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おやすみ、メメ  作者: ようひ
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17

 

 どんなに大きな物事でも、必ず順序というものが存在する。

 はじまりは生まれ、おわりが死ぬ。

 つまり、ひとつのある流れが起こったのだ。

 はじまりは聞き慣れない音だった。

 ゴツ、とも、ベチャ、とも分類できない、鈍い音。

 同時に、小さな悲鳴が聞こえた。

 それが人の声だと気付くには、悲鳴という類の音を私は知らなかった。

 間髪入れずに、耳をつんざく轟音が鳴り響いた。

 どすん、何かがぶつかった音。

 びり、何かが破れた音。

 ごん、何かが落ちた音、

 びしゃ、何かが溢れた音。

 ぱりん、何かが割れた音。

 その他、数種類の聞いたことのない音。

 そして、喉を引きつらせたようなアイリの短い声。

 終わりは私が振り向いた時。

 あまりにも遅すぎた。

 ほんの一瞬にして全てが終わっていた。

 震えるアイリの後ろ姿。

 視界の端で床に転がったムウの姿。

 その中に立っていたのは、パパの姿だった。彼は息を荒げているように、肩を上下させていた。深淵にも似た、夜でさえも恐怖してしまいそうなほどの真黒の瞳が、私たちを睨んでいた。死神でも鬼でもない、パパという人間の持つ顔。

 リタはパパの傍に立ち尽くしていた。その小さな肩には、しわにまみれたパパの手が置かれていた。

 何が起こっているのか、理解が及ばなかった。

 生唾を飲み込み、必死に状況を飲み込もうと努める。

 そしてたった一つ、確かな情報を得た。


 私たちの逃亡は失敗に終わろうとしている、ということだけを。



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