記録.70『塵と猫と幼女と廃人と翡翠の怪物 ※この中に一人二役している人がいます』
「師匠!無限に湧いてくるっす!」
おー、ルーキーっつーのはそう言うもんだ。
いいか?猫埜。お前みたいにルーキーの枠組みを外れたレア職業持ち以外のルーキーの事をあんまし人と思うな。
余りの多さに卒倒するぞ。
〔ムホウ〕の街が追加されたアプデで強制進化した時に、その進化した職業の名前が周囲一帯に公開されるようになっちまった。
俺は今まで〈教唆者〉って言う職業だったが、強制進化後は〈偽善者〉だ。お前は聞いていたし、見てたと思うが、俺の言葉には謎の効力が発揮される。
俺がこの職業を隠し通すことはもう無理だが、お前はまだバレてない。
お前の〈治癒天使〉。
秘匿性っつーのはPvPひいてはPKに置いて、大きな役割を担うからな。大事にしろよ。
「師匠頭良いみたいっす!」
「頭良いからね」
ナイフで物見遊山のルーキーを切り裂きながら、俺は猫埜をちらと見る。
なんか強く出れねぇな…?こいつ、自分のペースを掴むのが上手いタイプか…。
血液腕で逃げ出そうとする連中を潰して、猫埜に言う。
「今、何人殺した?」
「64っす!」
そかそか。
んじゃ、そろそろ撤収すっぞ。
俺が殺した数は自殺させた数も含め208。十分な報酬が期待できる。
よーし、飯。
飯食い行こうぜ、猫埜。奢っちゃるよ。何食いたい?酒飲める?
美味しい飲食店をピックアップしながら、俺は猫埜にそう問いかけた。
「ガッツリいきたいっす!お酒はまだ飲めないっす…」
そかそか。
んじゃ〔サイショ〕にあるラーメン屋でも行こか。ラーメンいける?ニンニク食える?
「へーきっす!」
猫埜は右手を空に掲げ、嬉しそうにそう言うのだった。
その右手には真っ赤な血でてらてらと光るククリナイフが握られていた…。
わぁ、自由の女神みたーい。
自由の女神への熱い風評被害。
◇■◇
「ひ、ひぃ……っ、うっ…」
「師匠……だらしないっす…」
い、いや…ば、馬鹿じゃないの…?
なんで俺がトイレ行ってる間にこんなもん頼んじゃったの…?君の師匠はね、酒はがぶがぶ飲むけど胃袋は小っちゃいの…。ラーメンも替え玉一つが限界ラインなの…。一般標準人類なの…。
俺の目の前に、巨大すり鉢にこんもりと乗せられたラーメンが鎮座している。
この女…、俺がトイレ行っている間に注文を終えやがった。勿論俺は感動したさ。なにせ、「弟子の務めっす!」なんて可愛い事言ってくれるんだもん。あ~、良い人生~、とか思ってたよ。
そしたらきたよね。
超大盛ラーメンチャレンジ制限時間付きとかいう頭悪いのが。
「は、はきそう……」
「ししょー…」
その結果がこれだよ。
ねぇ、猫埜。ガッツリいこうって言ったけどさ、これは違うよね?お前だけならまだしも、何で俺の分も頼んじゃったの?分かんない、分かんないよ…。
「美味しいっすよ…?」
知ってるよ、美味しい事くらい。
なんでてめぇはそんな心底訳が分からないみたいな表情してんだ。ぶち転がすぞ。まずてめぇはさっさと自分の分食えや。流石に二人分の失敗料金はキツイぞ。
「あ、自分もう食べ終えたっす!」
…え。
…え……?
そんな馬鹿な…。
お、お前カービィじゃねぇんだぞ…。いつ食ったよ?ええ?
俺は奴のすり鉢を覗き込む。…そこには汁の一滴すら残されていない綺麗な底が見えていた…。
ば、化け物…!
圧倒的化け物…!
こ、こいつの身体のどこにあの量が入り込む!?この細い腹のどこに!!?
