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第十四部 第三章 第11話

 食事を終えた頃には、外の空はすっかり夜の帳に包まれていた。


 店を出た一行を迎えたのは、灯りがゆらめく石畳の街並みだった。

 フォルセリアの夜は、昼間の喧騒とは打って変わって、しっとりと落ち着いた空気をまとっている。

 両脇に並ぶ魔力灯が規則正しく点灯し、橙や蒼の淡い光が街路を包んでいた。


 光は石畳に反射してゆらゆらと揺れ、木々の葉を透かして影を生み、風に合わせて静かに揺らめく。

 遠くからは楽師の奏でる笛の音が微かに聞こえ、夜気の奥に溶け込むように広がっていく。

 どこか幻想的で、現実と夢の境界が曖昧になるような静謐さが、街全体を優しく包み込んでいた。


 「いい夜ね……本当に、昼間とはまるで違うわ。落ち着いていて、でもどこか温かい……」

 レティアがそっと呟いた。


 吐息に微かに含まれる熱気が、冷えた夜気に溶けて淡く消える。

 横顔に灯る光は柔らかで、昼間の毅然とした彼女とはまた違う、穏やかな表情を浮かべていた。


 「せっかくだし、もう少し歩いていこうか。お土産も見たいし、夜の街もちゃんと見ておきたいしね」

 アリスが笑みを浮かべて言う。

 その声には、わずかな高揚と、まだ冷めきらない楽しさの余韻がにじんでいた。


 皆が自然と頷いた。

 頬には赤みが差し、笑顔はどこか緩やかで、足取りも軽い。

 酒精の余韻が仲間たちの表情を和ませ、言葉の端々に柔らかな弛緩をもたらしていた。


 「お、じゃあどっちがより面白いモノ見つけられるか勝負な。どうせなら変わったもん見つけたほうが勝ちだろ」

 ラースが肩をすくめながら軽口を叩き、わざと胸を張って歩き出す。

 その歩調はどこか大げさで、少しだけ酔いの影響が出ているのが見て取れた。


 「変な細工物とか売ってないかな。魔導構造が複雑すぎて誰も扱えないとか、そういうやつ」

 ザックは眼鏡を押し上げ、早くも鋭い視線を露店の棚へ走らせていた。

 目の奥がわずかに輝き、珍品を探し当てようとする好奇心が隠せない。


 アリスはその後ろをゆっくりと歩いた。

 ほんのりと火照った身体に、夜風が頬を撫でる。

 汗ばんだ肌を撫でる風が心地よく、体内に残る熱をゆるやかに冷ましていく。


 (……結構、回ってるかも。頭がふわっとしてるし、視界も少しだけ柔らかい……でも、この感じ、嫌いじゃない)


