32 対消滅しそう
「……私は今日、逆ドッペルゲンガーを発見しました」
神代 七が変なことを言うのは日常である。
特に彼氏の玖来 烈火が学校で隣の席にいる時は、授業の合い間にある短い休み時間ごとに言ってくる。
烈火はオカルト話なのかすら読みきれず、まずは単語について問いただすことにした。
「逆ドッペルゲンガーってなに」
ドッペルゲンガーなら、確かもうひとりの自分的な分身とか影とかいうオカルトの存在のことだろう。目撃したら死んでしまうとか聞いたことがある。
だが逆ドッペルゲンガーなる存在は、寡聞にして聞いたことがない。烈火の知識不足だろうか。
七は首を振る。
「いえ、さっき私が思いついた単語です」
「そういうのやめて。知識足りないおれに誤った知識インストールされると素直に記憶に刻んでどっかで恥かくことになるから」
「気をつけましょう。で、逆ドッペルゲンガー、つまり私と正反対な人を見たんですよ」
「正反対って、どのくらい正反対だよ」
七はふっとこの世全ての諦観を集約したような顔で語る。
「長身でおっぱいでかくて美人の女性」
「見事な正反対だな」
ちょっと、いやかなり見てみたいんだが。
どこで見たんだ、校内?
「はい。同じ制服着て、リボンの色が赤でしたから一年生ですかね」
「なんだって? 一年でそんなに巨乳だって?」
「その通りですけどムカつきますね、本当に」
七ちゃんは小さな警戒心をもって、その逆ドッペルゲンガーについて調べることにしたのでした。