ふざけんな!俺はまだてめーの髪を耳に掛ける仕草すら見てねぇぞ!!!見せろや!クソ野郎が!!返せよ!俺の楽しみを返せよ!!!
「お客さん、タイムオーバー」
あ。
「し、ししょー…」
人はなぜチャレンジメニューに挑戦するのか。
それは、登山家に「なぜ山に登るのか」と尋ねる程に意味のない疑問だ。
あ、髪を耳に掛ける仕草は見せて貰えました。
◇■◇
飯を食って一旦猫埜と別れた俺は、とある検証をするためにララがいる工房へと向かった。
「よぉ」
「るーと、どしたの?」
黒い煤の様な汚れを顔に付けた幼女が俺を見て、そう言った。
…俺の就いた〈偽善者〉のフレーバーテキストにはこう記載してあった。
『信用してくれる民衆がいる場合に限り、その民衆にのみ言葉を強制させる。』
これには些かおかしな点が幾つかある。
まず、”民衆”と言う単語。
通常の場合、”プレイヤー”や”対象”と言った具合に、具体的な記載をするのがこのゲームの特徴だが、この職業に至っては何故か”民衆”と記載されている。
これは、恐らくだが……。
「ララ、”舌を出せ”」
「……?こふぉ?」
ララは、俺の言葉に従って小さな赤い舌をぺろりと出した。
……うーん、今心臓が一瞬キュッってなったわ。あぶねー、死ぬとこだった。
しかし、やはりそうだ。
言葉の強制力が発動していない。言葉が聞き取れないものになってないし、従ってくれたのはララが優しいからだ。信用されていないっつー線は無い。
つまり、この民衆って言う単語には意味がある。
それで、恐らくその意味ってのは”数”だ。
民衆って言うからには、信用されている数が必要なんだ。しかも、その場に。
言葉の強制力が発動したあの時は、皆で謎の回復現象を解決すべく、一致団結していた。あの場で最もこのゲームに詳しいのは俺だったからな。奴らも俺を信用する他なかった。
だからこそ、発動した。
そして、今…たった一人しか俺を信用してくれる人がいないから発動しない。そう言う処理が為されている。
「るーと?」
ララが思考の海に投げ出された俺の顔を両手で挟む。ああ、ごめんね。もうちょい待ってね。もうすぐ考えが纏まるからね。
「…?」
ララはまだ俺の職業が強制進化した事実を知らないのだろう。
まぁ、掲示板ですぐに流れて来るだろうし、知られるのも時間の問題だ。
話を戻すが、つまり俺の信用する多くのプレイヤーがその場にいる状況でのみ、俺の言葉の強制力は発動する。
そこはいいが、分からない点はもう一つある。
何故、これほどの能力が〔Unique・Skill〕として職業に引っ付いてこない?
俺の"言葉の強制力"は、スキルではなく職業能力だ。つまり、パッシブで発動するようなもんだ。
―――運営は言っていた。
『〔職業は称号だ。それに付随するユニークは手段だ。そして、このゲームへの願いじゃないのならば、手段は必要ないだろう?〕』
つまり、俺は未だこのゲームへの願いを獲得していない…?
何かゲームへの願いを持っているならば、この職業にもユニークスキルが芽生えるのか?
謎だ…謎過ぎる。
俺はララのほっぺを両手で挟み込みながら、その弾力を把握する。やはり幼女…、とんでもない柔らかさを持ってやがる。
「くすぐったい」
悪い悪い。
はぁ、しょうがねぇ。あいつらのとこ行ってみるかな…。
俺は気乗りしない自分を無理に押し込めて、ララと別れた。
◇■◇
「ぜぇ……はぁ…はぁ……」
「遅かったな」
い、いや結構頑張った方だけどね。
肩で息をしながら、俺は口を開いた。
胃袋に収まっているもやしとラーメンが逆流を始めそうになる。
場所は新世界。
おどろおどろしい翡翠色のゼリーみたいな化け物が俺達の前を素通りしていく…と思ったら、そのゼリー状の身体から突然腕が生え、プレイヤーを取り込んだ。
取り込まれたプレイヤーは植物人間にでもなったかのように全く動かなくなり、そのまま溺死した。
そんな世紀末染みた世界観を背景に、目の前の男が言葉を紡いだ。
「一体こんな場所に何の用だ?」
ガラス玉の様な瞳を向けて、エビふりゃーは俺にそう言った。
…あぁ、いや別に大した用事じゃない。
お前ら廃人共がどのくらい新世界攻略進んだのかなーって気になってな。
ルーキー共はどうしたんだ?ぺろりんが引き連れてただろ?
