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最終話 同行エンド/突き進む。地獄の果てまで

予告通り、二つのエンディングの片割れです




前回のあらすじ

ルナセールが処刑された

 

『勇者』ルナセールの処刑から約十五年後。

 プロキオンの街を、一人の少女が訪れていた。


 少女は煌めくような金髪を腰の辺りまで伸ばし、エメラルドグリーンの瞳は角度によっては青く見える。

 そして旅人が羽織るようなフード付きのマントを羽織り、一枚のメモを頼りに通りを歩いていた。


「お母さんのメモ通りならこの先だけど……うわっ!」


 少女が驚きの声を上げたのも無理は無い。

 少女は危うく、馬車に轢かれそうになったからだ。

 驚き、慌てたせいで足がもつれ、尻餅をつく。


 馬車の方もすぐに止まり、中から良く似た容姿の母娘が降りてくる。

 二人共黒髪ではあるが、娘の方は一房だけメッシュのように金髪が混じっていた。


「だ、大丈夫ですか!?」

「あ……はい。わたしの方も少し注意不足だったもので……」

「……うん? 貴女……」


 すると母親の方が、怪訝そうな表情を浮かべながら少女の顔をジロジロと見つめる。


「あの……わたしの顔に何か?」

「いえ。知り合いに似てたものだから、少し気になって……ねえ、貴女」

「マリアです」

「マリアさん。貴女、エンデさんの縁者か何か?」

「エンデはわたしの母の名前です」


 母親―レティシアの問い掛けに、少女―マリアはそう答えた―――。




 ◇◇◇◇◇




 マリアがこの街にやって来た目的は、母親であるエンデの生家を訪れる事だった。

 その事をレティシアとその娘―リリーナに告げると、レティシアにその屋敷まで送ると言われ、その言葉に甘える事にした。


 屋敷へと向かう道中、レティシアがマリアに質問する。


「それで……エンデさん達は今何処で何をしてるの? 十五年前に失踪したっていう知らせを聞いてから、あたし達は何も知らないのよ」

「さあ? わたしにも分かりません」

「どういう事?」


 レティシアがそう聞き返すと、マリアは肩を竦める。


「わたしが十三才の誕生日を迎えたその日に、プロキオンの街にあるモンテーロ家の屋敷を訪ねろと言われたきりなので。まあ両親は次の日には忽然と姿を消してた訳ですけどね」