 足元の石畳が、ほんの少しだけ柔らかく感じられる。

 魔導灯の光が揺れるたびに、世界の輪郭がふわりと滲み、色彩はどこか鮮やかに映る。

 視界の端が心地よくぼやけるその感覚が、酔いによるものだと自覚はあった。


 だが、不快ではなかった。

 むしろ胸の奥にじんわりと広がる温もりと、どこか現実感の薄れた浮遊感が、心を優しく解きほぐしていく。


 通り沿いには、夜も営業を続ける土産物屋や露店が連なっていた。

 果実酒や焼き菓子、色鮮やかな布細工が並べられ、どの店も柔らかな灯りに照らされている。

 漂ってくる香辛料の濃厚な香りや、熟した果実の甘やかな匂いが、鼻をくすぐった。


 「見て見て、この焼き菓子……香りすごくない? 蜂蜜とナッツかな、すっごく甘い匂いする」

 ミレーネが足を止め、店先に並んだ菓子を覗き込む。

 頬をほんのり赤く染めたまま、無邪気に目を輝かせていた。


 「ほんとだ……表面がカリッとしてそう。中は柔らかいのかしら。ちょっと気になるわね」

 レティアも隣に並び、指先で空気を扇ぐようにして香りを確かめる。


 「あとで戻ってくるか。今はとりあえず一周してからだな」

 ラースが軽く手を振り、先へ進むよう促した。


 賑やかな声と笑いが、夜の街に溶けていく。

 その音は魔導灯の光と混ざり合い、どこか柔らかな余韻を残しながら、フォルセリアの夜に静かに広がっていった。


 その中のひとつ――瓶詰や保存食を扱う店の前で、アリスはぴたりと足を止めた。

 棚に整然と並べられた瓶詰の中で、ひときわ存在感を放っていたのは、ガルシア伝統の“燻製肉入りスパイス瓶詰”だった。

 透明な瓶の中で、香辛料の赤や黄金色に染まった肉片がきらめき、灯りを受けて鈍く艶めく。

 封を切らずとも、まるで燻香がゆっくりと立ちのぼってくるかのように錯覚させる濃厚な気配が、棚の一角に漂っていた。


 アリスは思わず身を乗り出し、指先で瓶のラベルをなぞる。

 異国の文字で記された装飾的な筆跡は、曲線と鋭角を織り交ぜた美しい意匠で、まるでそれ自体がひとつの工芸品のようだった。

 文字のひとつひとつに、見知らぬ土地の文化と歴史が刻まれているように感じられ、胸の奥にじんわりと旅情が広がっていく。


 《あああああああああああッッッッ!!! 見つけたァァァァ!!!!! これは完全に勝ち確の香りがするやつぅぅぅぅうううッッ!!》


 思念空間が炸裂した。


 《アリスちゃんッ、それ! それだよそれぇぇぇ!! 香りがもうっ、日本のスーパーの“男のカレー肉増しパック”にそっくりぃぃ!! いやそれ以上! 燻製+スパイス+肉汁の三位一体ァァ!! 絶対うまい! 絶対白米といっしょに天国行けるやつぅぅぅううう!! 白米泥棒!! これは完全に白米案件!!》


 (ちょっと……静かにして……! 店の中でそんなテンションやめて……!)


 《うわあああんっ……でも無理ぃぃ……見てこの色合い……この赤と黄金のコントラスト……あああああっ……香りが脳を直撃してくる……ッ! 嗅覚が死ぬ……いや、生き返る……いや、爆発する……!》


 思念の奔流が、泡立つように頭の中へと押し寄せてくる。


 《あとで白ご飯と一緒に――って、こっちには炊飯器ないじゃん!! えっ、ないの!? この世界、どうやって白米と向き合ってるの!? いや待って無理、白飯なしでこれは拷問だよ!? 魂がこの瓶に吸い寄せられてるのッ!!》


 (……少し、黙って? 本当にちょっとクラクラしてきた……酔いもあるのに思念で追い打ちかけないで……)


 アリスは眉をひそめた。

 だが――気づけば手は自然と瓶詰を取り上げていた。


 透明な瓶越しに見える燻製肉の塊は、赤と黄金色のスパイスに包まれ、じっと見つめているだけで唾液がじわりと滲む。

 光を受けて艶めく油脂の層が、まるで「今すぐ食べろ」と訴えかけてくるようだった。


 封を切っていないのに、鼻腔の奥に燻香と香辛料の刺激が広がる錯覚が生まれる。

 喉が小さく鳴り、胃の奥がじんわりと熱を帯びた。


 (……これ、絶対美味しいやつだ……なんでこんなに確信できるの……?)


