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魔界都市備忘録  作者: パイナップルの妖精
第七章「魔忍伝」
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一話「魔忍」



 魔忍。

 忍術、体術以外にも魔術や呪術を習得している忍者。


 彼女達は全員くノ一だ。

 理由は、魔忍の最たる所以である「とある能力」が女性にしか発現しないから。


 魔忍の始祖、加藤段蔵(かとうだんぞう)

 戦国時代に暗躍したこのくノ一は、人間と天狗の混血(ハーフ)だった。


 彼女の血液を摂取することで各々特殊能力を開花させた超常の存在こそ、魔忍なのである。


 段蔵の血は女性にしか作用しない。

 故に、魔忍はくノ一しかいない。


 妖魔と戦えるだけの戦力を誇る彼女たちは、古来より時の人に重宝された。

 現代では総理大臣お抱えの組織、特務機関(とくむきかん)の「魔忍部隊」として編成されている。


 此度、この魔忍部隊に入隊できる存在を選別するために「とある試験」が実施されようとしていた。

 その内容とは──



 ◆◆



 特務機関施設の一室にて。


「超犯罪都市デスシティで一週間のサバイバル……」

「そうだ。あの魔界都市で一週間生き延びてみせろ。それが下忍になる条件だ。できなければ潔く死ね」


 教官から告げられた内容に、しかし魔忍たちは動揺していなかった。

 何時死んでもいいように教育されている彼女たちに、死の恐怖は存在しない。


 魔忍に限らず、忍とは飛び道具。消耗品だ。

 彼女たちは教官から下された命令に絶対に従う。


 命令はただこなすのみ──そういう風に教育されているのだ。


 試験内容を告げた教官は相当な手練だった。

 上忍の更に上、最上忍である彼女は、業界では伝説と謳われる魔忍である。


 紫色の長髪を結い纏め、眼鏡とビジネススーツを身に付けた妙齢の女性。


 彼女──(すみれ)は教え子たちを見渡す。

 手を上げている者が一人いたので、名指しした。


「何だ、百合(ゆり)


 百合という名の魔忍。

 まだ二十歳にも満たない少女だった。

 魔忍特有の肌に吸い付く装衣を着こなしている。

 黒色の長髪はポニーテールに結われており、抜き身の刃の様な鋭い双眸が印象的だ。

 装衣の上からでもわかる豊満な肢体は、瑞々しさを残しつつ大人に負けない色香を放っている。


 彼女は上官に聞く。


「生き残るためなら、どんな手段を用いてもいいのでしょうか?」

「無論だ。お前たちは忍、任務を達成するためならどんな邪法も用いろ。……最も、この場にいる殆どの者が死ぬだろうがな」


 菫の言葉に、場は緊張で満たされる。

 しかし、百合は平然としていた。


「他に質問は無いか? ……であれば明日から試験を開始する。各員、準備を怠らないように。以上! 解散!」


 菫の号令と共に、一同は解散した。



 ◆◆



 特務機関施設の廊下にて。

 百合は自室に向かう最中、友人でありライバルである少女と遭遇した。


「ふふふ♪ 百合ちゃん。今回の試験、頑張ろうね!」


 可愛く片目を閉じる美少女。

 ツインテールにされた黒髪。くりりと愛らしい双眸。

 真紅の装衣に紫のマフラーという派手な衣装を着ている。

 全体的にあどけなさが残るが、装衣を盛り上げる肢体は成熟していた。


 百合とは違うタイプの美少女だ。

 百合は強張った表情を崩す。


「ああ。頑張ろう、牡丹(ぼたん)

「うん♪」


 えへへ~と笑う牡丹。

 能天気に見えるが、その実力は百合と同等かそれ以上という期待のホープだ。

 特務機関は彼女たちに特別目をかけていた。


 二人は握手をする。

 互いに信じていた。

 今回の難題も、きっと乗り越えられるだろうと。


 しかし、魔界都市はそれほど甘い場所では無かった。

 魔忍とは言え、所詮表世界の住民。

 デスシティの住民たちにとって、彼女たちは(ねぎ)を背負った(かも)でしかなかった。





連載再開します

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