フェイクメタルと黒の組織
とりあえず毎日更新です!
今回はギリでしたw
まぁ、とりあえず今回はジェレマイア候爵邸でのお話。
詳しくは本編を(∩´。•ω•)⊃ドゾー
第五十五話「フェイクメタルと黒の組織」をどうぞご覧アレ。
夜の帳が下りる頃。
マリアはジェレマイア候爵邸に到着した。
「すみません!ジェレマイア候爵はいらっしゃいますか?」
「えっ?はっ!マリア様!どうも。この様な時間にどうしたんですか?」
「ちょっと急用でジェレマイア侯爵に会いたいのですが……」
「ジェレマイア候爵様ならまだお戻りになっておりませんが……パルミラ様にマリア様が来ている事をお伝え致しましょうか?」
「お願いします!」
そう言って門番にお願いすると門番はジェレマイア候爵婦人のパルミラに話をしに行く。
今回急に来たマリアに対して門番のこの対応は、流石に最初の時にマリアを追い返そうとした事で嫌でもマリアの事を覚えていたのであろう。
とにかく、門番はマリアの事をジェレマイア邸の重要な客と認識したようで話が早くて助かる。
そうこうしてるうちに門番が戻って来る。
「マリア様!パルミラ様がお会いになるとの事です。どうぞお通り下さい」
そう言われて、マリアは門を潜ってジェレマイア邸に入る。
そして、エントランスには既にパルミラとフリーデルが居た。
「どうもマリア様。本日はどうなさったんですか?こんな時間に?」
「ちょっとジェレマイア候爵に助けてもらいたい事が出来まして訪ねてきました」
「助けてもらいたい事ですか?父上はもうしばらく戻らないと思いますが……」
「それまで待たせてもらってもいいですか?」
「……珍しくマリア様は焦っておいでですね……何か事情がおありのようですし、ニクラスが戻るまで一緒に待ちましょう……出来ればお話も聞けるかしら?」
「分かりました……」
「ではとりあえず部屋に移動しましょう」
そう言うと1つの応接間に通される。
そこでパルミラが聞いてくる。
「えっと、それでどうしたのですか?」
パルミラがそう聞いてくるのでマリアは今日あった事を話す。
話を聞いたパルミラとフリーデルは難しい顔をしていた。
「なるほど……町の露店で怪しい武器を売ってるお店があったのですね……それをシグニット様が指摘したと……」
「シグニット様ほどの超一流の魔法鍛冶師が武器の良し悪しを見極められないとは思えないのですが……」
「そうね……フリーデルの言う通りだと思うわ。私もシグニット様が間違ってるとは思わないわ……でも状況は悪いわね……」
「何でですか母上?」
「マリア様の話によればちゃんとした鑑定書があったみたいだし……それに何より鑑定書がデタラメだとしたら、鑑定師ギルドの中に内通者が居たか、もしくは鑑定師ギルドの鑑定を正規のルートで突破した可能性があるわ」
「鑑定者ギルドに内通者ですか……それはあまりにも難しいのではありませんか?……まぁ、正規のルートで鑑定書を作るのも難しそうですが……」
パルミラとフリーデルがそう話していたのでマリアは意見を言う。
「えっと、多分ですが今回は内通者では無く、後者の正規のルートでの突破ではないかと思われます」
「えっとそれは何故?」
「一応工房でシェリル師匠とも話したのですが、どうやら今回。武器にフェイクメタルという偽の情報を内包させる素材が使われたのではないかと言う話になりまして……」
「っ!?」
マリアがフェイクメタルと言うとパルミラが驚いた表情で絶句した。
その後直ぐにパルミラが言う。
「ちょっと話も長そうですし、フリーデル?ちょっとお茶でも貰ってきてもらえるかしら?……いえ……そうね……そろそろ夜ご飯の時間ですし、マリア様の分も用意する様に手配してくれるかしら?それが終わったら戻ってきて」
「はぁ……マリア様はお時間は大丈夫なのですか?」
「え?時間ですか?大丈夫ですが」
「そうですか!それなら是非一緒に晩御飯を食べていってください!私が手配してきます。当家のシェフもマリア様に食べてもらうとなれば腕によりをかけるでしょう。お茶もお持ちしますのでちょっと失礼しますね」
フリーデルはそう言うと嬉しそうにしながら部屋を出て行く。
するとすぐにパルミラが話し出す。
「フリーデルったら嬉しそうね……それよりマリア様……フェイクメタルとは本当ですか?」
