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俺の知ってる戦国時代と違う! ~歴史知識が通じない世界で、優秀すぎる家臣たちが天下を目指す~  作者: チャプタさん


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第百十話 兄上

第百十話 兄上


保護圏の、さらなる拡大が続く中、拠点には、これまでと変わらぬ、静かで、確かな日常もまた、大切に、守られ続けていた。お市は、齢十七を迎え、これまで以上に、拠点の運営に、深く、そして、確かに、関わるようになっていた。


ある日、私は、久しぶりに、お市と、拠点の縁側で、ゆっくりとした時間を、過ごすこととなった。橙色に染まる夕暮れの空の下、私たちは、しばらくの間、他愛のない会話を、交わし続けていた。


「兄上、最近は、また、色々と、大変なことが、続いておりますね」お市が、心配そうに、私の顔を、覗き込んだ。


私は、少し疲れた笑みを浮かべながら答えた。「そうだな……。遠江のことも、あったし、今川方との、緊張関係も、正直、まだ、続いているからな」


お市は、優しく、私を、見つめた。「兄上は、いつも、多くの重荷を、御自身の肩に、背負っておられます」


私は、その言葉に、少し驚きながら答えた。「え、そんな風に、見えるのか?」


お市は、静かに頷いた。「はい。されど、兄上は、決して、その重荷を、周囲に、悟らせようとは、なさいません。いつも、静かに、御自身の中で、それを、抱え続けておられます」


私は、その洞察に、深い感慨を覚えた。「そうか……。お市には、そんな風に、見えていたんだな」


(訳:本当に、お市は、いつも、俺の、そういうところまで、しっかりと見てくれているんだよな)


私たちは、しばらくの間、静かに、夕暮れの空を、眺め続けていた。やがて、お市が、静かに、私に、語りかけた。


「兄上」


「うん?」


「わたくしは、これからも、兄上のお傍で、少しでも、お力に、なりたいと存じます」


私は、その言葉に、深い喜びを感じながら答えた。「本当に、いつも、ありがとう。お市がいてくれるから、俺は、こうして、なんとか、頑張れているんだと思う」


(訳:本当に、単純な言葉なんだけど、これが、俺の、正直な気持ちなんだ)


お市は、その言葉に、少し頬を染めながら、優しく微笑んだ。「兄上……」


その柔らかな呼び声に、私は、これまでと変わらぬ、確かな喜びを、内心で、感じていた。(お、俺が兄上だ……! もう、何年も、こうやって呼ばれ続けているのに、この喜びだけは、全然、変わらないんだよな……! いや、妹相手にこんな感情、絶対にダメなんだけどな!)


私たちは、その後も、しばらくの間、穏やかな時間を、共有し続けた。話題は、拠点の日々の出来事から、これまでの、様々な思い出まで、幅広く、移り変わっていった。


その様子を、少し離れた場所から、静かに見守っていた利家が、感慨深げに、傍らの一益に、語りかけた。「殿とお市様――あの絆は、幾年経とうとも、決して、色褪せることは、ないのだな」


一益も、深く頷いた。「まことに。殿は、決して、その想いを、表に出されることは、ないが、その静かな眼差しには、確かな深い愛情が、常に、宿っておられる」


二人の会話を、私もお市も、まったく知る由もなかった。私は、ただ、兄として、妹を、大切に想う、その純粋な気持ちのままに、お市との時間を、過ごし続けていた。


その日の夜、お市は、自室に戻ってから、一人、静かに、物思いに耽っていた。(兄上との、こうした、穏やかな時間が、わたくしにとって、どれほど、大切なものであるか……。この想いは、いったい、何と、呼ぶべきものなのでしょう)


彼女の中で、その名付けようのない感情は、これまでと同様に、確かな深さを、増しながらも、周囲の「兄妹の絆」という、確かな理解の中に、静かに、そして、決して、それ以上には、解き放たれることなく、しまい込まれていくのであった。


私は、その夜、寝所で一人、これまでの、お市との、長い日々を、静かに振り返っていた。あの、桶狭間の混乱の中、初めて彼女と対面した日から、もう何年もの月日が、流れている。それでも、お市の存在は、私にとって、いつも変わらず、確かな、大切な、拠り所であり続けているのであった。


(お市が、これからも、ずっと、元気に、笑顔で、過ごしてくれたらいいな)


その素朴な、しかし、深く、確かな願いを胸に、私は、静かに眠りについたのだった。


翌朝、私は、拠点の広場で、お市が、女中たちに、丁寧に、何かを指導している様子を、目にすることとなった。私は、その光景を、少し離れた場所から、興味深く、見守っていた。


「お市様、この配分で、よろしいでしょうか」一人の若い女中が、お市に、確認を求めていた。


お市は、丁寧に、その内容を確認しながら、優しく答えていた。「はい、それで結構です。皆様、いつも、よく頑張ってくださっていますね」


私は、その様子に、深い誇らしさを覚えていた。(お市が、こんな風に、みんなを、優しく導いてくれているんだな)


しばらくして、お市は、私の姿に気づき、こちらへと、歩み寄ってきた。「兄上、御覧になっていらっしゃったのですね」


私は、少し照れくさそうに答えた。「うん、お市が、みんなを、上手に、まとめているのを見て、本当に、感心していたんだ」


お市は、その言葉に、優しく微笑んだ。「兄上に、そう仰っていただけるのが、何よりの、励みになります」


私は、その言葉に、深い喜びを感じながら答えた。「これからも、無理はせずに、頑張ってな」


(訳:本当に、お市には、いつも、感謝の気持ちしかないんだよな)


その日の午後、私は、拠点の高台に立ち、遠く広がる、保護圏の風景を、改めて、眺めていた。かつて、絶望の中で始まったこの物語が、こうして、お市の、確かな成長と共に、これまで以上に、豊かな、そして、平和な日々を、築き続けている――その事実に、私は、改めて、深い感慨を覚えていたのだった。

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