表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女は直したい。 〜動かなくなった鉄塊(あなた)と明日を迎えるため、私は世界を塗り替える〜  作者: wattamen
Prologue

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/47

0色目の後悔

 ――これは未来の断片。彼女がまだ知らない“終わり”の残像。


 世界はこんなにも鮮やかなのに、あなたの体だけが冷たかった。

 視界を埋め尽くすのは、目が痛くなるほどの黄金(きん)色だ。

 甘ったるい、腐った果実のような幸福の色。

 私たちが目指した場所。

 私たちが救おうとした世界。

 けれど、その代償がこれなら――救済なんて、ただの悪趣味な冗談でしかない。


「……ねえ、アイゼン」


 返事はない。

 巨大なその鉄の指は、もう二度と、私の頭を撫でてはくれない。

 ただの鉄塊に戻ってしまった彼が、最後に守ろうとしたのが「私」だなんて。そんなの、計算間違いにも程があるよ。

 ズキリ、と右腕が熱を持った。

 袖をめくり上げると、皮膚を侵食していたどす黒い(あざ)の根が、心臓にまで侵食しかかっている。あと数センチ。あと数分。

 そこまで届いていれば――私はきっと、もう二度と“色”を使えなくなって、楽になれたのに。

 生き残ってしまった。

 世界に色を取り戻して、あなたを失って、私だけが「勇者」として讃えられる……。


 そんな結末、私は認めない。


「――戻そう」


 私は、まだ温かい自分の血を、冷え切った鉄の装甲に擦り付けた。

 色彩(いのち)をあげる。私の全部をあげるから。

 だから目を覚まして。

 そしてまた、あの灰色の砂漠から――“始まってしまう”んだね。

 世界なんて救わなくていい。

 あなたが隣にいてくれるなら、私は地獄だって愛せるんだ。

 視界が白く弾ける。

 巻き戻るみたいに掠れていく意識の風切り音、私は祈るようにその魔法()を口にした。


「これは時間じゃない。私のほうが壊れて、“戻る”だけだ」


(いろ)よ、還れ――色彩回帰リ・ペイント

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