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黒の止まり木に金は羽ばたく  作者: 月圭
魔王執務室編
186/254

会話は一人ずつお願いします


「まて」

「何~?」

「ミコトさんがなんだって?」

「神さま~」


 思わず真顔で聞き返してしまったが、どうやら騎士団長の幻聴という可能性は否定された。

 どういうことだ。


「あれか、精神的なやつか。お前らにとっての神様的な」

「やっぱバカだろあんた、神は神だよ、あんたにとっても、俺らにとっても」


 騎士団長のこの反応は馬鹿と評されるような愚行なの? 知人が神様ですと突然言われてなるほどと納得する方が頭がどうかしてない? 手遅れじゃない?


「わからん、どういうことだ」

「一度で理解せんどころかここまで頭の中身が可哀想だとは思わなかった。本当にこやつでいいのか?」


 呆れたような物言いで首を振るヤシロには腹が立つこと山の如し。


 しかしその疑問は非常にいいと思う。そのまま騎士団長を『ミコトは神様です』と主張するちょっとどころでなく恐怖を覚える集団に引きずり込むという決意をなかったことにして何事もなかったかのように騎士団長を寝床に返してくれないかなお願い。


「仕方ないよ~。決めたのミコトだしねえ。それに俺も、騎士団長なら大丈夫だと思うし~」


 その信頼に騎士団長は色んな意味で泣きそうです。


 なんなの? その信頼にこたえて騎士団長は「ミコト=神」を信じるしかないの? 本当の事しか言わない自由人に言われた時点で崖っぷちなのに、さらに追い詰めてくるの? もうつま先立ちで今にも真っ逆さまなんだけど、実は落ちた方が楽になれるの?


 悪魔の誘惑!



 …………。










「……………………………………わかった」


 騎士団長は、諦めた。


 そして。


「ていうか、え? マジで?」

「「「マジで」」」

「三重唱はやめて。今の状態で? 紛うことなく?」

「もちろんな」

「今の状態で~」

「紛うことなどない」

「区切って言えとかいう事じゃねえよ」


 なんなの、仲良しを見せつけてるの?


「というか、貴様には一度似たような話をしただろうが。忘れたか」


 鳥頭が、と真っ白な自由人に罵られたんだけど、そんな話しただろうかと騎士団長は頭を悩ませる。

 すると瞬間彼方からふわりと去来したのは。


 ――『そこまでして何故人形を』

 ――『ミコトだからだ』

 ――『ミコトさんだからですか』

 ――『偶像崇拝だ』

 ――『神!?』

 ――『似たようなものだ』

 ――『ミコトさん実在してます』

 ――『現人神という言葉がある』

 ――『現人神様の許可は』

 ――『ミコト嫌がるだろう』

 ――『分っているくせに実行するという』

 ――『だって経済効果が』


「……………あああああああああ」

「思い出したか」


 うむとか頷いてるけど、おい。おい。




「……っ正真正銘現人神!?」




 まさかの。

 まさかのっ!?


 血を吐くような騎士団長の叫びに、しかし自由人三人は非情だった。



「「「だから、そうだといっているだろう」」」



 三重唱はやめて。










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