第00話 13人の神様
白い空間に置かれた机と椅子。
そこには、13名の奇抜な格好をした老若男女がいた。
そのうちの一人、水色の法衣を纏った女が呟くように言った。
「ねえ、これは何の集まりなんですか? 私、あなた達と違って忙しいのだけれど」
その呟きを聞いたアラビア風の衣装を着た老人が、同じように呟く。
「いや、別に儂らだって暇なわけじゃ……あ、暇だったわ。儂の世界、皆が協力して管理してるから超暇だったわ。いや、暇じゃったわ」
「だよなぁ爺さん。俺んとこもよ、鬼共が張り切っちゃってるから、仕事が殆どねぇんだよ。デカい椅子に座ってよ、来る奴全員にお前地獄行きって言うだけの日々だぜ。無駄に暑いし、喉が渇いてしかたねえよ」
豪華な鎧を着た大男が老人と話し始める。
すると、黒色のジャージを着た青年が上半身を机に乗り出して、手をパタパタさせながら会話に加わった。
「俺も俺もー。俺がせっかくよ、仕事頑張ろうと思って色々始めるとよ、部下が止めてくるんだよ。妙に必死にさ。おかげで昨日もずっとゲームしちゃったぜ」
「俺もじゃねえよ。いや、つーかそれはおめぇが……」
「第七世界の……不憫じゃのう」
青年にむかって溜め息を吐く老人と大男。
話が一段落着いた頃を見計らって、奇数個の椅子の中で、所謂お誕生日席に位置する場所へと腰かけていた金髪の少年が、こほんと咳をしてから話し始めた。
「いやー、君たちさぁ。他の皆がさ、僕が話し始めるのを待ってくれているのにさ、雑談始めないでよ」
それに反論したのはジャージ姿の青年。
「俺達か? 最初に話し始めたのはそこの女だぜ?」
責任転換された法衣姿の女が、まるで心外だと言うような態度で反論をした。
「私は、ゼフ様に言ったの。何の集まりなんですか?って」
「わたしー、あなたたちとちがってーいそがしんですけどー」
その反論を茶化すように、青年は女のマネをした。
それを聞いて、ひくひくと震えだす女。がはははと笑う大男。
「もういいや。じゃあ、君たちを呼んだ要件だけど」
呆れた様子の少年は、捲し立てるように話し始めた。
「僕ね、そろそろ死のうと思って。だからさ、誰かに第一世界の管理を引き継いでもらいたいんだ」
それを聞いて、他の12名の表情が引き締まった。
ようやく、ようやくこの時がきた……と。
「方法は簡単。っていうか、一回この管理体制を壊そうかと思ってね。ここにいる12人には僕の考えたゲームをやって貰うよ。ああ、不公平が無いように君たちにも協力してもらうつもりだよ?」
「ルールも単純。まずは君たちが管理している世界から各々自らの使徒となる存在を選んでくれたまえ。そして、その使徒たちを使ってゲームをするから」
「その使徒たちを第十三世界に集めるんだ。あそこは適度に大きくて、魂の強度も低いからね。程度な危険もあるし、難易度もいい感じだ」
「君たちには一つずつイベントを用意してもらいたい。それを年に一度開催して、全12回の中で最も好成績を残した使徒の世界管理者が優勝だ! 僕の後継者になってもらうよ」
「それだと明確な一位が決まらない可能性がある?……じゃあ、最後に僕の考えたイベントも追加しよう。それで勝者を決めるんだ。これでいいかい?」
「後継者になれなかった2位から12位の人たちには、其々の順位に応じた世界の管理をしてもらうからね。第二世界の管理は少し大変だけど、頑張ってね」
「ああ、そうだね。使徒の種族で不公平さがでてくるね。だから、強い種族は少しだけ、弱い種族はたくさん使徒にできるように設定しておいたから」
「それに、僕たちの力を込めた武器をいくつかばら撒く予定だからさ。弱い種族にもチャンスはあるよ」
「他にもいくつかルールはあるんだけど……詳しくは説明書をつくってみたから見て、確認しておいてね」
ふぅ、と一気に捲し立てた少年が一息ついた。
彼の話を聞いていた者はすぐに自らの世界に帰り、今後どう動くかを考え始めた。ただ一人、ジャージ姿の青年を除いて。
黒いジャージを着た青年が、少年に提案があると言う。
「ゼフ様よー、一ついいか」
「なんだい?」
「あのよー、俺の世界の奴らなんだけど、人族しかいないだろ? しかも、みんなそろってなんの力も持ってやしねえ。だからよ、提案があるんだ」
「ふーん、言ってみなよ。聞いてあげる」
「おう。俺の世界によ、VRゲームってもんがあるんだけど……」
こうして、一人の少年の物語が始まった。




