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2  デートでの道中

俺は今、恵理と手を繋いで街中を歩くことになった。


一応言っておくが、これは俺の意思で手をつないでいるわけではない。


どう言うわけか、恵理が強引に手を繋ぎ始めたのだ。


「ねぇ、結城。今日はどこ行きたい?」


あの……恵理さん。先程、「私と付き合いなさい!」と言っていましたよね……


もしかして、特に目的もなく誘ってきたのですかね……


だとしたら、とんでもなく、迷惑なんですけど!


とか思いながらも、俺は恵理の会話に合わせる。


「そうだね……」


楽しそうな恵理とは違い俺はこう思っている。


どこも行きたくない!


早く帰らせろ!


と言うのが本音。


前にも言ったが、こんな美少女と一緒に出歩いてる時点で、俺にとっては地獄の時間だ。


まだ、人通りが少ないところを歩いているから、目立たないが、人通りが多いところを歩けば注目度ナンバー1に間違えない。


俺みたいな陰キャと、まるで、光を放っているような陽キャ美少女が手を繋ぎながら歩くなんて、おかしな光景だからな!


あー嫌だ!離れたい!


すれ違う人の視線が気になって仕方がない。


みんな、俺たちをどんな目で見ているのか?


みんな俺達を見てどう思っているのか?


後、同じ学校の奴らはいないだろうか……



こんな光景を、同じ学校の生徒に見られたら、もう俺は!


恵理のせいで、明日から学校の注目の的になっているかも知れないし、もしかしたら、明日から、男子全員に殺意の目を向けられるかも知れない……


そして、もしかして、男子生徒の嫉妬により、虐めを受けている……なんて、事も!


だけど、楽しそうに、俺の横を歩く恵理に「帰りたい!」なんて場を壊すような事は言えないなぁ……


とりあえず、人が少ないところをチョイスして、みんなハッピーエンドで終われることろをチョイスしよう。


となると……ここしかないだろう


「そ、そうだ!とりあえず、アニメショップに行かない?ほら最近、新しいアニメのグッズが出たじゃん!ほら恵理が好きな……」


俺と恵理はアニメが好きだ。


昔から、テレビで見たアニメの話で盛り上がって、気づけば、高校になっても、恵理とアニメの事で、意気投合していた。


だから、アニメショップは俺も恵理もハッピーになれる場所だ。


それに、俺の学校にアニメが好きな人は、あまりいないからうってつけな場所だ。


まさに一石二鳥!


「あっ、ごめん。そこは最近行ったばかりだから却下。それにグッズならもう買ったから」


「ほらね」と鞄につけている、最新のアニメのキーホルダーを見せてくれた。


こうなれば、恵理と行ける所が少なくなる。



「ねぇ、結城。私、カフェに行きたい。ほら、最近出来てテレビでも取り上げられているところ」


確か、全国テレビで紹介され、今若い人に人気があるカフェ。


個性的なメニューが豊富で○○スタで映えると聞いたことがある。


俺は全く興味ないが、そう言うのも好きな恵理が、行きたくなるのも分かる。


けどあそこは駄目だ。


人が多すぎる。(陽キャばかり)


目立つ。


みんなキラキラしていて陰キャの俺からすれば、息苦しい空間だ!


それに同じ学校の生徒に遭遇する可能性が大きくある。


以上を持ってカフェは拒否することにする。


「でも混んでいるかも知れないよ!それに同じ学校の生徒と会って俺みたいな異性といると変な勘違いされるよ!だから、諦めようよ!」


我ながら完璧な口実だ。


これで諦めてくれる!


そう思ったが、恵理は首を横に振る。


「別に私は平気。だって結城だもん」


と満面な笑みを浮かべた恵理に心を打たれた俺。


とかではなく、あんなキラキラしている所は、死んでもいきたくない!


ここはなんとしてでも他の場所へ!

無理やり知恵を絞る。


「そ、そうだ!ゲーセンはどうかな?!」


「それも最近行った!」


「じゃあ、近くの本屋さん!」


「それも行った!」


「じぁ!……」


「もういい!カフェに行く!はい!決定」


強引に俺の手を引っ張り歩き始める恵理。


「ちょ、ちょっと待って!」


「待たない!カフェに行く!」


子供のように言うことを聞かない恵理。

こうなったら、「行く」と言った恵理を止められない。


なにせ、恵理はやる!と言ったら、やると決める頑固な性格をしている。


なので、こうなった恵理は止められない。


だから、俺は新しい秘策をここで使う。


それは……


「はぁ……そこまでする必要はないと思うけど……」


「別に良いだろう!……」


俺は普段から眼鏡をつけている。


だけど、今だけはコンタクトをつけることにした。


そうすることで見た目はガラッと変わる。


これで同じ生徒と会ったとしても俺だと気づかれる可能性はなくなる。


「じぁ行こう!」


「うん」


恵理が手を伸ばしてきた。


本当は手を繋ぐようなことはしたくないけど……


「はよ……」


睨まれた以上、手を繋がないといけない雰囲気。


空気を読んだ、俺は恵理と手を繋いぎ、カフェに向かった。


だが、この後あんなことが待ち受けているとは思ってもいなかった……





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