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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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元帥

「……何と言うか、改めてウィルアード准将が味方で良かったと心の底から思えるな」


「そう言っていただけると嬉しいです」


 色々とビックリだが、この勘違いで何か致命的なミスをしたことは幸いにもなかった。

 この時点で知れてよかったと思うことにしよう。


「はぁ」


 何とも言えない嘆息を僕がした次の瞬間、部屋がノックされる。


「何だ?」


 それに反応したニュースベック大将閣下からは僕から視線を外し、扉の方へと視線を送る。

 今日の本題が来たのだろう。

 僕も立ち上がり、ニュースベック大将閣下の後ろへと移動する。


「元帥閣下がお越しです」


「よろしい。開けろ」


 司令部の警備をしている兵士が僕たちのいる部屋の扉を開ける。


「よく来たな」


 その扉を通って部屋へと入ってくるのは一人の男性。


「カーランド元帥」


 その人こそが現在のルノア王国軍の実質的な頂点にいるカーランド元帥であった。

 そして、そのカーランド元帥こそが此度の西方戦線での大敗を指揮した人でもある。

 

「閣下をつけよ……!ニュースベック大将から私に来るよう命じるなどっ。何様のつもりだ。貴殿から来るべきであろう!」


 そんなカーランド元帥閣下は部屋へと入ってくるなり文句を口にする。


「ふんっ」


 だが、その言葉をニュースベック大将閣下は鼻で笑い飛ばす。


「私の命で大人しくここに来た時点でもうわかっているだろう」


「……」


「国王陛下がお前を呼んでいる。その階級章はすぐに降ろすことになるだろうな」


「……くっ」


 続くニュースベック大将閣下の言葉は強かった。

 カーランド元帥閣下は下唇を噛み、表情を下に落とす。


「元帥ともあろう人間がわざわざ最前線に出てきていること自体、お門違いなのだ。元の立場から西方にしがみついたんだろうが、元帥らしく中央に残って全体の統括をしていれば、無能のお前でももう少しその立場に居られただろう」


「……西方での勝利にこそ、ルノア王国の栄光があるのだっ」


「それで負けていたら世話ないだろう」


 本当にそうね。

 後二年。西方ではずっと膠着しててもらって、ローシャ帝国をボコし続け、他の国が参戦してくる余地を残さないようにして。

 その果てにある外交戦で白紙和平を結ぼうと思っていたのに、これじゃあ、僕の思惑が全部パァだ。


「敗北者であるお主にもう口を開く権利などない。重要地帯を失ったのだからな」


「……」


 カーランド元帥閣下は顔を俯かせ、沈黙する。


「名誉も地に落ちたな。後方でどう生き残るのか。とく考えると良い」


「……にゅ、ニュースベック大将閣下っ」


 ニュースベック大将閣下から死刑宣告にもその言葉を聞かされたカーランド元帥閣下は俯かせていた顔を上げる。その表情には歪な笑みがあり、その口から出したニュースベック大将閣下を呼び声にはこれまでなかった敬称がついていた。


「今更私へと媚へつらおうとするなよ?醜い」


 その態度を一瞬でニュースベック大将閣下は斬り捨てる。


「くっ!女の癖して!何様のつもりだ!そんな態度であるから、貴様は独身なんだ!」


「はぅっ!」


「……あっ」


 どうしよう。ゴミみたいな捨て台詞なのに、ニュースベック大将閣下にクリーンヒットしてしまった。

 ニュースベック大将閣下、結婚願望はあるからな……。


「……おぉ」


「ニュースベック大将閣下。気にする必要はありませんよ」


「おぉ!」


「ニュースベック大将閣下は立派な御人です。軍人として大成為され、数多くの功績をあげてきた貴方があのような言葉を気にする必要はありません」


「私にはウィルアード准将がいるからな!」


「……ん?」


 なんか、……なんかその言葉はちょっと別の意味に聞こえないか?


「あのような言葉だと!准将が、私の言葉を取って何というっ!」


 僕が首をかしげる中、横からカーランド元帥閣下が割り込んでくる。


「カーランド元帥閣下。貴殿に求められているのは情報の提供です。既に資料は頂きました。ニュースベック大将閣下への後任を託す挨拶を終えた今、カーランド元帥閣下は早急に国王陛下の召喚に応じるべきでしょう」


「たかが准将風情が!どの口で!」


「私はウィルアード侯爵家の人間であることをお忘れなく?カーランド元帥閣下。カーランド公爵家での居場所も捨てたいですか?」


「ぐっ」


 ウィルアード侯爵家はカーランド公爵家と仲が良い。

 というよりも、優位にあると言うべきか。ウィルアード侯爵家はカーランド公爵家にかなりの金銭を貸しており、実質的な力関係はウィルアード侯爵家の方が上だった。


「お引き取りを。カーランド元帥閣下。これまでお疲れ様でした」


「……こんな、はずでは……わ、私は西方で勝利を収め、英雄にっ」


 僕の言葉にカーランド元帥閣下は力なく地面に崩れ落ちる。


「連れていけ」


 そんなカーランド元帥閣下を連れて行くように僕は部屋の外にいる兵士たちへと命じる。


「辞めろっ!?はなせぇ!私を誰だと思っている!」


 両脇を兵から掴まれたカーランド元帥閣下は醜く言葉を喚き散らしながら、部屋から引きずられていった。

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