「それじゃあ今までどうやって生活を?」

「お父さんが遺してくれてた莫大なお金があったので、それを少しずつ切り崩しながら旅してました」

「旅……マリアさんの出身は何処なの?」

「南大陸にあるアメジストっていう街です」


 ちなみにプロキオンの街は西大陸にある。

 大分距離があるとは言え、少女一人でその道のりを旅するのは尋常では無かった。


 マリアの話を聞き、レティシアはボソボソと独り言を呟く。


「……あいつ、そんな金を遺してたの? あの三馬鹿の一人に全部巻き上げられたと思ったんだけど……」

「あの……レティシアさん?」

「ん? ああ……気にしないで。それでちょっと確かめたい事があるんだけど……マリアさんの父親の名前って、クリスで合ってる?」

「……? はい、そうですけど……」


 レティシアの質問の意図が分からず、マリアは首を傾げる。

 それはリリーナも同様だった。


「お母様? その方がどうかなされたのですか?」

「……リリーナにも話しておくか……。二人共、これからする話は他言無用よ。いいわね?」

「「……? はい……」」


 マリアとリリーナ、同じ動作で首を傾げつつも了承する。

 その実の姉妹以上にそっくりな動作を見て、レティシアは僅かながらに笑みを浮かべる。


「マリアさんの父親のクリスだけど……本当の名前はエドって言うの。そしてエドはあたしの実の弟よ」

「お父さんがレティシアさんの弟? という事は……」

「……私とマリアさんは従姉妹同士、って事ですか?」

「そうよ。でもあたしとエド……クリスが実の姉弟とは明かされてないから、くれぐれも他人に二人の関係が露呈しないように気を付けなさいよね?」


 レティシアがそう釘を刺すと、二人揃って頷く。


「はい、分かりました」

「分かりましたわ、お母様。……それと、改めてよろしくお願いしますね、マリアさん?」

「はい。こちらこそ……リリーナ、お姉ちゃん」

「お姉ちゃん……」


 マリアに姉呼ばわりされた事で、弟妹のいなかったリリーナはニマニマと隠し切れない笑みを浮かべる。

 すると丁度、モンテーロ家の屋敷へと到着した。


「ここよ。領主がいなくなったから王家預りにはなってるけど、使用人はそのまま残ってるし、爵位を戻す準備も出来てるわ」

「……そう言えば、レティシア……伯母さんとリリーナお姉ちゃんって何者何ですか? この馬車だって凄く高そうですし……」

「伯母っ……まあ、間違いじゃないけど。あたし達はね、この国の王族よ。あたしは王妃で、リリーナは次期国王よ」

「え……えええええええええっ!?」


 マリアの驚きの声が、馬車の中に響き渡った―――。




 ◇◇◇◇◇




「なら……なら、わたしも連れて行って下さい!」


 エンデのその言葉に、俺は――首を縦に振る。

 そしてエンデに近付き、彼女の手を取る。


「なら最後まで付き合ってもらうぞ、エンデ」

「はい……はい!」


 エンデは泣きながら、笑顔で頷く。

 そしてエンデと共に、モンテーロ家の屋敷から姿を消した―――。




 ◇◇◇◇◇




 それが十五年前の出来事。

 あの後しばらくしてから、エンデの妊娠が発覚した。

 その為、エンデの出産、産まれてくる子供の子育ての為に、俺とエンデはしばらくの間とある街で落ち着く事にした。


 そして子供がある程度育ってから、当初の予定通りに――エンデを『魔神』化させた。これはエンデ自身の希望だった。

 寿命で死ぬ事はまず無い俺と共に歩む為に、エンデは『魔神』になりたいと申し出てきた。


 成功率は限り無く低いが、その処置を施す前にエンデの妊娠が発覚した。

 だから『魔神』化は後回しになった。


 そしてしばらくしてから、エンデは元気な女の子を出産した。

 名前はエンデの母親の名前であるマリアンヌから一部貰い、マリアと名付けた。勿論エンデの名付けだ。

 その直後に俺はエンデに『魔神』化の処置を施し、そして―――。




 ◇◇◇◇◇




 俺の目の前には、一人の少年が蹲っている。

 少年の腕には、血塗れの少女が抱かれている。

 そして少年の目には、復讐を誓う憎悪の炎が宿っていた。


「アンタらは……」

「俺の名はエド」

「わたしの名はエンデ」


 俺と隣に立つエンデはそう名乗る。

 もう偽名を名乗る必要も無いから、俺は本名を名乗った。

 それとエンデは『魔神』化が成功し、その影響で金髪は白髪に、エメラルドグリーンの瞳も赤目へと変化していた。


 ちなみに俺達は異世界に旅立っていた。

 元の世界で出逢った、スライムを連れたピンク髪の女から貰った『旅人の指輪』なる物を譲り受けた。

 その指輪の力で、俺達は異世界に旅立っていた。


 閑話休題。

 俺は少年の前に、一本の剣を突き出す。

 この剣は粉々にした星剣の破片をベースに鍛え直した物で、『クライムシン』の各能力をダウングレードさせて再現させている。というかダウングレードさせないと再現出来なかった。


 そんな星剣スターライト、改め星剣スターダストを突き出しつつ、少年に問い掛ける。


「少年。復讐を誓うのなら、この剣を取れ。この剣には復讐を叶える力がある」


 そう言うと少年は無言で、しかし力強く剣を手に取った。


 俺達がやっている事は復讐の助長だ。

 しかし止める気は無いし、止めるつもりも無い。

 それが復讐を成し遂げた俺の役目であると自負している。


 俺はエンデと共に突き進む。地獄の果てまで―――。






いったい何やってんでしょうね、あの『魔王』の娘は?

最後の最後でスターシステムで文字だけでの登場となりました。

これでエド/クリスとエンデも他作品に出せるようになりました(メタ発言)。


こちらのエンディングではエド/クリスとエンデは同行しましたが、もう片方のエンディングでは……。

気になる方はその目で確かめて下さい。


ここまでの読了、誠にありがとうございます。

読者の皆々様の記憶の片隅にでもこの作品が残ってくれたら、作者冥利に尽きます。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初から一気に読みました! 色々と考えさせられる所がありました・・。
[一言] うーん 個人的にはリアにも幸せになって欲しかったなぁ ずっと孤独なままならまだしもエドと出会ってしまった以上、それまでの孤独に今さら耐えられのやらと哀れに思う。
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