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セラピー(ただのイチャイチャ)ーご主人様による奴隷への福利厚生︰癒し 拘束 微エロ

私がご主人の下に身を寄せてそう長くはない事もあるが、実はこの暮らしに馴染むには少し時間が掛かった。


ご主人もこの環境も決してとっつきにくいなどという事はない。

むしろ抱擁力に満ちた、あまりにも恵まれた場所と言えるだろう。


温厚で寛大、可愛らしささえ感じさせつつ、頼もしくもある主。

その主が招き入れてくれた温かで安全な住処。


ケチの付け所もない。


ただ、ご主人と出会った当初、私はまだ全てに対して警戒心を抱いていた。

まあ、全く未知の世界に迷い出てきたのだからある程度は仕方ないとも思うが、それでも特にご主人の前では身構えていた。


誤解の無い様に説明すると、私がこの街で、この世界で……否、人生で最も信頼しているのは主である本条正也だ。

だが、だからこそ、自分の弱い部分を見せる事を避けてもいた。


見栄とかプライドだとか、そういう理由も勿論あったが、私は単純に、この少年(実年齢は置くとして)に失望される事を酷く恐れていた。


自分は不幸だと騒ぎ立てるつもりはないが、決して幸福でもない人生を歩んで来たと思う。

そんな中で辿り着いたこの街で出会った本条正也の存在は、私にとってあまりにも大きかった。


嵐の大海で唯一しがみつく事の出来る流木の様に、絶対に失ってはならない、それを考える事さえ怖ろしい存在。


故に、私はしばらく甘え下手だった。


例えば、私は時折悪い夢を見る。

忌まわしい過去の再現にうなされて目を覚ます事も少なくない。


そして、悪夢の翌日は自分でもわかる程に心身が乱れていた。


そんな時はご主人が可能な限り寄り添ってくれていたのだが、あろう事か私の方がご主人を拒んでいた。


文字通り身を寄せてくれたり、時には抱き寄せてくれたりもしたし、私もそれに甘えていたのだが、それで精神が持ち直してくると「これ以上の迷惑は掛けられない」と考える余裕が出て来てしまう。


