応えましょう
異端で、異質で、異常で。
……良くも悪くも、『特別』な彼ら。
ひとりは、さびしい。
彼らが彼等でなかったとして、きっと、その孤独に耐えられるものは、少ないだろう。
その会話は、確かに騎士団長もよく覚えていた。
が。
ここでなぜそれが出る。
あれか、『理解できないものを怖がらない』騎士団長はしれっと『人』という生き物の枠から外れているとディスっているのか。
きわめて心外である。
違います。
ちゃんと怖いです。
頑張って発言しているだけです。
今に至っては疲労困憊で意識がもうろうとしているだけです。
すなわち騎士団長はいたって正常な感覚の持ち主です。
ので。
騎士団長、もちろんそれを主張してみた。
と。
「あはっ、やだな~、何言ってるの~? 大丈夫~?」
「あんた自分が言ってることよくわかってねえだろう、一回やすむか?」
「貴様、それほどに脳がやられていたとは。ミコトに薬を頼むべきか」
心配の形をした言葉の刃で激しく心を抉られた。
容赦は何処へ捨てられたのだ。
土足で赤子の手を踏みにじるがごとく非人道的かつ残酷な行為である。
誰に訴え出るべきか。
やはり同志・ファルシオか。
真剣に検討しだした騎士団長である。
が、そこで。
「阿呆が。よく聞け。貴様は、私たちといて、話して、私たちの存在そのものを恐れているのか?」
白い人に呆れたように、ゆっくりと聞かれたものだからイラっと来た。
けれどすぐにそれは己が良く使う手法であると思い出した。
怒り出したことのない自由人たちは実は案外大人なのかもしれなかった。
ともかく。
騎士団長が返した答えは。
「どっちかっていうとあなた方の行動と言葉の暴力が怖いです」
真顔だった。
ていうかみんなそうじゃないのか。
暴力、反対。
無自覚だから改善されないけど。
けれど重ねてヤシロは尋ねる。
「なぜだ?」
「心と体が痛いからかな……」
ていうか主に心が痛いです。時にチクリと、時にざっくりと様々な攻撃を加えてくる自由人は本当にサディストだと思います。
騎士団長に被虐趣味はありません。
たいていの人にはないと思うけど。
しかし、そんな騎士団長の答えに、自由人どもは揃って仕方がないなというように首を振る。
かち割ってやってもいいだろうか。
「そうではなくてだな。私たちが、貴様の傍にいる。私たちは、普通ならざる力を持っている。それを、貴様は恐れるかと聞いているのだ」
一度で理解しろ、と怒られたけどそれは理不尽であると騎士団長は主張します。
存在が怖いですか?→暴力被害が怖いです。→それはなぜですか?
この流れなら『なんで暴力被害が怖いのか』という問いだと思う人間は一定数いると思う。
その一定数に入ってしまった騎士団長は残念な頭の出来なのでしょうか。
いや、気を取り直して。
まあ、うん。
一人一人が一騎当千以上の力を持っていて、しかも気まぐれで気ままでだれの命令も聞かないという自由人。
その力を、その存在を、怖いか、と聞かれたら。
「……俺は、」