35 ルーチン
「パーカーが代名詞だのなんだののたまっておいて放置し続けた魂の衣装、初公開ですよ!」
神代 七が変なことを言うのは日常である。
特に彼氏の玖来 烈火と休みに外出する時は、楽しそうに幾らでも。
烈火は休日だというのに何故か学ランを着こなして、冷えた態度で言う。
「いや、見慣れてるが」
「最近はずっと制服だったじゃないですか!」
「平日五日間はな。先週の土日もパーカー姿は拝んだから」
冷静に冷淡に突き返すも、七はやたら嬉しそうにはしゃいでいる。
「でもつまり五日振り! もう少し褒めてもいいでしょう! 可愛らしさに悶えてください!」
「さっきからなんでそんなにテンション高いの?」
「私はパーカーを纏うことで諸々のパラメータが上昇するんです。玖来さんだって学ラン着てるのは気分向上という名の能力値アップのためでしょう?」
「ちげぇよ。てかラブコメに能力値あげても意味ねぇだろ」
「えっ、ファッション値とか可愛らしさ、気品などのステータスも上がりますよ?」
「あぁ、そういう数値だったんだ」
処理面倒そうだな。なにゲーだよ。
なんだかローテンションの烈火に、七は腰に手を当てぷんぷん怒り出す。
「ていうかですね、彼女とデートなんですからもっと嬉しそうにしましょうよ」
「毎週土日使ってデートして、平日五日も朝から一緒に登校して同じクラスの隣の席で、学校終わりに家で駄弁っている間柄で、今更デートでテンションを上げろって?」
「はい。私はアゲアゲです」
どこからその元気は湧いて出てくるんだよ。烈火には無理だ。もう少し低めのノリで進行したい。長続きさせたいんだよ。
烈火は情熱のポイントが有限だから、それを上手く振り分けて長続きしたいと提案している。だが、そんな理屈は恋する乙女には通じない。
「大丈夫ですよ、私は玖来さんが傍にいればそれだけで無限に楽しくなる特殊能力もってますから!」
「……それはおれも持ってるけどさ」
なんだかんだ言っても、毎週のデートは欠かさない烈火でありました。
「まあ、有限ではないわなぁ……愛とかいうのは」
前言撤回の早い男である。




