
その瞬間、俺はすべての力が抜けそうになる。
「それで、何を隠しているの白金君」
「べ、別に」
「ならもう一度、やっちゃおうかな」
と末永さんが俺の耳元に近づいてくる。
「わ、分かった教える!」
と言う事で俺は末永さんに「今日の服に合っている。とても可愛い」と言った。
すると、末永さんは満面な笑みを浮かべこう言った。
「ありがとう!」
今までの中でも一番を争うほど素敵な笑顔を見せた末永さん。
その姿に俺はつい見惚れてしまうのであった。
「白金君、手握って」
「う、うん」
俺は末永さんの手を優しく握った。
末永さんの手はとても暖かく、柔らかい。
「末永さん、今からどこに行く?」
「そうだね……」
と言い、末永さんが連れてきた場所はちょっと意外な場所だった……
「末永さんはこう言うの好きなの?」
「うん」
末永さんが連れてきた場所それは……
「白金君もアニメ好きだよね?」
とにっこり笑った末永さんに俺は頷いた。
しかし、末永さんがアニメ好きだとは……
「わたしね、最初はアニメに興味なかったの。だけどね、ある時ふっと思ったの。好きな人がはまっているアニメの世界ってどんなもんだろと思って……そしたら、私も知らぬ間にはまってしまってて」
と笑う末永さん。
そんな末永さんに対して、俺は恥ずかしさを覚えた。
なぜなら末永さんが言った好きな人。
それはつまり俺のことで間違えないだろう。
末永さんは意識して言っているのかは分からないが、こうもストレートで言われると、なんだか恥ずかしい。
と思う場面もありながらも、俺は、末永さんとアニメショップを回った。
普段からよく、来ているアニメショップで大体店内もわかるが、俺は今、末永さんに手を握られ、あちらこちら、振り回されている。
「白金君見て、今期のアニメコーナーだよ!」
「見てみて白金君!」
「白金君はこの声優さんは好き?!」
と末永さんは、まるで小さな子供のようにはしゃいでいる。
その姿がまじで、可愛い~
「ねぇ、白金君!向こう行ってみようよ!」
「う、うん……」
だけど、恵理や一葉といる時よりも疲れるなぁ……
と思っていたが、この時間がとても幸せな時間だった。
けれど、そんな時間もあっという間に過ぎた。
「今日はありがとう白金君」
「うん……」
どうしよう……このまま黙って末永さんを帰して良いのだろうか?
もし、このまま帰せば、今日はめでたくハッピーエンドで終わることができる。
だが、この機会を逃せば末永さんにだんだんと言えなくなる。
きっと嘘の返事をした事を沢山後悔する日が来るかもしれない。
だからここで腹を括るべきかも知れない。
そう思った俺は勇気を振り絞り、末永さんに話しかける。
「す、末永さん」
「どうしたの?」
俺は一呼吸をし、こう言った。
「実は大事な話がある」
俺は覚悟を決めた。
「俺と別れてくれないかな?」
読んでくれてありがとうございます!
次回も宜しくお願いします!




