41 カレーライス
「カレーライスのお供と言えばなんでしょう」
神代 七が変なことを言うのは日常である。
特に彼氏の玖来 烈火と学校の昼食休みの時に、席を向かい合わせで食事なんて状況なら間違いなく。
しかし今日も七の手作り弁当をふたりして食べている最中であり、つまりカレーの要素は欠片もない。なのにカレーの話題を出すという不可解に、烈火は弁当の内容を検分することにした。
前に、ネタばらし。
「あ、今日のコロッケはカレーコロッケですよ」
「あぁそうなの」
箸を手付かずだったコロッケに向けて、口に放り込む。うむ、確かにカレー味だ。まろやかなスパイシーさがあり、適度にカレーを主張している。冷めていても濃いめの味付けにすることでインパクトを損なわない。
一言。
「おいしいぞ」
「えへへ」
「で、今日はコロッケが自信作だったってことか?」
「まあ、それもありますけど、普通に雑談としてカレーのお供といえば? です」
雑談ね。
烈火はならばとあまり真剣にならずに考えてみる。カレーといえば。
「カツ」
「正義は?」
「それは勝つ」
「真実は?」
「ひとつ」
淡々と返しつつ、烈火は食事の手を止めない。
七は黙々とがつがつと食に没頭する烈火に目を細め、実に嬉しそうに眺めている。自分の食事は、それでちょっと疎かな辺り後々苦労するのが常である。
「ではカレーに調味料をぶっこむのはありですか?」
「ソースとか?」
「マヨネーズなんて話も聞きますね。あとはチーズとか、納豆……までいくと調味料ではありませんか」
七の問いに、烈火はちょっと箸を止めて考えてみる。単純に即答できる類の質問ではなかった。
それで答えが曖昧な自分に苦笑してしまう。
「そうだな。作る相手による」
「おや、どういうことです」
「たとえば親の作った奴なら色々ぶっかけるな。うちだとカレー作ると数日続くからな、日ごとに味わいを変えるために一日目は素のまま。二日目はソース。三日目はチーズとか。そんな感じにする」
「では外食だと?」
「値段による――安いカレーなんかだと味を誤魔化すためにかけることもある。まあ、外食で調味料置いてあるところは少ないけど」
「わっ、私が作ったら?」
「そりゃそのまま食うよ、一週間続いてもな」
それこそ当然だろうが、と迷いなく言う。
そんな烈火が好きな七ちゃんでありました。
「今度、カレー作りますね」
「弁当にはするなよ?」