「ん?ああ、殺したよ。邪魔だったからな」
抑揚のない声でエビふりゃーは淡々とそう言った。
ふーん。まぁ、お前らならそうするとは思ってはいたが、随分と速かったな。もうちょい我慢するかと思ってたぜ。
あぁ、そうだ。忘れちゃいけないから、先に言っとく。
「”272人分の報酬を寄越せ”」
「ん、そうだったな。272だから、二十七万二千だ。受け取れ」
エビふりゃーは金を取り出し、無造作に俺へと渡した。
……ああ、さんきゅー。助かったぜ。
「また頼む。拠点にずっといられたら困るからな」
おうよ。
あともう一つ、いいか?
俺の言葉にエビふりゃーは首を縦に振る。
抹茶、決戦兵器、フロー、プロペラ、狐面、ドクター、文、明、プルメル、イカ。
この辺の連中が居たら呼び寄せてくれねぇか?
「ああ、いいぞ。いる奴らは呼ぼう」
エビふりゃーはそう言って、目ん玉をぎょろぎょろと忙しく動かし始めた。メッセージで呼んでくれているのだろう。
暫くすると、俺の呼んだメンバーがぞろぞろとこちらに向かってくる。…いないのはプロペラと狐面、それにプルメルあたりか…。十分だ。これだけいりゃ良い。
俺はこちらに向かってくる連中に手を振る。
「おー、”さっさとこっち来いよ”!」
俺の言葉に、愚痴愚痴と文句を言う声が聞こえる。
…なるほど、失敗だ。
エビふりゃーでも実験したがそれも失敗。それは良い。分かり切っていた事だ。
そして、人数を増やしてのもう一度。一応、よく絡んでいて信用されてはいるだろうという面子で試したが、言葉の強制力は発動しなかった。
条件おっもいなー…。
俺は少し落ち込みながら、そう思う。
確かに強力だ。条件さえそろえば、狗巻先輩化出来るんだ。しかも、生殺与奪の権利を握れる。これはとんでもない事だ。
だが、発動出来る機会は少ない。
……はぁ、帰ろーっと。金も入ったし、ボロの食いたいもん食わせてやろう。俺は廃人共を放置して、死に戻ろうとしたその時……、
「なぁ、待てよ」
あ?
俺の肩をエビふりゃーが強く掴む。
なんだよ、離せよ…!肩を掴まれた瞬間、俺の中で警報を鳴らし出す嫌な予感先輩。
「せっかくだし、一緒に攻略しようや――〈偽善者〉君…」
…こ、こいつ…!
俺は肩に乗った手を弾いて、その場から逃げ出す。
だ、大丈夫…!ここは化け物の巣窟…!死ぬ手段なんて山ほどある!
俺は追っ手から必死に逃げながら、先程廃人を取り込んだ翡翠ゼリーの化け物の体内に飛び込んだ。サイダーの様な泡が俺の視界の下から上へと上がっていく。
あ……なんかこの中気持ち良い…。
俺は翡翠の液体の中で身体から魂を解き放つ。ああ、気分が良い。爽快感すらある。幸せだ。俺は今、自分を世界に解き放って――、
次の瞬間、俺の意識が強い引力を伴って身体へと引き戻されていく。
!?…!!?
だ、誰だ!?俺の心地良い時間を邪魔するのは!ヤメロ!やめてくれ!俺を罪と欲に塗れた現世に戻さないでくれ!あ、ああ、あああああああ!!!