 「それ、美味しそうね。香りが……なんだかすごく濃い感じがするわ」

 隣で他の棚を物色していたレティアが、アリスの手元に視線を落として声をかける。


 その視線には純粋な興味と、少しだけ楽しげな好奇心が混ざっていた。


 「うん……なんていうか、ちょっと……すごく美味しい気がして。理由はわからないけど……これは当たりな気がする」

 アリスはぽわっとした表情のまま答えた。


 酒の余韻とフローラの暴走思念が重なり、頬にほんのり朱が差している。

 視線もどこかとろんとしていて、普段より少しだけ無防備な雰囲気をまとっていた。


 レティアはその顔を見て、思わず吹き出した。


 「ふふ……アリスがそんな顔するの、珍しいわね。そんなに気に入ったの?」

 肩を揺らしながら、からかうように微笑む。


 「……ちょっとだけ、ね。これは……たぶん、逃したら後悔するやつ」

 アリスは苦笑しつつも、瓶を軽く持ち上げて確かめるように眺めた。


 ラベルの装飾が光を受けてきらりと輝き、瓶の中の肉がゆっくりと揺れる。

 その動きが妙に魅力的で、視線を離せなくなる。


 レティアは小さく頷いた。


 「アリスが選ぶなら、間違いないかも。あなた、こういう“直感の当たり”外さないものね。じゃあ、私も一瓶……旅の思い出にいいし」


 そう言って、彼女も瓶をひとつ手に取る。


 ラベルに描かれた異国風の装飾文字が、手元の明かりに照らされてきらりと光った。


 通りの先では、ザックとラースが大きなパイ生地を抱え、店主に話しかけていた。

 「これは中身が日替わりらしいぞ。焼き上がりで具材が変わるって、なかなか面白い仕組みだな」

 「俺、絶対カレー味入ってると思うんだけど! この匂い、絶対スパイス系だって!」

 ふたりは妙に真剣な表情でパイの断面を覗き込み、身を乗り出して議論を交わしていた。

 店主が苦笑しながら説明する様子と、その必死なやり取りが周囲の客の目にも留まり、小さな笑いが波紋のように広がっていく。


 背後では、ミレーネが繊細なガラス細工の小瓶を手に取り、光に透かしては「きれい……これ、光の色が変わる……」と感嘆の声を漏らしていた。

 瓶の中で淡く揺れる魔導光が、彼女の瞳に映り込み、まるで宝石のように輝いている。

 リゼットは布製の小物を几帳面に吟味し、縫い目や質感を丁寧に確かめながら、小さく頷いていた。


 灯火に照らされた夜の露店街は、香辛料の香り、焼き菓子の甘い匂い、果実酒の甘酸っぱい香りが入り混じり、五感を満たす楽園のようだった。

 人々の笑い声や足音が重なり、どこか穏やかで温かなざわめきが夜の空気を満たしている。


 アリスは瓶を手にしたまま、胸の内でふっと笑みをこぼす。

 (……こんな時間も、悪くないわね。こんなふうに何も考えずに歩いて、好きなものを選んで、笑っていられるなんて)


 穏やかでにぎやかな、旅の夜のひととき――。

 通りには果実酒の香りと香辛料の匂いが漂い、石畳を照らす魔力灯の揺らめきが、人々の笑顔を柔らかく浮かび上がらせていた。


 「お酒、効いてきた? 顔、ちょっと赤いわよ」

 隣を歩くレティアが、からかうように微笑む。


 「……うん、少しだけ。でも、嫌な感じじゃないよ。むしろ、ちょっと楽しいかも」

 アリスは頬をほんのり赤らめ、ほろ酔いの笑顔を浮かべながら答えた。

 その瞳は潤んで、街の光を映してきらきらと輝いている。


 彼女は手にした瓶詰を店主に差し出した。

 琥珀色のスパイスオイルの中で、燻製肉がゆっくりと沈んでいる。

 見ているだけで香ばしい匂いが鼻の奥を刺激し、思わず喉が鳴った。


 《アリスちゃんっ、五瓶、いや十瓶! 魔導冷却バッグに詰めて詰めて詰め尽くしてぇぇ!! あとあのジャムみたいな果物の瓶詰も絶対おいしいと思うから両方! 両方いこう!?》


 (ちょっと待って、予算……! あと持ち帰りの限界もあるから……!)


