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光輝士セイグリッター  作者: なろうスパーク
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第23話「合体!その名はデルタクローズ」

「ユナイトアップ!フォーメーション・デルタクローズ!!」



刃の掛け声と共に、三機のデルタ兵機の可変システムが起動する。


スカイデルタの後ろにシャドーデルタが付く。

そこに、下部のバーニアを吹かせて飛び上がったドリルデルタが加わる。


上空に並ぶ三機のデルタ兵機。

ローマ字の「Δ(デルタ)」を現すかのように、三角形のフォーメーションを組んでいる。



「可変開始!」



刃の合図と共に、スカイデルタの可変が始まった。

機首が折れ曲がり、ジェットエンジンが展開する。

尾翼が格納され、後部はマシンキャノンを備えた二本の腕となる。



「シャドーデルタ、可変開始!」



続き、シャドーデルタの姿が変わる。

翼の部分が開き、X字状に展開。



「ドリルデルタ、可変開始!」



最後に、ドリルデルタの可変が始まった。

車体が伸び、キャタピラが格納される。


二本のドリルが半分に割れ、爪先となる。

伸びた車体が左右に別れ、巨大な足の姿を取る。



ドリルデルタの可変を確認し、弥太郎は前方を飛行するスカイデルタの背部に照準を会わせる。

本来なら誘導ミサイルを使う為のロックオン機能だが、応用というやつだ。



「よし弥太郎!そのまま突っ込め!」

「了解!」



刃の言われた通り、ロックオンした接続口向けて、弥太郎はドリルデルタを突撃させる。


ガシャン!