―――魂が身体に癒着する。
真っ暗闇の瞼の裏。その重い瞼を開くと、強い光と共に誰かの顔が見えた。
そして、それと同時に俺の耳朶が震える。
「大丈夫ですか?ルートさん」
抹茶…てめぇ、蘇生しやがったな…ッ!
心配そうに俺の顔を覗き込む抹茶の後ろに、ゲスい表情を浮かべるエビふりゃーの姿があった……。
◇■◇
「ちょ、ほんと勘弁してください……それでも人間ですか?」
俺は十字架に張り付けにされながら、下にいる廃人共にそう問いかけた。
大事なのはどれ程同情を買えるかだ。一人でもユダになりえる奴を出せばいい。そうすれば俺は助かる。
「俺には、帰りを待つ家族がいるんだ…」
涙を流し、鼻声になりながら俺は言う。
その言葉の端々には悲壮感が漂う。なんて可哀想な子…!
俺の名演技に、廃人の心は打たれる。そして、俺は解放されて、家族との熱い抱擁を交わしハッピーエンド…。
「知らねぇよ」
「勝手に言ってろ」
俺の涙ながらの言葉に、廃人共は見向きすらしてくれなかった。
くそが!それだからてめーらは廃人って呼ばれるんだよ!人の心まで廃れちまったのか?ああ?
廃人が可哀想なものを見る目で俺を見つめる…。
お、おい…なんだよその目は…、おい!おい!!
俺の言葉が届いていないのか、廃人共は離れた場所にいるエビふりゃーの元へと行ってしまった。
お、俺は一体どうなるんだ…?
不安に心が苛まれそうになる。しかしその時、近場の茂みからがさがさと音がする。
だ、誰だ!?いや、もう誰でもいい!た、助けてくれ…!
俺は敬虔な神の信徒だ!十字架に張り付けられることなんて何一つしていない!本当なんだ!金だったら払う!なんだってやる!だ、だから…!お、俺を、俺を助けてくれ!
小さな声でエビふりゃー達に聞こえない様に俺は必死に訴える。
するとその訴えが通じたのか、そいつは茂みから姿を現す。お、お前は…!
「ダスト君……」
ぷ、ぷろぺらぁ!!!
茂みから姿を現したのは、紛れもなくプロペラ君本人だった。
ぷ、ぷぷぷ、プロペラ君!助けて!この金具壊してくれ!頼む…、俺とお前の仲じゃねーか!
俺の言葉を聞いて、プロペラは悲痛そうに顔を歪ませる。
な、なんだよその顔…、た、助けてくれるよな?…なぁ?なんとか言ってくれよ…プロペラ!!
プロペラはただただ悲しそうに表情を歪ませる。
「ごめんね……ダスト君…ごめんね…」
そう言うプロペラの瞳から、一筋の涙が零れる。
その涙は、プロペラの手元にある不細工なタケコプターに斑点を作る。あ、あのタケコプターは…俺が奴の機嫌を取るために昔あげた物…。
「新世界じゃ…犠牲は尊いものだから…死んだ後…いっぱい甘やかしてあげるから…」
ぽたりぽたり、と堰を切った様に涙が零れていく。
プロペラの目は真っ赤で、酷く不格好なタケコプターを強く抱いて、奴は俺の前で泣いている。な、なんだよ…なんなんだよ…これは…。
おい、なんでだよ…。
ふざけんじゃねぇぞ…。
お前は言ってただろーが、『空に希望はある』んだろ?なぁ…、その希望で俺を救ってくれよ…。
ラピュタはどうなるんだよ。
俺はまだ見てねぇぞ…。女の子が空から降ってくるとこだって…それに滅びの呪文を一緒に唱えるって……。
プロペラ…?なぁ、やめてくれよ…。どうしてだよ…。
「それ以上、言葉を聞くなプロペラ」
涙を流すプロペラの肩を掴み、エビふりゃーが前に出る。
エビふりゃー…てめぇ…俺をどうする気だ。
こんな十字架に張り付けにしやがって…どういうつもりなんだよ、製品版最強の廃人様は。
「直に分かる」
エビふりゃーがそう言った瞬間、廃人共が十字架の置かれた台座を数人掛かりで持ち上げる。
は?え?ナニコレ、神輿?神輿だよね、これ。えぇ?どんな人力ギミック?
