21話
リリーとテオは急いで階段を降りて2人の元へ行く。
「リア! フレイ! 大丈夫なの!???」
ベッドから起き上がってるフレイ、少しつらそうな、泣きそうな顔をしているリアがいる。ただならぬ空気を感じる。
「……なんかあったのか?」
「フレイが、記憶を……」
リアが小さくつぶやく。いや、まさかそんなことがあるのだろうか。リリーはゆっくりフレイの元へ行く。
「フレイ、調子はどう?」
「……貴様は何者だ?」
「……」
冷たくどこを見ているか分からない瞳でリリーを覗く。口調まで変わってしまっている。本当にあのフレイなのだろうか?
「フレイ、冗談だよね……」
「何故私の愛称を知っているのだ? 許可した覚えはない」
「え、だってあのときフレイって呼んでくださいって言ったじゃない……」
「何を言っているのだ? 王族に対しての礼儀がなっていないぞ」
記憶を無くした、というのだろうか。この様子だとリリーたちと出会ったあとの記憶がないみたいだ。もしかしたら昔の記憶で止まっているのかもしれない。
リリーは衝撃を受けた。今までの冒険、思い出を全て否定されたような気分になったのだ。リリーはなるべくショックを顔に出さないようにし、フレイに笑いかけた。
「フレイ、私リリアンナって言うの。私とお友達になってくれない?」
「……フレイヤだ」
「ねえよかったら私の友達の話なんだけどきいてくれない?」
リリーはフレイの横に座る。そして今までの冒険、出会い、全て話した。これで記憶が戻るとは思わない。少しでも自分たちのことを知って欲しかったのだ。たとえ記憶が戻らなくとも、自分たちはずっと大切な仲間であり、友達なのだと。その様子を見たテオとリアは1度席を外すことにした。
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リアとテオは外に出て、木陰に座った。リアは今にもぶっ倒れそうな顔をしており、テオにはどうすれば良いか分からなかった。
「……もしフレイが目を覚ましたら、プロポーズしようと思ってたんです。エルフと獣人だけど、身分差や種族の違いはあるけれどフレイが好きなんです。でも彼女は僕のことを忘れてしまった」
「リア……どうにかして、フレイの記憶を戻そう。もしかしたら文献とかもあるかもしれない」
「ありがとうございます……」
リリーがフレイの面倒を見てくれている間、2人は文献を探すことにした。2人は急いで街の図書館に向かい、エルフに関する文献を探した。
「エルフのすべて、エルフの魔法、エルフの名前……」
テオは文献を片っ端から手に取って読み漁った。近くでリアも文献を探していた。
エルフのすべて
エルフは長寿の種族であり、膨大な魔力量を持ち魔法を得意とする生き物。エルフと妖精では少し違いがあり、エルフは妖精よりも長生きである。エルフは少しすつ歳をとるが、人間と同じように歳をとるため人間と同じような感じで成長する。一方妖精はずっと子供のような見た目である。
エルフの魔法
エルフは魔法を得意とする長寿の種族である。エルフには人間とはまた別なエルフ独自の魔法がある。人間はエルフの10分の3位の魔力量しかないと言われている。そしてエルフの王は世界を滅ぼせるほどの魔力を持っているとされている。そのためエルフの王族は半分の魔力を封印して生きることがあるとされている。
魔力を封印している状態で魔力を使いすぎると枯渇して下手したら記憶をなくしたり、最悪の場合死に至る可能性がある。記憶を取り戻す術は大切な人と××××
ここで文字が切れていた。重要なところで文字は見えなくなっているが、役に立ちそうな情報ではある。
エルフの名前
エルフの王族は代々「エイブリー」という名前を継承してきた。また、エイブリー家は膨大な魔力を持って産まれてくる子が多く、魔力を暴走してしまう恐れがあるため、10歳になると同時に魔力制御の呪いを受けることになる。その呪いをとくためには××××と××で真実の××を知ることが大事だ。そして××××××でキ××することで呪いはとける。××××××××××で××××××××××××だ。
この後は解読不可能だった。だがしかしなにか分かりそうな気がする。1度本を持ち帰って調べることにした。2人はゆっくり話し合いながら帰路に着く。帰ってみるとフレイとリリーが意気投合していた。記憶がなくとも、心で感じ取れるそう思える瞬間だった。




