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どんなに大きな物事でも、必ず順序というものが存在する。
はじまりは生まれ、おわりが死ぬ。
つまり、ひとつのある流れが起こったのだ。
はじまりは聞き慣れない音だった。
ゴツ、とも、ベチャ、とも分類できない、鈍い音。
同時に、小さな悲鳴が聞こえた。
それが人の声だと気付くには、悲鳴という類の音を私は知らなかった。
間髪入れずに、耳をつんざく轟音が鳴り響いた。
どすん、何かがぶつかった音。
びり、何かが破れた音。
ごん、何かが落ちた音、
びしゃ、何かが溢れた音。
ぱりん、何かが割れた音。
その他、数種類の聞いたことのない音。
そして、喉を引きつらせたようなアイリの短い声。
終わりは私が振り向いた時。
あまりにも遅すぎた。
ほんの一瞬にして全てが終わっていた。
震えるアイリの後ろ姿。
視界の端で床に転がったムウの姿。
その中に立っていたのは、パパの姿だった。彼は息を荒げているように、肩を上下させていた。深淵にも似た、夜でさえも恐怖してしまいそうなほどの真黒の瞳が、私たちを睨んでいた。死神でも鬼でもない、パパという人間の持つ顔。
リタはパパの傍に立ち尽くしていた。その小さな肩には、しわにまみれたパパの手が置かれていた。
何が起こっているのか、理解が及ばなかった。
生唾を飲み込み、必死に状況を飲み込もうと努める。
そしてたった一つ、確かな情報を得た。
私たちの逃亡は失敗に終わろうとしている、ということだけを。