 《そんなのどうでもいい! 味がすべてッ! 神がここにいた!! これはもう食文化の革命だよ! 世界が私を呼んでる!!》


 思念空間に響くフローラの絶叫は、雷鳴のように頭の芯を揺らした。

 耳では聞こえないはずなのに、まるで耳鳴りのような圧が脳内に広がる。


 「……っ」

 アリスは軽く額を押さえ、暴走気味の思念に苦笑を漏らす。


 それでも――心のどこかではフローラと同じくらい「欲しい」と思っている自分に気づいていた。


 (……落ち着け、わたし。荷物になるし、持ち帰りにも限界があるんだから。ちゃんと選ばないと)


 心の中で自分に言い聞かせながら、アリスは結局、冷却保管瓶を二本だけ選び取り、袋へと大事そうに入れた。

 瓶がぶつかって、コトンと小さな音を立てる。


 店主はにこやかに会釈し、「いい選びだ。旅の仲間と分けて食べると、もっと旨いよ。香りも味も、ひとりで食べるよりずっと良くなる」と言葉を添えた。


 アリスは微笑み返しながら袋を受け取り、ふと夜空を仰ぐ。

 魔力灯の光に混じって、星が街の上にかすかに瞬いていた。


 ――その後も、彼女の思念空間では怒涛の勢いでフローラが爆走を続けていた。


 《ねえアリスちゃんっ! 次はあれ食べよう、あの屋台の串焼き! 絶対あれッ! ニンニクとタレのにおい! ぐあああああああ! 食べたいぃぃぃ! あれぜったい……絶対当たりだから!》


 (落ち着いて、フローラ……わたしの胃袋は一つ……ちゃんと容量考えて……)


 《あああああ、甘い物もいいな……でもスイーツも……あ、ほらあそこ! あの果物タルト、魔導チョコ入り焼き菓子も、ぜんぶっ、まとめていこう!!》


 (ちょ、ちょっと待って、あれもこれもって……フローラ、お願いだから……ちょっと黙って……)


 《むりむりむりっ! 今日はお祭り! 祝勝会! ぜんぶ食べなきゃ損!! それが日本の精神だよ、ノリと勢いこそが文化!!》


 (何文化かよくわかんないけど、落ち着け――!)


 アリスはため息混じりに苦笑しながらも、どこか懐かしさを覚えていた。

 前世の――はるなとしての感覚が、胸の奥をくすぐる。


 そして、それを騒がしくも楽しく共有してくれる“誰か”の声が、確かにそばにあるのを感じていた。


 《ああああっ……もうだめっ……“味覚の記憶”が……追いつかない……っ!》


 (もう、酔ってるの、絶対あなただからね……)


 《ふふふ……アリスちゃん、聞いて! さっきの店も、今の店も、ぜ~んぶマーキングした! あそこもここも、ここはもう私の縄張りだぁぁぁ~!!》


 (……縄張りって……まるで犬みたいな言い方……)


 アリスは額にうっすらと手を当て、ふっとため息を漏らした。

 けれどその唇には、困ったようでいて、どこか楽しげな笑みが浮かんでいる。


 ほんのり赤くなった頬に夜風が触れ、火照った肌に心地よい。


 「……アリス?」

 すぐ隣で、レティアが眉をひそめてそっと声をかけてくる。


 その横では、ミレーネも不安そうにアリスの表情を伺っていた。


 「急に真顔になったと思ったら、今度は笑ってるし……ちょっと顔赤いよ? お酒、回ってない?」


 「ううん、大丈夫。ちょっと、ね。……面倒くさい誰かが、騒いでるだけ」

 アリスは苦笑混じりにそう返した。


 当然ながら、他の誰にも“誰か”の正体はわからない。


 「面倒くさい……誰か?」

 レティアは首を傾げたが、それ以上は深くは詮索せず、静かに並んで歩く。


 ミレーネはアリスの視線の先をちらりと見てから、ふっと微笑んだ。


 「……そういうの、なんだかちょっと羨ましいな。誰かが騒いでくれるって、楽しいよね」


 「えっ、ええと……ありがと」


 (……まったく、フローラ。人の顔を真っ赤にさせないでよね……)