「えっと……シェリル師匠はそうではないかと言ってました……ただシェリル師匠も詳しくは知らないらしく、製法自体も謎だと言ってました……ただジェレマイア候爵に助けを求めた方がいいと判断したのはシェリル師匠です」
「シェリル様が……確かにシェリル様も超一流の錬金術師……フェイクメタルの噂くらいは知っててもおかしくないですね……ですが、フェイクメタルの事はあまり話さない方がいいですね」
「……なるほど……急にフリーデルさんにお茶の用意や晩御飯の手配をさせるという理由で部屋から退室させたのはその為ですか……」
「あら?マリア様お気づきになってたのですか?」
「そりゃ、流れが自然な様で若干おかしかったので……それにフェイクメタルの話が出たときパルミラさんが絶句してたので……」
「そうですね……フェイクメタルというのは私も一応知ってますが……この話は主人のニクラスに話した方が良さそうですね……」
「そうなんですか?」
「もしもフェイクメタルが使われてたならかなり厄介な話になってきますので……それに今回はシグニット様もこのままだと助けるのが困難になりそうですし……」
パルミラがそう話してしばらくマリアもパルミラも沈黙する。
すると扉をノックする音の後にフリーデルが戻って来る。
「母上、マリア様。お茶をお持ちしました。晩御飯の方もマリア様の分を用意するそうです!突然だったので豪勢とは行かないそうですが腕によりをかけるとシェフ達も言ってました」
「そう……それではしばらくお茶でも楽しみながら晩御飯が出来るまで待ちましょうか?」
「あれ?先程の話はいいのですか?」
「えぇ……結論からしてニクラスに任せた方がいいと判断しました。なのでニクラスが戻るまでのんびりお話でもしましょう」
「母上がそう言うなら分かりました。確かに父上の方が色々と助けになってくれるでしょうし……そうですね……それなら最近のマリア様は何をしていたのか聞きたいです!」
「ふふ、マリア様の事が気になるのね。まぁ、私も最近マリア様が何をしてたかは興味がありますが……」
「そうですね。俺の話で良ければ話しますよ」
こうしてマリアの話をする事になる。
最近は装備をオークションに出したり、冒険者として冒険をしてたりしていた話をする。
パルミラとフリーデルの2人は楽しそうに話を聞いていた。
そして、しばらくして晩御飯になる。
3人は食堂に移動して食事をする。
「ふむ……なかなか美味しいですね……それにこのパンは白パンですね……」
「そういえばマリア様もパン作りをしていたのでしたよね?」
「あぁ、ジャぱんですか?確かにパン作りもしてますね。と言っても作り方を教えて売ってもらってるだけですが」
「一度フリーデルがジャぱんを買ってきた事がありましたね……とても美味しかったです」
「フリーデルさんジャぱんを買いに行ったのですか?」
「はい。気になったので一度買いに行ってしまいました……でも凄く美味しかったですよ?」
「気に入ってもらえたなら良かったですが……候爵家の方がパン屋さんに行くってあまりないのでは?」
「そうですね……普段はお屋敷の食事ばかりなのでたまには外の食事もいいとは思いますが……フリーデルはジャぱんを買いに行った時に怒られてましたよね…ふふふ」
「うっ、確かに候爵家の人間が安易に町に買い物に行くなと怒られましたが……でもなんだかんだ言って父上もジャぱんは美味いなと喜んでましたよ?」
「そんな事があったんですね……まぁ、ジャぱんが食べたくなったら使用人に買いに行かせればいいのではないですか?」
「私は自分で買ってみたかったのです。まぁ、流石に何度も行くと怒られてしまうのでたまには許してもらえるように交渉します……ただ……パンもいいのですがケーキが食べたいです……」
「そういえばマリア様のケーキ、二度しか食べてませんね……差し入れしてくれると言ってましたのに……全然マリア様はお出で下さりませんし」
「うっ……すみません。色々と忙しくて。流石に今日は無理ですが、またケーキを持ってきますよ。どの道シグニット師匠を助ける為にニクラスさんには会いに来るでしょうし、その時にでもケーキを持ってきます」
「それは嬉しいですね」
「私も今から楽しみです……ついでに剣の稽古も付けてもらえると嬉しいのですが……」
「いいですよ。またフリーデルさんに剣の稽古を付けましょう」
「本当ですか!今から楽しみです!」
