第五節 ロッカーに手紙って、定番はラブレターだよね!
俺は瞬時に靴箱を勢いよく閉じ額を壁に押し当て現実逃避する。
「おい、何の冗談だ。こんな笑えねぇ冗談は一体なんだ?」
こんな事をしても意味がない。仕方なく現実逃避を止めて、改めて靴箱開ける。するとやはり俺の見間違いではなくしっかりと四通の手紙があった。
「あれだ、…どうせ誰かのドッキリか、嫉妬に狂った男の脅迫だろう」
未だに現実を受け止めたくない俺はそう自分に言い聞かせ、四つある手紙の中から一つ選び中身を読んでみると。
――話ガあル。生ト会しツまデ来イ
「…何だコレは? 何で殺人予告的な手紙が俺の靴箱に入っている⁉」
その手紙には昔の刑事ドラマでありそうな新聞や雑誌の切り抜きで作られており、ある意味不気味な手紙だった。と言うかよくこんな短時間で手の込んだもの用意できたな、俺が天月に告白されたのは昨日だって言うに。
それにしてもこの手紙、もしかして天月の事が好きな男子が送って来たのか? だとしたら、この嫉妬に狂った男に殺される?
……ありえそうで笑えないな
それにしても生徒会室とは随分と遠いな。この学院の校舎は中等部、高等部、大学部、そして教務部の四つの校舎がある。
教務部とは、嚙み砕いて言えば職員室だ。その教務部の中に生徒会室があり、他にも会議室や情報処理室、図書館などがある。
そして校舎の配置が中庭を囲む様に立っており、現在俺がいる高等部の反対側が教務部。左側が中等部、右側が大学部となっている。
「き、気を取り直して次に行くか」
俺は残り三つある手紙の一つを開ける。
――大学部の保健室まで来なさい。拒否権はありません。
手紙には俺の人権など無視されていた。いや、ダメだろ人権を無視したら。
しかも大学部の保健室ってここから2番目に遠い場所だろ。先ほども説明したがこの学院の校舎は四つ校舎があり、そのうちの中等部、高等部、大学部にそれそれぞれ保健室がある。他にも音楽室、調理室などもそれぞれ用意されている。
「…残り二つか」
俺はため息混じりに呟きながら三枚目の手紙を開ける。
――お話があります、高等部の屋上に来てください。
手紙には万年筆でとても綺麗な字が書かれていた。
一見普通の手紙に見えないこともないが、残念ながら何故かこの手紙から殺気を感じてしまう。何か独自欲のような殺気を感じる。まるでこれは自分のものだと、手を出す者は殺す的な…まあ、どっちにしろ、碌な手紙ではないな
「もう…何か開けるのも嫌だな、さて最後は」
俺は最後の手紙を開いた。
――高等部、1年B組まで来い。
今度はシンプルにシャーペンで書かれているが、何だろう…。この無言の圧力は…。
脅迫状といい、人権無視といい、殺気といい、どの手紙もまともな手紙が一通も無い。本来ロッカーに手紙って、昨日貰った天月の手紙…ラブレターが定番だと思うんだが。
決して脅迫状などを送る場所じゃないと思うんだが…
それに、本音としては正直行きたくないな。だが、行かなかったら行かないで、凄く恐ろしい事が待っていそうだし、前途多難だな。
取り敢えず一番安全で近い自分のクラスである1年B組の教室に行くか。
俺は現在手紙で指定された1年B組に向かっている。
もし、殺しに来るようならそれなりの対応をするか。そう考えているうちに教室の前に着いていた。
俺はこの後の事を考え俯きながら教室の扉を開く。
「―――来たか」
「へ……?」




