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エタニティオンライン  作者: 足立韋護
欲望
114/157

開眼する鬼神と忍

────その頃、ディザイアの時計塔の下には十数人の黒衣に身を包んだ信者に囲まれたテンマとリベリィの姿があった。

 そのすぐ近くの宙空には巨大な歪んだ穴が開いている。運営の説明通りログアウトホールが現れていたのだった。


 テンマは手足の動きをしきりに確認している。


「手間が省けたなリベリィ」


「まさかログアウトホール近辺に信者達が集中しているとは。誰一人として逃さないつもりなのかも」


 信者集団の一人がリベリィに声をかけてきた。


「リベリィ、裏切ったことまでは見逃してやれる。だが邪魔立てするなら容赦しないぞ」


「覚悟してる」


 顔をしかめたリベリィもまた、黒衣の信者達と酷似した黒衣の姿であった。


「くく、お前達の教祖の顔を一度潰してやったのに、懲りない奴等だ」


「モガミ様をバカにするな! そうだ、お前がモガミ様の商売を潰したりしなければこんなことをする必要はなかったんだ! モガミ様は商売によって得た金で食糧を平和的に集めるお考えがあったのに!」


「他人の店から客を強奪するだけでなく、復活薬を餌にして誰かを操ろうなどと企てたことが気に食わなかったものでな。

 どうだ、お前達もあんな低俗なメス狐から私に寝返る気はないか?」


 黒衣の男が腰の辺りから勢いづけて短剣を取り出し、切っ先をテンマへと向けた。


「バカにするなと言ったぞ! この数相手では天馬騎士団の団長と言えど!」


「そうか。お前達も永遠の命やあの女の美貌に魅了されてしまった愚か者共だったな」


 テンマは、にやけつつもひたすら首の動きや四肢の動きを確認しているだけだった。

 やがて「ふう……」とため息をつくと、アイテムチェストから一本の武器を取り出した。それは真紅の刃を持つ大太刀だった。大太刀は月夜によって妖艶な輝きを放つ。


「この武器は妖刀『羅刹天』という。私の斬撃を唯一かわし続けた男の武器だ。

 リベリィ、機が熟したと判断したときにそこにあるログアウトホールへ入れ。良いな」


 リベリィが小さく頷いたことを確認したテンマはその相貌を見開き、羅刹天の柄を握りしめ、黒衣の男へと切っ先を向き返した。


「私を倒せる者がいるのか、試させてもらうぞ!」


 そのあまりの気迫と眼光に、信者達は一瞬視線を泳がせた。その間わずか三秒程度で、話していた黒衣の信者の腹部を刀で貫いた。そのまま片手で男とともに刀を持ち上げてみせた。

 黒衣の男は驚愕と痛みで混乱している。


「お前、ステータスもままならないではないか。その気概は良いが、実力が伴っていない。そんなお前が人に刃を向けるのは勇気ではない。蛮勇と言うのだ」


 テンマは体を小さく捻りつつ、刀を右方向へと強く振りかざした。男は遠心力に引っ張られ、突き刺された刃から解放された代わりに宙へと放り出された。その先にはログアウトホールが口を開けて待ち構えていた。


「待て! 俺はまだ────」


 男はログアウトホールへと飲み込まれていく。強制的にログアウトさせられた男を見た周囲は、足が鉛のように重くなり、なかなか踏み出せなくなってしまった。


「残り、十七人」


 テンマが姿勢を低くし、信者達の中へと突貫した。そのまま激突して隊列を崩壊させたと同時に信者二人の頭を掴み上げ、ログアウトホールへと放り投げる。


「残り、十五人」


 残った十五人は全員がテンマへと釘付けになり、リベリィはその鬼神の如き戦いぶりにただただ圧倒されていた。


『リベリィ、機が熟したと判断したときにそこにあるログアウトホールへ入れ。良いな』


「隙が出来たら逃げろということ……?」


 テンマはその間も三人の信者を串刺しにし、ログアウトホールへと投げ込んだ。


「残り、十二ぃ!」


「私だって……私だって! 『ブーストアップ』、『レックレスソウル』」


 リベリィは『ブーストアップ』によって敏捷性を上昇させ、更に『レックレスソウル』で防御力を下げる代わりとして、敏捷性上昇効果を重複させた。

 リベリィはテンマに引けを取らない速度で駆け出し、軽快に大きく跳躍した。時計塔の壁面を踏み出しながら、宙で体を一回転させつつ信者の頭頂部にかかと落としを食らわせた。

 それによって倒れこんだ信者の腕を、テンマが乱暴に掴んでログアウトホールへと投げた。


「リベリィ……。ふ、面白い!」


 リベリィは右手に短剣を構え、左手指の間の三箇所に投げナイフを挟み込む。


「あと、十一」


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