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才能にあふれていますので


 ビシリ、ミコトの言葉を受けたタツノオトシゴは硬直した。

 騎士団長たちも硬直した。

 もちろんヤシロたちも硬直した。


 いつの間にかヤシロの上から全員退き、一列に正座で整列しているのは素晴らしいけど。

 一瞬前までヤシロの上に建設されていたタワーは健在だったことから推測するに、ミコトのぶち込む発言と同時にうごいたとおもわれる。


 素敵に機敏な動きではあるがそれの意味するところはアリさんたち客人方も含めてミコトさんに怒られ慣れているということでよろしいだろうか。


 よろしいのならばそろいもそろって学習能力というものの存在意義を問いたいところである。


 ていうか今回に限ってはヤシロはぎりぎり被害者だと思うけどそこのところはどうなのだろうか。

 そっと、騎士団長たちはミコトを目で探るが、相変わらずのお美しいお顔だということ以外は何もわからなかった。

 さすがの表情筋が仕事をしない代表である。


 ともかくも。


「……ったく、」


 ミコトは大きくため息をつく。

 だがしかし、騎士団長たちには未だ、ミコトの言葉の意味が分からない。


 ミコトさんの言葉に逆らったが最後、ヒキガエルにされてグリフォンの巣にぶち込まれることしかわからない。


 一番分かりたくないとこだけスムーズに理解という情報処理が行われたのが今までの経験の賜物かと思うとたいへんしょっぱい気持ちになるけど。


 ……いや、ていうかグリフォンってどういうこと? クラーケンじゃないの?


 騎士団長はたいへんどうでもいい些細な問題にわずかに困惑した、が、そこをすかさず感じ取った盟友・ファルシオが傍にいたことが僥倖ではあったのあろう。


 彼曰くそのグリフォン、やっぱり魔王陛下のペットでJK君というそうです。

 雄だそうです。

 やっぱりスラギが名付け親でヤシロが主人だけどミコトに一等懐いていらっしゃるところは変わらないらしいです。


 Naming Sense!


 いや、ちがう駄目だそこじゃない。そこも問題だけど今は違う、そうじゃない。

 そこより前の台詞の方が問題だ。


 ……え?

 え?

 そうなの? 実は、そうなの?

『ヤシロに構ってほしかった』で正解なの?


 だって嫌いだったんじゃないの? 苦しみを与えようとしてたんじゃないの? 自らの犠牲も厭わないほどに苦痛を与えることに腐心してたんでないの!?


 じいい~~~~っと、視線はタツノオトシゴから正座で並んだアリ・オリ・ハベリ・ソカリへとスライドしていく。


 と、


 ぽよん。


 ミコトの手のひらからたいへん愛らしい音を立てて人生に疲れ切ったタツノオトシゴが跳ね上がる。

 着地目標はヤシロたちと並ぶ床。

 到着と同時に黄色でふわんふわんな、人生に疲れて淀んだ眼をしたおっさんに戻ったイマさんの再登場である。

 彼は、そう。


 死んだ瞳をそのまま、頬を桃色に染めていらっしゃいました。


「「「「「「「!?」」」」」」」


 騎士団長たちは仰天して凝視する。

 そして。



「「「「「そっそんなことないもん……っ!」」」」」



 叫ばれた声は五重奏でした。


 ……五重奏?


 思って、首を巡らせれば。

 リンゴのほっぺの皆さんが、涙目で震えていらっしゃったのです。


 マジでか。


 茫然とした、そんな騎士団長たちではあったがカオスな現状は変わらない。

 しかもだ。


「……まあ、お前らのそういうところは可愛いと思うがな」


 平然と零された、ミコトさんの言葉に五人は崩れ落ちました。

 うん、ミコトさんの的確にとどめを刺す才能は尊敬に値すると思うよ。


 死者にムチ打つ仕打ちだね!







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