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第57話 暗殺者組織の壊滅 後編

前回のあらすじ

ベルが恩師と交戦&クリス/エドがリーダーを拘束

 

 リーダーを地面に縫い付ける形で拘束した後、俺は警戒しつつもゆっくりと近付く。

 リーダーは拘束を解こうともがいているが、何発も《サンダーボルト》を喰らった影響からか、手足が痺れて上手く動けないようだった。


「ぐっ……ふっ……拷問でもするのか? 残念だったな。我々は痛みには耐性がある。貴殿の思うようにはいかない」

「それはどうかな?」


 そう返し、俺は『ファーライド』でリーダーの衣服だけを首元から股に掛けて一直線に斬り裂いていく。

 さっき魔法を撃ち込んだ時に感じた違和感の正体を突き止めた。


 胸はほんの僅かにだが、確かに膨らんでいる。

 腰もくびれており、股間には男にはあるべきモノが無い。

 つまり――リーダーは紛う事無き女だった。


 そういう訓練もされているのか、リーダーは服を斬り裂かれても顔色の一つも変えなかった。


「いったいどうするんだ? 無抵抗な女を無理矢理にでも犯すのか?」

「そんな事はしないが……拷問は受けてもらう」

「我々にはそんなモノ通じな……っ!?」


『ファーライド』を『ラストデウス』に変化させて能力を解放した瞬間、リーダーの身体がビクッと浮き上がる。

 顔は紅潮し、荒い呼吸を繰り返す。


『ラストデウス』のもう一つの能力。

 それは、対象の異性を強制的に発情させるといった能力だった。

 能力としてはシンプルだが、発情させている最中はあらゆる苦痛が快楽に変わり、快楽は更なる快楽に変わるという、ある意味では凶悪な効果も含んでいる。


 リーダーの言う通り、先天的にせよ後天的にせよ、確かに痛みには耐性があるのだろう。

 訓練することで耐えられる痛みの限界値も伸びるのだろう。


 だが、快楽に対する耐性を得ることはほぼ不可能だし、たとえ鍛えられた所で絶頂に至るまでの時間が伸びるだけだ。

 だから快楽による拷問という、天国のような地獄を味わってもらう。


 ツーっと、『ラストデウス』の石突きでリーダーの腹を撫でる。

 それだけでリーダーはビクビクと身体を揺らし、悲鳴ではなく嬌声を上げる。


「アアン! な……何だコレは!? 知らない、こんな拷問は知らない!」

「ならこれから知っていけばいい」

「あ……ああああああああああああああああああっ!!」




 ◇◇◇◇◇




 時間にして三十分くらいか。

 それほど長くは無い時間だったが、リーダーは息も絶え絶えに脱力していた。


 身体の至るところから汗を含む体液を噴き出し、地面を黒く染めていた。

 そしてその顔は快楽に溺れたように、恍惚とした表情を浮かべていた。


「はっはっはっ……こ、降参だ……降参するから、この拷問を止めて……止めて欲しい……頭がどうにかなりそうなんだ……」

「そうか」


 そう答え、俺は『ラストデウス』を『ファーライド』に変える。

 そして今までの快楽を痛覚に反転させる。

『ファーライド』には『ラストデウス』と対となるような能力があり、それがこの快楽を痛覚に反転させる能力だった。


 それによって、リーダーは身体をガクガクと震わせ悲鳴を上げる。


「あ、あああああああああああああああああああああっ!! 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」

「どうした? 苦痛に耐性があるんじゃなかったのか?」

「それにも限度が……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 今まで感じていた快楽がそのまま痛覚に変わるんだ。

 想像を絶する苦痛を味わっているのだろう。

 せっかく鍛えた苦痛に対する耐性が意味を為さないくらいには。


 後ろを振り返ると、ケイトはすごく引いていた。

 そんな彼女からリーダーの方へと視線を戻し、悪魔の如き提案をする。


「一つ提案をしよう。俺に生涯忠誠を誓うと言うのであれば、その苦痛から解放してやる事も吝かじゃあない。どうする?」

「ち……誓う! 貴殿に忠誠を誓う! だからこの苦痛から……!」

「ああ、解放してやるとも」


 そう答え、『ファーライド』を再び『ラストデウス』へと変化させて強制的に発情させる。

 苦痛が一瞬で快楽に変わった事で、リーダーは嬌声を上げ、盛大に絶頂を迎えた―――。




 ◇◇◇◇◇




「……ということがあった。理解したか?」


 旦那様の説明を聞き、私は頭が痛くなってきた。

 リーダーが何で旦那様の味方をしているのかは分かったけど、その理由は理解し難い。

 ちなみに師匠(せんせい)は旦那様の魔法で拘束されている。


「え〜っと……まあ、何となくは……」


 リーダーが何で恋する乙女のような視線を旦那様に向けているのかも。

 恐らく、ドーラ夫人達の時と同じなのだろう。


「それで……こっちの女はどうする?」


 そう言って、旦那様は師匠(せんせい)の方へと視線を向ける。

 生殺与奪は私に与えられているらしい。


「……恩はあるので、殺さないであげて欲しいです」

「そうか」

「それで……もし可能ならば、モンテーロの屋敷で雇えないでしょうか?」

「何故だ?」

師匠(せんせい)が私に暗殺術を教えてくれたように、今度は私が暗殺者以外の生き方もあるのだと師匠(せんせい)に教えて上げたいんです」


 私の我が儘な願いを聞き届けると、旦那様は師匠(せんせい)の方に目を向ける。


「……だそうだ。ベルの提案を受け入れるのならば、そのまま五体満足で生かしておいてやろう。その逆ならば……ベルの言う通り殺さないでおいてやる。だがその場合、片手と片足は失ってもらうがな」

「旦那様!」


 私は思わず声を荒げるけど、旦那様はいつも通り落ち着いていた。


「これでも温情は掛けている方だぞ? 本当ならば今すぐこの場で殺すべきだ。不穏分子は生かしてはおけないからな。だが片手片足を失うだけで、この場では殺されはしない。ベルの願いも聞き入れつつ、俺の希望も叶えられる最大限の譲歩はそこだ」


 そう、旦那様は何てことはないように宣う様子を見て、私は恐怖心を抱く。

 前々から薄々は感じていたけど、旦那様はヒトとして大事な部分が欠落している。

 その部分が何なのかは上手く言語化出来ないけど……。


「それで……どうする?」

「……いいわ。ベルの提案に乗るわ」

「そうか、分かった。……だが俺もすぐには信じる事は出来ない。だからお前とリンの手で、この場に残っている暗殺者共を一人残さず――殺せ」

「……っ。分かり、ました……」

「仰せの通りに」


 リンって誰の事だろう? と思っていると、リーダーが返事をした。

 リーダーってそんな名前だったんだ―――。






快楽堕ちとか正にウス=異本案件ですやん(←オイ、作者)。




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