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17: まじない

――――ふわり


 かすかな衣擦れの音と共に、何かが唇に触れた。

 柔らかくその癖ほんの少し硬いような、不思議な温もり。

 驚いて閉じた目をゆっくり見開くと、怖いほど透き通った瞳が至近距離で自分を映していた。


「どうして」


 わずかに微笑み、そして大いに思案した後に彼は謎を解いてくれた。


「あなたが私の前から消えてしまいそうでした。そうならぬよう、まじないを」


 彼は真剣だった。

 それに答えるべく、私も彼にまじないをかけた。

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