万全には程遠いが、取り敢えず自立は出来る状態。


何とも中途半端な回復状況でそそくさとご主人の癒しから逃れてしまっていたのだ。

私自身、もっとご主人に甘えていたかったのに。


キチンと心身が持ち直すまで待っていれば、夢見も良くなっていただろう。

それなのに、半端な状態で逃げてしまうからいつまでも悪夢に苦しむ事になる。

今考えてみれば、無駄に主に迷惑を掛けてしまっていた。

要は遠慮のし過ぎだ。


ご主人は私の意思を尊重してくれていたが、流石に見かねた……あるいは業を煮やしたのだろう。

ある時、ご主人はその抱擁から私を逃がしてはくれなかった。


ソファーにほとんど横たわる形で身を寄せ合っていた時、突然魔力が私の制御を離れ、勝手に武装を編み上げた。


……既に少なからぬ古見掛市民に知られている通り、その、私の武装はかなり扇情的なデザインだ。


まあ、ご主人が私に求めてくれたデザインではあるのでそういう意味では非常に気に入っているし、正直な所……普通にカッコいいとも思っている。


とは言え、『カッコいい』と『淫ら』の間に記号を置くならどうしても『カッコいい』≪≪≪越えられない壁≪『淫ら』ではあると思う。


何しろ黒革のボンデージ衣装だ。


私はご主人が劣情を向けてくれればくれる程に魔力が増す。

劣情の有無の違いは圧倒的、否、絶対的な差になる。


そして、ご主人は献身的な支配と庇護を与えたがるサディストでもある。

そのご主人が求めた衣装には、それなりの機能がある。


四肢に巻かれた枷や首輪は単なる飾りではない。


二の腕に巻かれた枷は、コルセットの脇腹部分の金具に連結出来る。

当然、二の腕はそこから動かせなくなる。


手首の枷はコルセット背中の金具に連結可能だ。

左右の枷をそこに繋がれれば、私は後ろ手に縛られてしまう。


この時は使われなかったが、太ももと足首の枷もそういう機能がある。


武装が完成した時、既に二の腕は脇腹に、手首は背中に繋がれ、首輪からは鎖さえ伸びてご主人に握られていた。


大いに驚き、慌てもしたが、ご主人が私の魔力を操ってこの拘束を成したのは間違いなかった。

つまり魔導の誤作動等ではなく、危険は一切無い。


とは言え、恥ずかしいのは間違いない。

扇情的な衣装である事もそうだし、何より無様に縛り上げられた姿を晒して羞恥心を刺激されない程に私は無垢ではない。


しかし、ご主人は慌てふためく私の顎をクイと持ち上げ、言った。


「今日は逃さないからね?」


こう言われると私も何も言えない。

逃げたくないのに逃げていた自覚はあったし、こうでもしないとまた逃げ出していただろうと言われれば返す言葉もない。


結果私は、物理的にも論理的にも一切抵抗の出来ない状態……つまり、居心地の良いご主人の腕の中から逃れられない状況に追いやられていた。


遠慮しようが何をしようが、『ご主人に囚われて逃げられない』という状況。


ご主人に強いられた状況だ。

どれだけこうしていたとて、迷惑がられる筋合いはない。

私としてはご主人に遠慮して離れる意思はあったのだが、縛られている以上は実行出来ない。


どこまでも私に都合の良い展開。

ご主人に甘える言い訳をご主人が強引に用意してくれたのだ。


私はこれ幸いと納得し、それ以上の遠慮と抵抗を諦める。


首輪の鎖を引かれるまま、ご主人と見つめ合う。

いつも通りの優しい表情と目だが、どこか意地悪さを感じる。


普段なら考えられない程に強引なやり方に出た以上、それなりに理性を解除しているのだろう。

思わずゾクゾクと背筋が震える程に、邪悪な魅力に満ちた微笑を浮かべている。


こう言ってはなんだが、ご主人はとにかく人畜無害だ。

仮にもサキュバスで、ご主人の嗜好からは外れていない、それも魔導的な意味では奴隷という立場の私にも常に紳士的だ。


それだけに、たまに殿方としての本能を見せてくれた時の破壊力は凄まじかった。

私にこれだけ色気のある顔が出来るか、と問われたら目を逸らすしかない。


この顔だけでも私の理性を叩きのめすには十分だったが、何より私は縛られていた。


繰り返すが、みっともなく縛られた姿を晒している恥ずかしさというのは筆舌に尽くし難い。

しかも女をこれでもかと強調する淫靡な衣装に閉じ込められてだ。


その羞恥は私の頭からまともな思考力を完全に押し出している。


普段のこの状況なら、常に頭にチラついている雑念……いつまでこうしていていいのか、どこまで甘えていいのか、迷惑にならないか、といった余計な思考を丸ごと追放していた。


無力感が理論的に、羞恥心が暴力的に、共同で理性を制圧してしまう。

無論、やはり思い切りご主人に甘える上では邪魔になる見栄やプライドなどは、みっともなく縛られてしまった時点で木っ端微塵だ。


最早私はご主人にされるがままでいるしかないという甘美な絶望感。

無様な姿を晒す恥ずかしさがもたらす、半ば自棄のような感情。


そんな未知の精神状態に背中を押され、一切の遠慮も自省も面子も自尊心もかなぐり捨て、ご主人の胸に身を委ね……程なく、眠りに落ちた。


……。


……いや、自分でもわかっている。

サキュバスとしてそれはどうか!とは思っている。


せっかく主がお膳立てをしてくれたのに、そこで寝る奴があるかとは思っている。

しかし、そもそも私は悪夢のせいで寝不足気味な日々を過ごしていたのだ。

新しい生活が気を紛らわせてくれるとはいえ、長年の生活で染み付いたマイナス思考もすぐには拭えていなかった。


そんな時に、ご主人の腕に囚われてしまったのだ。

与えてもらった自室のベッドよりも安心出来る主の胸の中で、「何もしなくて良いよ、僕が守ってあげるから」とばかりに縛り上げられ、悪い方へばかり考えるマイナスな思考力を羞恥心と無力感に強制停止され、とどめに心地良すぎる愛撫と来た。


(ちなみに、愛撫が髪や頬、背中や腰などに留まった事はかなり遺憾に思っている。胸や尻とまで言わないまでも、せめて脚にくらい手を出してくれても良いと思うが)


恐らく、この世に生を受けてこれ程までに安心出来た瞬間は無い。

サキュバスとしての色欲は、間違いなく過去最高に燃え上がっていたが、生物としての睡眠欲がそれを上回る激しさで大炎上してしまったのだ。


というか、恐らくご主人もそれを狙っていたのだろう。

完全に意識が闇に堕ちる寸前、背後の手首が自由になる感覚があったし、目を覚ました時には、自室のベッドの上に寝かされていた。


多分、私が眠ってしまった後もご主人は極めて紳士的に……変な所には指一本触れずに寝かしつけてくれていたのだろう。


気遣いがありがたいやら手出しされずに悔しいやらで非常に複雑な気分だったが、目覚めの気分は非常に爽快だった。


それまでも、ご主人が迎えてくれた住居で眠る事がどれだけ安全で安心出来るかはよくわかっていたつもりだった。

しかし、忌まわしい過去もご主人への遠慮や引け目も、羞恥心と無力感によって一切を頭から叩き出された状態で眠る安らかさは初体験だった。


快適な睡眠とはここまで心身を回復させてくれるものなのかと驚く程の癒しだったと言える。


勿論、その一夜だけでマイナス思考や悪夢から解放されたわけではない。


だが、ご主人はその後も献身的に私を縛め、寝かしつけてくれた。

おかげで要らぬ遠慮や悪夢に悩まされる事も少なくなったし……それに……あー、うん……。


私の精神状態や判断力が回復し、真っ当な社会生活を送る事で判断の為の知識が付いていくにつれ、ご主人も優しく寝かしつけてくれるだけでなく、情熱的に可愛がってくれるようにもなってきた。


おかげでまどろっこしさや焦れったさからも解放され、更に安眠出来るようになったのだが、まあこの辺りはまたの機会に譲ろう。


何しろもうすぐご主人が起きてくる頃だ。


休日はお互い遠慮せず、好きなだけ寝坊するのが我が事務所では推奨されているのだが、今日はご主人に一日中甘やかしてもらう約束をしている。


安眠には少々悪影響かもしれないが、何しろ楽しみなのでご主人よりも自然と早起きしてしまうのだ。


さて、今日は一体どんな風に可愛がり、虐めてくれるのだろうか。

10年ぶりの投稿がコレ?

当然。

こういうのが書きたかったから本編も書いたんだ。

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