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ゴミ溜めVRMMO記録  作者: どうしようもない
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記録.11『β組の良心』

 

 〔エビふりゃー:一位報酬強い武器でしたー〕

 〔きつね:げんきぃ~?〕

 〔ララ:あぷでもうすぐだね〕

 〔空の人:鉱山都市嫌い。空が見えないから〕

 〔ララ:しょくぎょうどんなのくるかな〕

 〔きつね:今日はたぬき蕎麦食べたよ~〕

 〔エビふりゃー:お前も次はもっと頑張ろうな〕

 〔エビふりゃー:きっと出来るよお前なら〕

 〔エビふりゃー:お前が廃人とエンジョイ勢の懸け橋になれ、ルート〕

 〔エビふりゃー:ところでところ天の助好き?〕

 〔空の人:空になりたい…〕



 うるっっっっっっっさい。

 フレンド機能が拡張されて、解放された機能は〔メッセージ〕と〔ヘルプコール〕だ。


 〔メッセージ〕は、さっきからゴミ共が送ってくるように視界の端に送られてきたメッセージがポップアップされる。普通にうざい。

 〔ヘルプコール〕は、メッセージの簡略版だ。

 メッセージを打たずに自分の座標をフレンドに教えることが出来る。正直いらない。本当にやばい時にしか送れないようにして欲しい。



 あと、闇市は無事に復興を果たした。

 今日も元気にやっている。しかし、闇市の存在はルーキー共に知れ渡った。しかし、だからどうということはない。ルーキーの見ていないところで、結局闇の売買は行われる。少しやりづらくなっただけでその行為自体に支障は出ない。



 それよりも、俺には大きな事件が発生していた。


「じー………」


 この付与士(エンチャンター)の抹茶とかいう女。

 俺に付きまといやがる。

 これじゃ下がった《血液操作》のレベル上げだってままならねぇ。


 ただでさえ、ドラゴン戦ではサーバーが近場で大量に開いていたせいで情報漏洩を恐れて使えなかったんだ。さっさとレベルを戻してやりたい。


「なぁ、抹茶よぉ。てめぇの目的はなんだ?なんで俺に付きまとう。てめぇにゃ廃人っつー立ち位置があるだろーよ。エンジョイ側のこっちに来るんじゃねぇよ」


「ルートさんが…えん、じょい…?」


 ガチの疑問符をつけるな。

 俺はエンジョイだろーがどこからどう見ても。ルーキーと強さは最近変わらなくなってきたしよー。もうルーキーって呼べねぇよ。


 俺本体のレベルは上がる気配がねぇしよー。一体どんだけ殺しゃレベルが上がるんだ?ああ?お前のレベルは幾つだよ。抹茶。廃人なんだからけっこーいってんだろ?


「私は…今5ですね」


「ごおおおおおお?それでもお前廃人か?このゲームずっとやってるボトラーか?」


「失礼な!このゲームはそう言うものなんです!」


 そう言って抹茶は顔を赤くして怒る。

 ああ、そうかよ。教えてくれてありがとな。そういって俺はその場を離れる。しかし、この女それでもついてきやがる。

 終わっただろうが…!話…終わっただろうが…!



 もう諦めなよ。


 ◇■◇


「数日密着しましたけど、ルートさんやばいですね」


 この女、今自分から発言した通りここ数日、ずっと俺にくっついて行動しやがった。クソほど邪魔だったが、悔しいことにもう慣れた。戦闘に入ったらエンチャントくれるし、もういいやって感じ。


「特に人間関係。もう少しどうにかしましょうよ」


 俺は抹茶に言われて「確かに…」と考え込んでしまう。

 俺の今の人間関係は色々と逸脱している。幼女はもういいとするが、狐面、プロペラ、エビふりゃー、その他廃人と、その他ルーキー、そしてこの抹茶とかいう女。


 色々な方向に向いた矢印が複雑に絡み合って、救いようがない毛玉を作り出している。じゃあ一体どうすればいいんだよ。俺は抹茶に聞き返す。すると、抹茶は不敵な笑いを浮かべて―――、


「この方がいるじゃないですか…!」


 抹茶はそう言うと、レッドカーペットを取り出し、近場の家から俺のいるところまでそれを引いた。なんだこの用意周到さ加減。

 しかし、今の人間関係をどうにかまっすぐにできるのならば頼るしかない。俺は渋々奴が引いたレッドカーペットの先を見る。


 するとどうだ。

 一人の男がこちらに歩いてきているのが見える。あ、あれは…!あの男は……!


「ら、ラック君!!!」


 その男は、β組の良心と呼ばれる存在の一人、”不死身の聖人”『ラック』その人だった。


 この女…一体どうやってラック君をここに呼び寄せやがった…?

 ラック君は俺達みたいなそこまで他の連中に迷惑をかけていない者の前には現れない。それ以上に迷惑を掛ける奴らが山ほどいるからだ。


「やぁ、元気だった?ルート、抹茶さん」


「「ラック君…」さん…」


 俺と抹茶はラック君の声を聴き、幸せな気分になる。

 ラック君の功績は語ろうとすれば天に昇る勢いで喋ることが出来る。それほどまでに、ラック君がいなかったらどうにも出来なかった事件は多く存在する。


 そして、この”良心”達はルーキー共に戦闘の指南をしたり、クエストの発生条件を教えて回ったりもしている。ここまでくればそれは最早、良心の域を超え、神なのではないかとさえ錯覚する。


 だから、だからこそ分からない。

 ラック君がここに居れる理由が。世界は未だにラック君を求めている。日夜ラック君を求めて、徘徊するゴミ共がいるくらいに。


「い、一体どうしてラック君がここに…?」


「いやなに、ルート。君の人間関係がそろそろパンクして、フレンド全員から刺されて引退するって聞いてね…僕に出来ることはないかなって思って…」


 こ、このクソ(あま)…!

 あろうことかラック君に話を盛りまくって俺のことを話しやがった…!グッジョブじゃねぇよ!その手ヤメロ!!てめーのせいでアフリカの子供が悲しむんだ!


 やっちまった…よりにもよって聖人のラック君に不要な手間を掛けさせちまった。


 や、やばい…このまま俺の人間関係がそこまでこじれ切っていないことがバレたら嫌われる可能性がある…!

 そ、それだけは…それだけはなんとしても避けなくては…!ど、どうにかして…どうにかして俺の人間関係を俺が刺されるレベルまで押し上げなくては…!



 ラック君がニコニコ笑う。

 俺もニコニコ笑う。

 抹茶女もニコニコ笑う。



 幸せな空間。

 その笑顔の裏で、俺の指はエビふりゃーへメッセージを送っていた……



 〔ルート:俺を救え〕



 自分から堕ちていくスタイル。

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当作品はゴミ共の命によってモチベーションが賄われています。
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