無の空間④
「腰抜けが」
「黙れ。ゴミクズ」
「ビビり」
「燃えろ。ゴミクズ」
「チキン野郎」
「失せろ。ゴミクズ」
「・・・・・・・・・・なんで俺がこんなバッシングを受けるんだ?」
「抵抗するな。ゴミクズ」
「それはどういう意味だ?」
気付けば、いつもの白い無の部屋。今回は一人暮らしをしている学生のような部屋だ。勉強机とベッドだけのシンプルな部屋だ。出口を思われる扉の近くにキッチンと洗濯機がある。ここで本格的に暮らせそうだ。
「お前ウルフを逃がしたのは単純に人を殺すのが怖かっただけだろ」
「・・・・・悪いか?それで?」
「別に。俺もよくよく考えてみれば、最初はそうだった」
「ゴミクズなのに怖かったのか?」
「あの一応元人間だぞ」
「そうだったな。今はゴミだったな」
「お前一回殴っておこう」
「そしたら俺は鉄パイプで殴る」
「さっきのなしで」
この部屋に来るとすごく落ち着いていられる。そして、このゴミクズと話すことも別に苦じゃない。
「もう、この後にウルフが襲ってこないよな?」
一番、気になることを訊く。どうやら、マジで運命というものを分かるみたいなので。
「やだよ」
「さて、今日は何曜日だってな?ゴミの日は確か・・・・・・・」
「ウルフはもう襲ってこないぞ。今後一切」
捨てられるとでも思ったのか真面目に答えてきてくれた。
「ウルフとアゲハはアキの呼んだ援軍に拘束された」
「殺されるのか?」
「そんなことはないだろ。無抵抗の相手を殺すような連中じゃない」
なぜ、俺はホッとしている。ウルフは美嶋を殺した奴だぞ。
「大変なのはこれからだぞ。教太」
「え?」
「女が一人死んだくらいでめそめそするな」
「なんだと!」
つい本気で激怒してしまった。
「あの女なら大丈夫だ」
「どういうことだ!」
「戻れば分かる。だが、同時に後悔する」
どういうことだ?意味が分からないぞ?
「いいからもう戻れ。俺も久々に暴れて少し疲れた。少し寝る」
「そ、そうか」
そのゴミクズは出口はあっちだとつぶやいてベッドに寝転がった。
「今日はご苦労だったな。よくやったよ。お前も休め」
ゴミクズが初めて俺のことを真剣に見て話してくれたような気がした。
「お疲れ様」
俺もそう呟いて部屋を出る。