こうしてパルミラとフリーデルと楽しく食事を済ませた。
その後、まだジェレマイア侯爵が帰ってこないので、折角だからお風呂にでも入ったらどうかと言われて、マリアは断ったが、強い勧めで結局お風呂を借りている。
「はぁ……俺は何故風呂に入ってるんだ……」
マリアは1人そうごちる。
因みにお背中をお洗いしましょうかとメイドに言われたが断った。
流石に風呂ではのんびりしたいのでマリアは1人でお風呂に入っていた。
そして、風呂から上がり、身支度を整える。
風呂から上がって半刻程経ち遂にジェレマイア候爵……ニクラスが帰って来た。
「マリア様!こんな時間に何やら急用との事。どうしたのですかな?」
「あっ!ニクラスさん!やっと帰ってきたんでね」
「えぇ。ちょっと今日は仕事が忙しくて。それで要件とはなんでしょうか?」
マリアが風呂から上がって客室でのんびりしてるとニクラスがやってきたので話をする。
そして、今日あった事を話す。
「ふむ……シグニット様が捕まってしまったのですか……それにフェイクメタルですか……」
「ニクラスさんは何か知りませんか?」
「……そうですね……マリア様なら話しても大丈夫でしょう……フェイクメタルとはフェイク、要するに偽物品を作る為の物です。ただこのフェイクメタルは製造法がちょっと……いえ、かなり不味い代物でして……」
「フェイクメタルの製造法を知ってるのですか?」
「知ってます……ですがフェイクメタルの製造法を知ってるのはごく限られた人間か組織だけです……」
「組織?」
「えぇ……マリア様に以前お話した黒の組織です……フェイクメタルとは人間の生き血から製造するのですよ」
「人間の生き血ですか……確かにそりゃ相当不味い代物ですね……」
「話を聞いた感じだと、その武器屋は黒の組織との繋がりがありそうですね……まぁ、露店だった事を考えると相当な下っ端ですが、それでも黒の組織と関わりはあるでしょう……」
「ニクラスさん?どうも衛兵も様子がおかしかったのですが……その衛兵達もグルでしょうか?」
「あまり考えたくはありませんが衛兵だけではなく色々な役職に黒の組織の人間が入り込んでる様なので、恐らくは関わりはあるでしょう……」
「ちっ……」
マリアは状況がシグニットにあまりよろしくない事に舌打ちする。
どうやら今回マリア達は知らないうちに厄介な組織と事を構えてしまった様である。
マリアはどうすればいいかジェレマイア候爵に聞く。
「どうすればいいかですか……そうですね。私は確かにこのケプディンの領主ですが、私の独断で衛兵をどうこうもできませんし、シグニット様を開放する事も出来ません」
「領主でも無理なんですか?」
「えぇ……例外的に優遇したとなればその事を後々突かれかねないので難しいですね……ですが話を聞いた限りではマリア様は全てを見通す目をお持ちだとか……」
「確かに俺の目は全てを見通せますが?とは言っても心を読むとかまでは流石に無理ですけどね……あくまで理の核を見抜くだけなので……」
「マリア様……マリア様は鑑定は出来ますか?」
「鑑定ですか?一応装備の鑑定が出来ない訳ではありませんが……しっかりとした鑑定スキルではないので微妙ですね」
「マリア様が聖女なのは知っておりますが、もしマリア様が鑑定師の資格を正式に取得して、法廷でシグニット様の疑惑を晴らせればシグニット様を助ける事ができるかもしれません」
「鑑定師の資格ですか……それってどうやれば取れるのですか?」
「鑑定師ギルドに所属している鑑定師の中でも鑑定師を育成する資格を持った者に弟子入りして、免許皆伝を貰えれば鑑定師になれます……ただ……」
「ただ?」
「普通の鑑定師に弟子入りしても今回の場合は難しいでしょう……鑑定師ギルドの中でも特別枠に所属している役員クラスの者に弟子入りして資格を取らなければ……」
「そんな人が簡単に弟子入りさせてくれるのでしょうか?」
「普通は無理でしょうが私がそこはどうにかします……ただ、普通は鑑定師の天職を持っている者が何年も掛かって資格を習得するものなので、マリア様には無理を言ってますが、状況から考えるに一週間から長くても10日がリミットと考えてください」
「一週間から10日ですか?……というか商売の妨害と恐喝の罪だけでシグニット師匠の罪って重いのですか?」
