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異世界の歩き方!  作者: Sakaishi-Nihonshi
第2章, 信頼関係構築イベント
28/33

傲慢で身勝手な恐怖

「あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!

ううっっっ!! はぁはぁはぁ……」


一旦だが意識が戻った

激痛が走ってから、一体どれほどの時間が経ったのだろうか

気を失っていた間、僕は所構わず泣きながら叫んでいたようだ

頭をハンマーで打ち付けられているような激痛には、

依然変わりないが僕はそれすらも押さえつけて周りを見渡す


「カガミ! カガミ!!

あんた大丈夫なの!?

突然蹲(うずくま)ったかと思えば、叫び出して……

ねぇ!!」


「ひぃっ……」


僕の下にまで駆け寄ってきたマヤは僕の肩を激しく揺さぶる

地べたに横たわり、みっともなく身をよじり苦しむ

僕はその手を強引に振り払い

仰向けのまま両手を使ってマヤから離れようとする


「どうかしたの?」


「あぁ……

うううぁぁあぁぁああああ!!!」


「どうしたの!?

叫んでるだけじゃ、わかりっこないわよ!!」


「や……止めろ! こ、来ないでくれ!! 

死んでるくせに……しゃ、喋ってんじゃねぇよ!!!」


「何言ってんの!?

死んでなんかないでしょ!?

本当にどうしたのよ!!」


マヤはここ一番の声の張り上げを見せて、

ジリジリと後退する僕に、歩いて近寄ってくる


「だから……だから来んなつってんだろ!!!!

し、死体がよ!!!!!」


僕は右足を突き出して、

近づいてくるマヤを衝動のままに思いっきり、蹴り飛ばした

マヤはそのせいで石畳の地面に尻餅をついてしまい

その鈍痛に顔を歪め、悶絶している


「ひひっ……ひ

ざまぁみやがれ!!

肉片が一丁前に喋ってんじゃねぇよ!」


そう醜い捨て台詞を吐き残して、

僕は急いで立ち上がりよろけながらも

屋敷のエントランスの方へ走り出す


目的地はない

屋敷に向かっている理由もない

ただただ

邪気を孕みながら僕を嗤っているこの『未来』から逃げたかったのだ

いずれ必ず訪れる未来から……

いわば最低の現実逃避と言ったところだ


できることならば、今すぐマヤのところにまで戻って

土下座でもなんでもして心から謝りでもしたい

でも、できない


この『未来予知』という祝福が生み出した恐怖が、

僕のその願いを根本から否定してくるのだ

こんな未来を知るなんていう絶大で強力な力を有しているのに拘《かか》わらず

それを自身の薄幸体質に落とし込み、不幸自慢にすら利用してしまう

そんな傲慢、且つ身勝手な恐怖感情を抱く僕に

僕は深い軽《《蔑》》心を抱いた


「ひぃはぁ、ひぃはぁ、ひぁはぃ

ううっぷぅぅ、ウゥゥゥエェェ………」


通告もなしに襲って来た猛烈な吐き気に狼狽《うろた》えてしまい

その急かす足を止め、喉奥に手を突っ込みながら、その場で嘔吐をする


つい数十秒前まで無邪気に談笑していた少女が突然

胴を切断され、

四肢をもがれ、

包丁を突き立てられて、

無惨にも死んでいる未来を見せられたのだ

僕はその重すぎる未来に耐えかねて、ある種の錯乱状態に陥っていたのだ


「かはぁぁぁ…… ごほっ……」


体内に滞在していたゲロを全て石畳に吐き終えた後、

僕は再び屋敷に向かって走り出す

太陽は地平線に沈みかけており、夜空には幾つもの星が見え始めた

そのせいで眩く光る屋敷の館内の照明が

余計に僕にとっては希望のある逃亡先に写っていた


「はぁはぁはあっはははぁ,,,はは,はははははは!!!……

ひ……」


気の狂ったまま、笑い続けていると

屋敷の玄関から2つの人影が

走りながらこちらに向かってくるのが見えた

それを視認して僕は思わず足を止めてしまう



「ちょっと! フウマ!

今の叫び声は何よ!?

日が沈んだら静かにしてって!!」


「師匠の言う通りだぞ!!

ちょっとは周りの迷惑を考えてくれよ!?」


身長差のある2つの人影はルナーシュとプラティだった

ちょうどお風呂上がりだったのか、

ルナーシュの方はバスタオルを1枚羽織っただけの軽装で、

とても寒そうにしている

2人は説教をしながら止まっている僕の目の前に現れ、立ちはだかってきた


「どけよ!! に、に、肉片どもが!!!」


2人のことを人差し指で指し、

そのまま無視して屋敷の方へ突っ切ろうとする


「させない

師匠の話を無視するな!

たとえフウマでもその行為は許さない」


プラティは今までの無邪気さとは一変、

険しい表情を浮かべながら

すぐ横を通り過ぎようとする僕の腕をガシッと掴んで離さない


「はぁぁ!?

放しやがれ!! こんのガキがよ!!!」


腕を必死に振り、彼女による拘束を解こうとするが

プラティの出所不明の馬鹿力にはどうしても勝てず、

逆に彼女の握る力は更に強まっていく


「だからぁぁあぁよぉ!!

放s………ウゥゥゥァ!!!!!

いっっっっっっっっつぁぁぁ!」


未来予知に伴って来る激痛が更に苛烈になっていく

もともと未来予知後の鈍痛はあったのだが、

それに加えての激痛が僕の脳に響いてきたのだ


僕はその痛みにただただ

叫び声を上げて、自暴自棄となり、暴れることしかできない


「やめてくれよぉぉぉぉっぉぉぉぉ!!!

来るなよぉぉ!!

みらいよt………

ガハァァァ」


喉はとっくのとうに枯れ果ており、

潰れ、ひしゃげた声でそう叫ぶ

その時に軽率にも『未来予知』の単語を発してしまい

「未来予知を口外してはならない」というルールに抵触してしまった


そのせいで前回を上回る量の

血反吐を石畳に垂れ流してしまう

その血は石同士の隙間を伝って、どんどんと広がっていく


「うあぁぁ…… なんで……なんでなんでなんn……

イッッッッッ!!」


タオルが落ちないようにそれを掴むルナーシュ。

1ヶ月ぶりの僕の吐血に遭遇して慌てふためく彼女とは対照的に

プラティは依然としてその手を放さずにいる

その頭の激痛と彼女の握る手の痛みという

二重苦により僕は顔を極限にまで顰《しか》め、悶え苦しむ


「止めて………

頼むから…お願いだから来ないでくれ……

みらいy……」


苦しそうに泣きながら、そう次なる言葉を紡ごうとした瞬間

僕は再び意識を失ってしまった

こうして本日2度目の

『未来予知』による悪夢が再開される


***


引き続き、私 █ █ █ = █ █ █

による能力名『未来予知』で視認することのできた

情報の開示を続ける


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