俺がそんな事を言っていると、担がれた十字架神輿が勢いよく動き出す。
ちょ、ゆ、ゆれ、ゆれが、ががががががっがががが。
人力の為、とんでもない揺れを伴い、俺が張り付けられた十字架神輿は新世界を進んでいく。
そして、その後ろをエビふりゃー達廃人が追走する。
な、なななにににこののののののじょうううきょうううう。(何この状況)
俺の疑問に答えようとしてくれたのか、エビふりゃーがプロペラを連れて、俺の横を並走する。
「新世界に入って、最も脅威だったのは空からの奇襲だった」
エビふりゃーがバイブレーションの如く揺れまくる俺を見る。
「鷹だか鷲みたいな鳥が俺達の頭を取りに来る。攻撃できるのは一瞬…しかし、俺達は攻略法を見つけた」
瞳を輝かせ、エビふりゃーは少年の様な声色で嬉しそうに話す。
それは、まるで何かを自慢する小さな子供のようにも見えて、俺は奴の歪さを再認識する。
「あの鳥共、高い位置で動くものに興味を示すんだ」
たたったたたたかかかいいいいいっいいいいいいちちちいいいぃぃぃい?(高い位置?)
「ああ、そうだ。それならば、奴らが狙う俺達の頭を高い位置に置いとけば、鳥共はそっちに夢中になる…!」
き、キチガイ…!
常人ならば到底考えつかない奇策…!人の命をこいつはなんだと思ってやがる!ゲームの起爆装置たる加速因子と言えども、人道を無視しすぎてる…!
こういう奴が現実で殺人犯になるんだ!
ニュースで「そんな事する子には見えなかったんですけどねぇ」とか言われんだ!!
や、やややめめてててくくくれえええええええええええ!(やめてくれ!)
「ダスト君……ぴえん…」
プロペラが涙を流して、エビふりゃーと共に後ろに下がっていく。
揺れる視界、動く三半規管、絞られるラーメンでいっぱいの胃袋。
俺は鳥以前の問題で死にそうだった。
気持ち悪さと吐き気で、十字架を穢す寸前、前の方で神輿を持つ連中から悲鳴のような声が出る。
「と、ととととまれとまれ!!!前!とまれぇぇぇぇぇぇええ!!!!」
しかし、神輿は急には止まれない。
多くの足音とプレイヤーの声に搔き消され、悲鳴のような声は届かなかった。
そして、十字架神輿は進路上にあった池へと落下した。
追走していた廃人達が何とも言えない空気でそれを見る。
空には何匹もの鳥が舞い、いつ頭を捥ぎ取ろうかと狙っているようにも見えた。
「そんな……」
プロペラの口から言葉が洩れる。
しかし次の瞬間、池の中から十字架に張り付いたままの俺が揚がってくる。
「だ、ダスト君!奇跡だ!助けられるよ!」
プロペラは嬉々として、十字架に張り付いた俺へと近づこうとするが、それをエビふりゃー達が止める。
「…な、なんで…?もう、もういいよね!?ダスト君は十分頑張ったよ!」
プロペラの言葉に呼応する様に、十字架に張り付けにされた俺は更に陸へと上がる。……水に包まれて…。
「だ…すと…くん…?」
俺を包んだ水は、陸に上がると少しずつ色を変え、次第に翡翠の様な色へと変貌した。そして、水の様だった液体は硬さを帯び、ゼリーの様な形質へと姿を変える。
「る、ルート……!」
廃人共が武器を構える。
それぞれが何か悍ましいものを見るような目つきで俺を見る。
翡翠のゼリーの中で、一人の男の声が響いた……。
「…ミ…ン…ナ……コ…ロ…ス…」
この世に産み落とされた悲痛な化け物…。
ご感想ありがとうございます!




