切実にやめていただきたい
遅くなって申し訳ありません(;''∀'')
現在ちょっと忙しいため、しばらく更新ができないかもしれません。
ミコトはわかる。うすうすそうだろうと思っていた。いやいやだけど認めてやる、的な態度を取られた時からこれは確実にミコトさんがかかわってはいるのだろう、ミコトの指示かどうかは別として、と騎士団長は予測していた。
それが当たっただけだ。
が。
世界? 世界ってなんだ。
あれか、騎士団長には理解できない自由人の世界の決まり事ですという事か、そうなのか。
聞いてみた。
すると。
「……」
「……」
たいへん阿呆なものを見る目で見られたのだが、騎士団長はそろそろ喚き出してもいいだろうか。
というよりもそろそろ騎士団長は限界である。
自由人のテリトリーで自由人と二人きり。
何の拷問であろうか。
騎士団長を精神的に抹殺しようとしているのだろうか。
いや、落ち着こう。
とりあえずヤシロの言う「世界」が騎士団長の知るこの魔大陸やユースウェル王国を含めた「世界」であったとして。
なぜ世界に意志がある。
百歩譲って意志があったとしよう。
なぜそれをヤシロが汲む。
お前は世界さんの何を知っていらっしゃるんだ。
そしてなぜそこにミコトがしれっとinしている。
ヤシロはミコト至上主義に揺るぎはないだろうけれども、それはこの世の心理ではないと愚考する騎士団長である。
そんでもって世界の真理ではないそれはもちろん世界さんなる意思ともシンクロしないはずではなかろうか。
それともあれか、ヤシロの中ではミコト=世界の方程式が成り立っていましたか、そうですか。
ていうか、だ。
百万歩譲ってミコトと世界さんの意志がシンクロしたとしよう。
なんでそこで騎士団長の就職先が決まるとかいう謎の事態が巻き起こるのかがさっぱりわからない。
ミラクルである。
しかもそれに対してはなんの説明にもなっていないヤシロさんでは相互理解に多大な時間を要すると思われる。
通訳を所望する。
切実に通訳を所望する。
自由人ではない、ファルシオとかガイゼウスとかアスタロトとか。
この困った魔王陛下と長年の付き合いがある面々である。騎士団長よりは彼の不可解極まりない思考回路を読み解く技術を持っているはずである。
しかし彼等ではヤシロが無駄に高い能力で立てこもりのために閉ざしてしまったこの空間に侵入することは叶わないであろう、無念だ。
ではどうするか。
頑張るしかない。
頑張るしか、無いのだ。
ちょっと泣きたくなってきた騎士団長である。
が。
「……わかりました。……続きを、どうぞ」
聞けばもしかしたらわかる部分もあるかもしれないと思ってとりあえずは先を促してみたという騎士団長。
すると阿呆なものを見る目で騎士団長を見ていたヤシロもなんとか気を取り直したらしい。
「うむ。心して聞けよ」
聞いている。
理解できないかもしれないだけだ。
心の中でそう返事をして、しかし顔は真剣にうなずいた騎士団長。
再びヤシロが口を開き、そして―――――
パリンっ。
軽快な音が、した。
窓を、みた。
「やっほ~。ミコトの話でしょ~?」
「俺らを差し置いて、いい度胸だな」
狭い室内に、自由人が、増えた。