雷管~僕が手を叩く方へ~
東京都千代田霞ヶ関
公安調査庁
ーこれ、もしかして、そういう事かな?
ルミはテロが発生した国際通り周辺の地図を見ながらある事に気付いた。
「これ、国際通りを中心に段階的に爆破されてませんか?」
ナナは自分の相方とも言えるルミの推理に驚愕し、「林、天才じゃん!!」と声をあげた。
確かにルミの言う通り国際通りを中心に第二波が発生しており、国際通りから58号線に至る裏手にあたる通りの店舗まで狙われていた。
本来なら、観光客を狙うのであれば国際通りのみを狙えばいいのだが、第二波でいたずらに被害を拡大しているのだった。
そこから考察するに次に狙われるのは主要幹線道路である58号線沿いの店舗と与儀交差点まで繋がっている開南通りの道路であった。
「なるほど。その推理が正しいと考えるなら、第三波を阻止出来るかもしれない」
神田は沖縄にいる春日、澤北や村上へ第三波の阻止に動ける可能性を示唆した。
「仕掛けられていると思しき場所はどこか思い当たる場所はあるか?」
土地勘のある現地の那覇事務所の職員である山崎と相楽に共有している国際通り周辺の地図から第三波が起きそうな場所を訊く。
「あとは・・・与儀向けの開南通りや58号線の店舗だと思います」
ルミの段階的に発生しているという推理にも合致する場所で、すぐさま店舗の洗い出しを始めた。
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現地対策本部に火災調査官からの報告が挙がり、不破はそれを根間知事に報告した。
それによれば、スリーセブン国際通り入口店から辛うじて雷管ー起爆装置となるものーが残っている爆弾が発見されたのだった。
ただし、全体図が見れるような状態ではないため、何をスイッチとして起爆するかまではわからなかった。
「火災調査官からの報告によると、スリーセブン国際通り入口店から辛うじて残っている雷管が出てきたようです。ただ・・・それがどんな起爆装置なのかわからないです」
辛うじて残骸が残っている爆弾の数枚の写真から何かヒントが無いか探してみる。
すると1枚の写真が今居の目に止まった。
その写真には部品の型番が残っており、その型番をスマホで検索してみた。
するとそれは音に反応する玩具、フラワーロックに使われている部品だった。
「・・・これ、フラワーロックの部品らしいです。型番から判明しました」
今居は写真とスマホの検索画面を見せる。
何故、フラワーロックの部品が使われているのか?と疑問に思ったが、不破が1つの仮説を唱えた。
「・・・音に反応する爆弾だったんじゃないですか?」
「音に反応する?」
「はい。例えば、一定の音量に達すると起爆装置が作動して、爆発するとかではないでしょうか?」
不破の仮説にその場の面々は一旦、その説を信じる事にし、根間知事は「他の店のピックアップは進んでますか?」と訊くと、すぐに長浜知事公室長から公安調査庁那覇事務所から届いていた情報がもたらされた。
すでにリストアップされており、すぐに根間知事は共有し、「このリストにある店舗内を捜索してください」と指示を出した。
するとすぐに報告が挙がった。場所は国道58号線沿いの店舗であるファミメ沖縄レンタルビル店から発見された事が報告された。
「・・・!ありました!大至急、封鎖をお願います」
「場所はここからほど近いので、県警本部より爆発物処理班を派遣します」
すぐに木谷本部長が受話器を手に取り、県警本部へ出動要請をかけた。
「オーソン琉球タイムスビル店からも発見!」
「ファミメ久美橋店にて発見!」
続々と爆弾が発見され、人手が足りないと判断した今居は無線を手に取り、不発弾処理班など爆発物に精通した人員の派遣を要請した。
一番早くファミメ沖縄レンタルビル店へ派遣された県警の爆発物処理班から解体の様子が映像として現地対策本部のモニターに映し出された。
その映像から爆弾が何で作られた物で構成されているかが判明した。
その爆弾は、雷管となるような部品はライターの着火装置をスイッチとし、電力はモバイルバッテリーが使われ、件のフラワーロックの部品が音を拾うマイクの部分を調整のためにか、何重にも包まれた起爆装置として使われていた。
それを見た不破は自分の見立てを話す。
「恐らく、多くの客が訪れるコンビニだからこそ、音に反応する爆弾を設置したんだと思われます。ただし、普通のものでは少しの音でも起爆するようになっている。そこでわざとマイクの反応を鈍らせて大きな声にのみ反応するようにしたんだと思います」
そして、爆弾が市販のもので構成されている事にも触れた。
そこから犯人像にも迫った。
「爆弾の材料がライターやモバイルバッテリー、フラワーロック・・・火薬は黒色火薬と言うことは花火から取ったとされます。犯人は、素人ですね」
想定される犯人像は、プロのテロリストではなく、工学の知識がある素人である事まで絞り、それまでは中核派の左翼活動家とされていたが、それとは違うとなり、ある種犯人の絞り込みは振り出しに戻ったのだった。
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沖縄県那覇市松山
スリーセブン沖縄社屋
テロの影響で渋滞が発生している国道58号線沿いに建つ小さなビル。
1階は直営店舗でスリーセブン松山58号線店という店名となっていた。
しかし、件の爆破テロが発生したために小さなビルは今、多くの社員がその対応に追われていた。
東京の本社から派遣されてきた新内マコもそのうちの1人であったが、マコには密かに課された指令があり、それを実行した。
「スリーセブン沖縄の新内です。極東警備保障さん・・・警察へ監視カメラの映像を提供してください。これは本部から指示が出ました」
マコは公安調査庁から密かに課された指令は警備会社から監視カメラの映像を流出させる事で、沖縄の子本社から許可が出たていで警察へ提供させていた。
だが、すぐに会話を聞いていた沖縄の子会社の社員に見つかった。
「新内さん、あなたは何をしているんですか!?これは社外秘ですよ!?」
ーうわ・・・さすがにキツいわ・・・
周りからこっ酷く怒られ始め、ついには東京から同行してきた上司である福城良衛がマコに詰め寄った。
「新内、もうホテルへ行け。明日の便で東京へ帰れ」
しめた、とマコはそそくさと帰り支度をし、「お疲れさまでした」と頭を下げ、スリーセブン沖縄の社屋を出た。




