ボットの正体
皇族と謁見するとか、やっと異世界生活で活躍できるようになってきた。
※お知らせです。2018年7月11日更新分で完結予定です。もう少し、お付き合いください。
「たく。あんたは何しに来たの!」
センツとブノとの間に上から飛び降りてきて、ブノと火の玉の間に着地した。
腰に差している剣を抜いて斬撃を数発食らわせ、火の玉を分散させた。
ブノの前にはショートカット。
同性から妬まれそうな程の抜群のダイナマイトな体を持つ戦士の目をした美女。
フームいわくお姉さん。
そして、ブノの王国騎士団入団を最期まで反対した幼なじみの女性騎士が立っていた。
「アオ=シコメ=ターニング……お前まで……。」
槍だとブノ、剣だとアオという二人とも同郷の幼なじみという華々しいルーキーで肩を並ばしていた。
現帝国騎士団二番隊隊長の突然の登場にセンツは舌打ちする。
「少し友人の言葉を訂正させて頂きますと、あなたはやられます。
その前に面倒そうなベリュアンの力を抜きます。」
ミフと同じく時空を超えやってきた?
「ジョー! ジョーサカタ!」
ジョーは木彫の美しい……ただの木刀で、センツの体を殴打し、黒いベリュアンの霊体を押し出した。
霊体が飛び出した地点の床には、とっくに元に戻っている皇帝が封印の魔方陣が書いていた。
そのまま逃がさない。
「くっ。俺をはめたのか……」
センツは悔しそうな顔をする。
「人に罪を擦り付けて来たサイコ野郎に言われたくない。お前は調子乗りすぎだ!」
ミフが顔面に腕が砕けるほど、グーで殴った。
「何とか言いなさいよ! ブノ!」
アオは、砕けた腕を治癒魔法で直し、ブノにかなり説教をしていた。
ここまで興奮しているし、長年心配をかけていた幼馴染みに何も言い返せない。
「お姉さん。素直じゃないんだから。たびたびブノの様子を見にノシン村まで来ていたくせに。」「むっむっ」
フームが言った図星の照れ隠しの報復として、ブノは数十発殴られていた。
そして治癒魔法をかける。
センツは皇帝配下の兵士に捕らえられ、牢屋に送られた。
後に真実を世間に向かって白状した後、処刑。
もちろん勇敢記刊行は中止。
本来書かれる筈だったこの号は欠番となった。
余談だが皇帝の死後、この号の下書きが一人の娘連れの槍使いとサムライがモデルとなっている話だったと知られるのはずっと先。
皇帝の暗殺を防止した立役者は、大いに褒美を受けることになった。
一向は主の居なくなったバルバルバールでささやかな宴を開いていた。
元の持ち主であるクイサは、センツとの繋がりがあった証拠は出てきたため、命は助かるものの追放。
財産は没収処分となった。
そうした中、ここでミフが一番気になっていた人物を確認する。
「で、ジョー。何でお前がいるんだ」
異世界転移する前からの親友。
本当は、あり得ないほどの奇跡のツゥーショット。
異世界に友人がいるとは思いもよらない。
ジョーがこの世界に来た要因は『俺は独裁者の隠し持っていた巨大浮遊戦艦の動力部を食い破ったときの爆発で、この世界に飛ばされた。』らしい。
「俺は異世界転移を行った! 肉体が据え置きな能力なのは厳しいが、この世界で異世界チート! 俺TUEEE! でハーレムを築いてやる!」
「いや。それはないだろう。お前、奥手というか、チキンだから」
「なんだ! このロリコン!」
「ミフさん。よろしいですか?」
手を上げて賑やかだった場が、言葉を発した青年に集中する。
それまでいがみ合っていたブノとアオが静かになり、異世界組の二人もそれにならった。
「そこのお嬢さんから聞いたことになるのですが、あなたは“イシャララ”に会ったことがあるようで」
「なぜそれに興味を? その前にあなたは何者ですか?」
「ボットさん!」
アオが前に出てくるのを、手で制止させる。
「私は、ボックリ・マツカイサ。このマツカイサ帝国現皇帝の嫡子だ。第一皇子として、名を連ねている。最近は、親友のイーゼと共に冒険者を行っている。ボットと呼んでください」
マジか。という顔をミフは隠せない。
確かにマツカイサ皇帝の暗殺を阻止したのだから、こういった身分の人と話す機会はあるはずだ。
やっと異世界物語に、自分が巻き込まれたという自覚が出てきた。
「イーゼって名前の由来は、この世界で広く信仰されている聖書からだ。
本名は別にあるらしい。世間では、世界の英雄という称号がよく語られているらしい。かなりの有名人のようだ。」
今さっきから、ジョーが小声で補足する。
「そういえば、ジョーとボックリ殿下は、どうやって出会ったんだ?」
「こういった場はボットで大丈夫らしいぞ。
俺がここに次元の壁を突破して転移した直後にちょっとあってな。それが縁で、ここバイチークに来た。詳しくは後で説明する」
「ということは、アオはボックリ殿下の護衛だったということか」
ブノは納得した。
「そういうことだ。珍しくアオが、積極的になったと思ったら。最終的に」
「殿下。そこまでにしてください」
こういった女性の威圧に逆らうのは危険だ。ということをしっかりと熟知している。
コホンと咳払いを行い、ボットは続けた。
「色々端折りますが、私はイーゼとその仲間達とパーティーを組み、イシャララと呼ばれる存在と戦ってきました」
ミフの緊張が高くなった。
「単刀直入に申し上げます。私と一緒に、冥界“イシャララ”の討伐に行きませんか?」
笑顔でそのように答えた。
※翌日掲載分より、夜一話ずつの更新とさせて頂きます。
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