エピローグ
これにて完結です。
※お知らせです。初長編新作「異世界物語は面白いけれど、流石に一世代時が過ぎれば現地弟子が台頭する」の投稿を始めました。
○イストール地方上空
“冥界”の穴から出た二人は両手を繋いで、自由落下中であった。
「俺は気を失っている間にこんな事になっていたんだな。よく生きていたな」
ミフはぽつりとこの状況での弱気な言葉を言った。
「ねぇねぇミフ。」
空気抵抗で髪が上に上がっているゴスロリ姿のマルンは聞いた。
「イシャララが乱入する前、何か聞きたがっていたけど何なの?」
その言葉にミフはすぐ思い出した。
「君の双子の妹はフルネーム。ソリア=メルマディ=バルクだよね。」
「うん。」
「それ、俺の恋人だった人だ」
「!」
日の光でミフの左手薬指の指輪が光る。マルンは突然の肉親であの時、池の中で最期に見た自分と同じ顔の妹の安否が初めて分かった。
「ミフがいた世界にいたわけ?」
「そう。カルトまがいなこと言うと思っていたけど、君の話とこの下に広がる大陸に住む人の話を聞いて確信を持った。」
「で、妹。ソリアは無事なの!」
ミフは俯いた。
「戦争で仕掛けられた爆弾の爆発に巻き込まれて俺の腕の中で逝ってしまった」
「そう……」
少し沈黙が続いた。
「でも。ソリアも幸せ者だね。最期の最期まで、こんな素敵で好きな人の側にいたんだから」
マルンは妹の幸せを願って笑顔が出る。
「ああ。でも俺は目の前で見殺しにしてしまった。だから、好きな人のことで後悔は二度としたくない。だから君のこと……」
「?」
ミフの真っ直ぐな目に見とれて、言葉の最期を理解するのが遅れた。
○ノシン村 小麦畑
小麦が夕日できらきらと光っている中、その真ん中に手作りの一軒家があった。そこにはお父さん、数年前照れを一生懸命隠しながら来たお母さん、馬、竜、そして成長した少女……フームがいた。
帝国首都のバイチークから帰ってくる際に、お父さんの他にお母さんが増えて、このノシン村に帰っていた。
少しお母さんは気の強いところがあったけど、お父さんにベタ惚れの様子は誰が見ても明らかだったから、村のみんなとすぐに打ち解けた。
そうそう。ブノやアオを、お父さん・お母さん呼びに変えたのはその頃からだった。
何が起きたのかというと、弟か妹が生まれるからだ。
お姉ちゃんとしてふさわしい姿を見せなければならないし、どこか口に出すことに勇気の欲しかったこの呼び方がしっくりきた。
バイチークから、ミフおじさんと離れて1年近く経っていた。
「へー。ブノはノシン村でスローライフを送っているのか。やっぱり異世界だなここ」
とやたらスローライフを連呼していたジョーおじさんや、
「アオ。ノシン村上空にできると予測する穴の警護は任せたぞ。私が帰ってくるまでに、ブノを攻略しなければノシン村へそのまま強制的に住まわす」
とかなり気の利かせたことを言っていたボットお兄さんからも、手紙の返事が来ない。
お母さん曰く、
「あの人たちは何年掛かるか分からない旅に出ているの。ひょっこりノシン村へ訪ねてくれるかも」
らしい。
その時に、返事を寄越さないことをしかってやろうと思った。
ある日、フームはいつものように朝起きて朝食をお母さんと作り、午前中は教会で教師さんから学問、超難しい魔法を習った。
午後からは家の農業の手伝いをし、一息ついた夕方に復習と予習をリビングで参考書と共にしていた。
今日少し違ったのは、午後にお父さんお母さんが用事あって出かけて、家には友人であるムフーしかいなかったこと。
そんな中、突然の地震で慌てて畑の全貌が見えるリビングの窓を開けたこと。
そして、目の前には今まで見たことない、大きな美しい夕日が出ていたことだ。
少し太陽に友人と一緒に見とれていると、かつて畑に空から降ってきた人と、その人が愛しているお姫様の存在に気づいた。
風で小麦がゆらりゆらり揺れる。
フームは、二人が大きな夕日をバックにとても長い時間、お互いの顔を重なり合わせているのを見た。
数多ある小説家になろう作品の中から、米屋品楠の初投稿作品「冥界で出会った死神に恋をしたから、異世界生活はすぐに終わった」を覗いてくださり、誠にありがとうございます。
これにて完結です。
おおよそ一週間に及ぶ集中更新を追いかけてくださった方、更新欄から来てくださった方、気まぐれに読みに来てくださった等々、全ての読者の方に感謝いたします。
※ポイント評価をお願いします。今後の創作活動の参考とさせて頂きます。ご協力お願い申し上げます。この作品をお気に召しましたら、ブックマーク機能が読み返すときにオススメです。
※もっと読みたい! と作者として大変喜ばしい想いをお持ちの方へ朗報です。この作品世界を共有した新作「異世界物語は面白いけれど、流石に一世代過ぎれば現地弟子が台頭する」の投稿始めました。初めての長編連載作品となります。是非合わせてごらんになってください。