「普通なら罰則金を払ったら開放でしょうが……今回の場合は多分……いえ、間違いなくシグニット様は極刑になるでしょう……」
「極刑……それって死罪って事ですか?」
「そうです……今回は問題の武器屋が黒の組織と通じてる可能性が高いです……そして、フェイクメタルの武器を看破したシグニット様をそのまま釈放にはさせないでしょう……多分いくつか罪状が追加されて無理にでも極刑に持っていくのではと思います……」
「そんな馬鹿な……そもそも極刑になる罪って……どんな罪ですか?」
「そうですね……この場合は鑑定師ギルドへの鑑定虚偽の疑惑をシグニット様が持ったという事で鑑定師ギルドへの妨害、及び鑑定師ギルドの信用失墜を図ったとかそんな感じの罪状が追加されるのではないでしょうか……」
「鑑定師ギルドへの妨害と信用失墜ですか?……そもそもフェイクメタルを見抜けなかった鑑定師ギルドが問題なのでは?」
「鑑定師ギルドも一枚岩ではないと言う事です。それにシグニット様がこの町一番の魔法鍛冶師なのも裏目に出てます」
「裏目って、何でですか?」
「シグニット様ほどの方だと発言力や影響力も大きいでしょ?だから尚の事罪が重くなってしまうんですよ……」
「なんだそりゃ……そもそもそれならシグニット師匠だって商工者ギルドの会員ですよね?商工者ギルドはシグニット師匠の事を守ろうとはしないのですか?」
「商工者ギルドからしたらシグニット様にその様な嫌疑掛けられた事事態許せないでしょうから多分口を出して来るでしょう……ですが、商工者ギルドも鑑定師ギルドを敵に回すのは厳しいのが現実です……」
「何でです?」
「もう鑑定はしないと脅されたらそれで終わりでしょうから……まぁ、商工者ギルドもそれなら今後鑑定書は廃止すると言えればいいのですが、流石にシグニット様1人の為にギルド間で戦争は起こせないでしょう……結果として商工者ギルドは黙って推移を見守る事しかできないでしょう」
「商工者ギルドも役にたちませんね……こういう時こそギルド員を守るべきなのに」
「そう言ってやらないでください……彼らも多分悔しいでしょうから……それよりマリア様には早速明日から鑑定師の資格を取る為に行動してもらいたいのですが……」
「分かりました……鑑定師の資格、必ず取って見せます……因みに裏から手を回して簡単に資格を取る事は?」
「マリア様……そういう者も確かにいるでしょうが、今回弟子入りしてもらう予定の方にはその様な手は通じません……この町の……いえ、この国の中でも鑑定師ギルドの重鎮であるカティ・ウェブスター老師の場合ですとね」
カティ・ウェブスター……それが今回弟子入りする鑑定師の名前のようだった。
老師というからには年配の方なのだろうがマリアは気を引き締めて資格を取る為に行動する事を誓う。
一応ニクラスにはもう夜だし泊まって行かないかと言われたが、シェリルが心配なので工房に帰ると言い断った。
ニクラスは直ぐに紹介状を書いてくれ、そこにはしっかりとジェレマイア候爵家の印が押されていた。
これを持ってけば気難しいカティ老も話を聞いてくれるとの事。
マリアは紹介状を貰うと急いで工房へと戻るのであった。
どうも!ここまで読んでくれた方有難うございます。
さて、今回はジェレマイア候爵邸での話でした。
最初ジェレマイア候爵……ニクラスは不在で婦人であるパルミラが話を聞いてくれました。
しかし、フリーデルも一緒に話を聞いていたのですがフェイクメタルの話になるとフリーデルは追い払われますw
パルミラはこの件は結構厄介だと言いニクラスに話すべきと判断。
お茶の後晩御飯を食べて入浴後にやっとニクラスが帰還。
マリアの客室にやってきたので早速話をすると、フェイクメタルの製造法と黒の組織の情報が入る。
フェイクメタルの製造法はどうやら人の生き血を原料にしてる模様。
取り扱ってるのは黒の組織らしい。
偶然だったが相当厄介な件に関わってしまったマリア達であった。
因みにこのままだと一週間から10日でシグニットは消されると言われる。
それを回避する為に法廷でのシグニットの冤罪証明の為にマリアは鑑定師の資格を取る事に。
次回、カティ老師なる人への弟子入り&鑑定師になる為の修行開始!……かな?
よく分からんが次回をお楽しみに♪
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