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俺は今、ピンチである。


どうするべきだろうか?この状況。


逃げようにも逃げ場はない。


なぜなら、目の前にいる末永さんが、俺がビーフシチューを食べるのを待っているからだ。


「ほら、食べて」

「う、うん……」


いや食べれないわけないだろ!


そもそも、この学校の美少女に食べされてもらう事態がヤバい。


周りには他の生徒もいる。


しかも、俺達は他の生徒に見られている。


この環境に対して、末永さんはなんとも思わないのか?


俺からしてみれば、公開処刑みたいなもんだぞ!


「どうしたの?食べないの?」

「あっ、うん。食べる食べる」


なんて言ったが、本当に食べて良いのだろうか?


この状況で、末永さんに食べさせて貰ったら…俺は、晴れて男子……いや、女子達からも敵視される可能性がある。


それに末永さんが今、持っているスプーン。


そのスプーンは、さっき、末永さんがビーフシチューを食べた時に使ったスプーンだ。


もし、このスプーンが口に入ったものならば……


考えるだけで恐ろしい。


「ほら、ほら早く食べないと、私が全部食べてしまうぞー!」


一層、それでも良い。


末永が食べさせようとしてくるビーフシチューは受け取らない。


それは大前提だ。


ならば、ビーフシチューは諦めるしかない。


そうなれば、あの手が一番いいかも知れない。


「あいたたた……」


「白金君。どうしたの?」


「うん、ちょっとお腹が……」

「えっ、大丈夫?」


「うん、大丈夫だと思うけど……今日はそのシチュは食べれないや。良かったら全部食べて」


「えっ!ちょっと!」


と言う口実をつけて、俺は末永さんから逃げるように食堂を後にすることができた。


我ながら完璧な口実だ。

たが、せっかくのチャンスと、高いお金を払って食べようと思ったビーフシチューは犠牲になってしまった。


本当は末永さんに、「あーん」されて、ビーフシチューを食べてみたかった!


あー心残りだ!


さよなら、末永さん!そして!幻のビーフシチュー!


だけど、これでいいんだ!


末永さんが喜んでくれたし、末永さんも俺もハッピーエンドを迎えることが出来た。


だから、ビーフシチューの犠牲は無駄ではなかった。


――教室――


やばいどうしよう……


最初、俺は教室を見てそんなことを思った。


理由は、またしても島崎さん達が俺の席も占領していたからだ。


俺の机には小林さんが俺の机に乗っている。


そして、俺の机に沢山のごみが置かれている。


いつもそうだ。


俺が少し離れば、俺の場所を奪ってギャアギャアと騒ぐ。


そして、酷いときには、あの人達が散らかした後片付けもしたければならない。


どれもこれも、はっきり物事を言えない俺が悪い。だけど、人の机だからやめてほしい。


俺は作り笑いをしながら小林さんに言った。


「小林さん、そこどいてくれるかな?」


結果は分かっている。


どうせ、どいてくれないに決まっている。


この間、俺は手が震えて仕方がない。


なぜなら、なにが待ち受けているか分からないからだ。


もしかすると、島崎さん達に対して歯向かった罰として、リンチされることもあり得る。


だけど、今日は違った。


「ほら、今日だけは返してあげる」

「おぉー優奈優しいー!」

「良かったねーキモオタ君」


よ、良かったのか?……


そう思いたけれど、明らかに様子がおかしい。


島崎さん達を見ると、ニヤニヤしながら俺を見てくる。


絶対に裏がありそうな雰囲気をしている。


すると、島崎さんが俺に近づいてくる。


そして、俺の肩を組み、こう囁いた。


「ちょっとキモオタにお願いがあるんだけど……」


島崎さんのお願いの内容を聞いて俺は頭が真っ白になった。


「えっ、む、無理だよ……」


だってこんなお願い……


俺の学校生活は終わる……

 











読んでくれてありがとうございます!

次回もよろしくお願いいたします

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