43 世界史2
「カエサルは名言製造機ですよね」
神代 七が変なことを言うのは日常である。
特に彼氏の玖来 烈火が学校で隣の席にいる時は、授業の合い間にある短い休み時間ごとに言ってくる。
烈火はカバンを確認。今日の分の教科書を調べる。うん、間違いじゃない。先の授業は世界史ではなかったし、今日はそもそも世界史の授業はない。
なのに出てくるんだ、世界史の話題。
烈火は微妙な顔になりつつも付き合って問い。
「……たとえば?」
「来た、見た、勝った」
「語呂はいいけど、名言か?」
そう言われるとどうだろう。
では次だ。
「賽は投げられた」
「なんかバクチ打ちっぽくない? 不健全なイメージが付きまとう。偏見かな」
それは偏見だ。
色んな場面で使えるいい名言だろう。
まあ次。
「人は見たい現実しか見ない」
「耳が痛い。けどどの口で言ってるんだろうな、そういうのって」
「…………」
「…………」
「玖来さんはカエサルになんか恨みでもあるんですか」
ことごとくケチつけやがって。
烈火は遠き過去へと思いを馳せる。
「テストで出た時に思い出せなかったくらいの恨みなら。首まででてたんだけどな、あともうちょいで思い出せたんだけどな」
「それはカエサル一切悪くないでしょう」
「ブルータスお前もか」
「それは戯曲で追加された創作ですから」
「え、そうなんだ……」
ちょっと勉強になった烈火でした。




