1:喪失
side:白浦柚姫
一花ちゃんたちが搬送されたと聞いて、
目の前が真っ暗になった。
つい数時間前、天体観測をしに行った「あの七人」に、なにがあったのか、無事なのか。
「総合病院までお願いできないかしら、」
家政婦の佐倉さんに頼んで車を出して貰った私は、頭が混乱したまま病院に入る。
いつも体調が悪くなったら専属のお医者さんが家に来るから、病院に入るのは初めてで、どうしたら一花ちゃん達に会えるのか分からなかった。
ひとがたくさんいて、みんな静かに座っている。
受付にお姉さんがいるけど、どう声をかければいいのか ..
そんな私を察した佐倉さんが、受付のお姉さんと何か話して、なんとか病室に行くことができた。
受付のお姉さんに言われた107号室の扉を開けると、ベッドが7つと、大きなソファがあった。そのソファに、病院の服を着た一花ちゃん達が座っている。
入ってきた私に気づいて全員がこちらを向いた。
よかった、みんな頭や足や色んなところに包帯が巻かれているけど、ちゃんと意識はあって無事だったようだ。
「みんな、無事でよかったぁぁ!」
心配していた分、ものすごい安心感が込み上げてきて、涙がでてくる。
でも、すぐあと、衝撃を受けた。
「あの人は、どなた?」
「え?」
一瞬、聞き間違えかと思った。
でも絶対に一花ちゃんの声で、彼女は言った。
ドラマでよく見るような記憶喪失の台詞を。
「覚えてないの、?
私、みんなの友達の、白浦柚姫。」
驚きと恐怖で声が震える。
一花ちゃん達は全員首を小さく横に振った。
三空くんも、見知らぬ人を見るように私をじっと見つめてきた。
ショックで、私はその場にへたりこむ。
看護師さんから話を聞く限り、
理解はしたけどなかなか信じられない話だった。
まず、七人は山で遭難してしまい、
全員が意識を失っていたところを救助された。
その後みんな意識を戻したが、
全員記憶が無くなっていたという。
七人はなぜ山の中にいたのかも覚えていないし、
一緒に遭難したみんなともどんな関係なのかが分からないそうだ。
信じられない、それしか出てこない。
私は絶望感と喪失感が入り交じった。
「七人達の親御さんがもうすぐいらっしゃるので、白浦さんは一旦お帰りになって大丈夫です。」
看護師さんがそう言ったので、仕方なく帰ることにした。
帰り道の車内、
私はバッグについた星型のチャームをそっと握った。
それは、
彼氏である三空くんとお揃いにした大切なもの。
倉科一花ちゃん
本橋二葉くん
城河三空くん
本橋四葉くん
日向五樹くん
時宮六花ちゃん
雨乃七海ちゃん
この七人は、名前が一から七まで全部揃っている幼なじみで、よく天体観測に近くの山に行くことがあった。けど、遭難するような山奥には絶対に行かないはずだった。
三空くんは、私と付き合っていたことも、私との思い出も、何もかも全部忘れてしまったのだろうか。