 《それはお酒のせいだよっ☆》


 (うるさい)


 「アリス? 本当に大丈夫? ……なんだか、さっきから顔赤いし、笑いこらえてない?」

 ミレーネが首をかしげながら覗き込んできた。


 「あ、ごめん……ちょっと、思い出し笑い? ……っていうか、ちょっと酔っただけ……かも」

 アリスは赤い頬に手を添えて、言い訳のように微笑む。


 「ふふ、でも、楽しそう」

 ミレーネが柔らかく笑い、レティアもまた、少し肩をすくめる。


 「たまには、こういうのもいいわよね。こういう時間、嫌いじゃないわ」


 「……うん、ほんとに」


 視線を上げれば、魔力灯に照らされた石造りの路地が、まるで童話の中のように柔らかくきらめいていた。


 路地の両脇に並ぶ露店のテントが、夜風に揺れてやわらかな影を落とす。

 布地の端に取り付けられた小さな鈴が、風に触れるたびにかすかな音を鳴らし、ちりん、と控えめな余韻を残しては静寂に溶けていく。

 その音は遠くの楽師の旋律と混ざり合い、夜の街に穏やかなリズムを刻んでいた。


 吹き抜ける風はどこか甘く、香辛料と夜気の混じる香りが心を和らげていく。

 焼き上がったばかりの菓子の匂い、果実酒の甘やかな香り、そして遠くから漂う燻製の気配が、幾層にも重なって鼻腔をくすぐる。

 それらが混ざり合いながらも決して濁ることなく、むしろ調和した空気として街全体を包み込んでいた。


 石畳の上を歩く足音が、規則正しく静かに響く。

 魔力灯の光は揺らぎ、歩くたびに影の形がわずかに変わる。

 その変化がどこか現実離れしていて、まるで夢の中を歩いているような錯覚を与えていた。


 アリスはその中で、ほんの少しだけ歩調を緩める。

 手にした袋の中で、瓶が小さく触れ合い、かすかな音を立てた。

 その重みは確かで、今この瞬間が現実であることを静かに教えてくれる。


 心地よい酔いが、身体の奥でじんわりと広がっている。

 頭は少しだけ軽く、思考の輪郭がやわらかくぼやけている。

 だがそれは不安定さではなく、むしろ緊張から解き放たれた穏やかな浮遊感だった。


 そして、その奥で――。


 《アリスちゃん……まだいける……次はあの甘いの……いや、やっぱりしょっぱいの……ああでも両方……両方いこう……》


 (……まだ続くのね)


 小さくため息をつきながらも、アリスの口元には自然と笑みが浮かぶ。


 思念の中で騒ぎ続ける存在。

 けれどその声は、決して不快なものではなかった。


 どこか懐かしくて。

 どこか騒がしくて。

 そして――確かに温かい。


 (……ほんとに、うるさいけど)


 アリスは心の中でそう呟きながら、そっと目を細める。


 夜の空気と、灯りと、笑い声と。

 そのすべてに溶け込むように、その存在もまた、今この時間の一部になっていた。


 (……もうちょっとだけ、歩こうかな)


 アリスは小さく深呼吸し、胸いっぱいに夜の空気を吸い込む。

 香りと冷気が混ざり合い、肺の奥まで満たしていく感覚が心地よい。


 袋の重みを感じながら、彼女は静かに歩みを進める。


 仲間たちの笑い声が前方から聞こえる。

 揺れる灯りがその背中を照らし、影が石畳に長く伸びていた。


 その光景を追いながら、アリスはゆっくりと夜の散歩を続けた。

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