スカイデルタとドリルデルタがドッキングし、各部からブシュウと湯気が吹き出す。



「珠江!来い!」

「はい!隊長!」



ドッキングしたスカイデルタとドリルデルタを前に、その上部より可変したシャドーデルタが飛来。

ドッキングする。


これにより、スカイデルタとドリルデルタにより形作られたボディにシャドーデルタによる翼が生えた。


最後に、折れ曲がった機首の下から、バイザーをかけたような頭部パーツが展開。

ここに、三機のデルタ兵機の合体が完了した。



三機のデルタにより形作られたその姿は、人の形をした巨大なロボットだった。


ドリルデルタを由来とする、黒く太いしっかりした足。

シャドーデルタを由来とする、大空を翔るための青い翼。

そしてそれらを統括する、赤いスカイデルタの上半身。



「完成!デルタクローズ!!」



ここに、その機械の巨人は降り立った。


地球連合軍の新たなる剣として開発された、人類の持てる技術の全てを注ぎ込んだ、地球のスーパーロボット。


その名は、「デルタクローズ」。


チーム・ヤタガラス。

すなわち、三羽のカラス(crows)により操縦される、地球連合軍最強の兵機。



「地球人の兵機が………合体しただと………?」



流石のブレードもこればかりは予想外だったのか。

セイグリッターとつばぜり合いをしながら、降り立ったデルタクローズを前に唖然としている。



『ギュグググ………!』



デルタクローズを警戒し唸るかのように、タオゼントフースのバイザーが怪しく光る。

にらみ会う、二機の巨大ロボット。



『ギュガァ!!』



先に動いたのはタオゼントフース。

長い腕を鞭のように振るい、デルタクローズに向けて叩きつける。



「来るか!アームカッター!!」



対するデルタクローズは、腕部分に格納した尾翼を展開。


実はこの尾翼、合体時にはエネルギーを流し込む事でビームカッターとしての使用が可能になる。

シャドーデルタのウイングカッターと同じ原理だ。


なので。



「はあっ!!」

『ギュグッ!?』



振り下ろされたタオゼントフースの腕を、デルタクローズのアームカッターが真っ二つに切り裂いた。


切断されたタオゼントフースの腕が地面に転がり、トカゲの尾のようにのたうち回る。


このような芸当も可能になる、という訳だ。



『ギュゴオオオ!!』



苛立ちをぶつけるがごとく、今度はタオゼントフースの背中のビーム砲がデルタクローズに向けられる。


格闘武器がダメなら砲撃で仕留めるつもりだ。



『ギュガァ!』



ズワォ!という爆音と共に、ビームの弾丸が吐き出される。

それはデルタクローズに着弾しようとした、その直前に。



「当たるかぁっ!!」



デルタクローズが空に舞い上がり、ビームは虚しく宙を切る。



『ギュ!?ガガガガ!!』



空に逃げたデルタクローズに対し、タオゼントフースは次々とビーム砲を放ち、弾幕を張る。


だがそのビームの合間を、デルタクローズは紙一重に避けてゆく。



デルタクローズの翼を形成するシャドーデルタには、光波推進システムが採用されている。


それに使用されるエネルギー出力は、スカイデルタ、ドリルデルタとドッキングした事により、

シャドーデルタ時と比べ三倍以上に増幅されている。


並びに、翼をX字状に広げた事により、より効率的にエネルギーを噴出し、機体を軽やかに飛行させる事が可能となった。


その為、まるで軽業師か忍者のように、タオゼントフースのビームを回避するという芸当が可能になった、という訳だ。



『ギュググググ!』



何発も、何発もビームを放つタオゼントフースだが、一向にデルタクローズには当たらない。


タオゼントフースが無駄にビームを消費している間、弥太郎はタオゼントフースの背中のビーム砲に照準を会わせ、ロックオンした。



「目標、ロックオン!」

「今だ!ぶっ放せ弥太郎!」

「あいよぉ!」



瞬間、デルタクローズの脚部が開き、無数のミサイルが射出される。

それはタオゼントフースのビームの合間を縫って飛来し、ビーム砲に向けて全弾が着弾した。



『ギュガゴオオ?!』



たちまち、大爆発が起きた。

タオゼントフースのビーム砲が砕け、流血のように火花が吹き出す。


これで、タオゼントフースの持てる武装の全てが失われた。



「タオゼントフースが!?」



味方の武装が破壊され、ブレードの顔に焦りが走る。



「余所見をするなぁっ!」

「ぐっ!?」



そこにすかさず叩き込まれる、セイグリッターのショルダーカッターによる剣撃。

ガキン!と、鉄のぶつかる音と共に火花が散る。



「この………!」



ブラッディランサーを振るい、ガイストパンドラーがショルダーカッターを弾き飛ばした。

宙を舞い、二本の刃が地面に突き刺さる。



「まだ、剣はある!」



シャルルの言うように、これでセイグリッターの全ての武器が失われた訳ではない。



「レーヴァテインッ!」



シャルルの声と共に、背部にマウントされたレーヴァテインが展開。


その持ち手を、セイグリッターの腕が掴み、狙いを定めるように、その切っ先をガイストパンドラー向けて構える。



「やああっ!!」



レーヴァテインを構え、脚部のバーニアを吹かせてセイグリッターが突撃する。



「バカが!」



だが、それがガイストパンドラーに通用しない事は、ブレードは知っている。

実際、最初の戦いではレーヴァテインはガイストパンドラーに傷ひとつ負わせていない。


故に、ブレードはヤケクソになったシャルルが力任せの策に出たのだと思った。


だから、一回戦のようにブラッディランサーでレーヴァテインを弾こうと考えた。


だが。



「………今だ!」



ブラッディランサーとレーヴァテインがぶつかる直前、セイグリッターは身を屈めた。


そう、これはガイストパンドラーとの再戦に向けてシャルルが編み出した策。


つばぜり合いの直前、身を屈める事で相手の懐に飛び込む。


シャルルは無論、セイグリッターにも多大な負荷がかかる戦法だ。

だが、シャルルはガイストパンドラーに負けた日より特訓を続け、その技を物にしてきたのだ。



「何ッ?!」

「僕だって、努力して来てるんだ!」



ガイストパンドラーはブラッディランサーが大降りな事で、攻撃の間の隙がある。

並びに、セイグリッターに死角に飛び込まれた。


今から何をしようと、もう遅い。

無防備のガイストパンドラー向けて、レーヴァテインの刃が迫る。



「ブレイズアップ!」



瞬間、レーヴァテインが展開し、ライトグリーンのエネルギーの刃が展開。

それは轟音と共に、上方にかち上げるようにガイストパンドラーに叩き込まれる。



「うわあああっ!!」



レーヴァテインは右斜め下からガイストパンドラーを足から切り裂き、破壊する。



「もう一発!」



休む間もなく、今度は振り上げたそれを縦に振り、ガイストパンドラーの左腕を叩き斬った。


衝撃がコックピットを襲い、ブレードは初めて、痛みと恐怖に由来する叫びをあげた。


ズワォ!


爆発し、中破したガイストパンドラーが、地表に墜落してゆく。



「ふぅ………ふぅ………」



肩で息をするシャルル。


特訓を重ねたとはいえ、シャルルとセイグリッターの両方に負担をかける技。


セイグリッターと感覚がリンクしているシャルルの腕と肩には、ジンジンとした痛みが走る。

セイグリッターの機体自体にも、かなりの負荷があるだろう。


だが、初戦で撃破寸前にまで追い込んできたガイストパンドラーを中破に追い込んだと思えば、安い代償とも言えた。



「こっちも行くぞ!珠江!弥太郎!」

「「了解!」」



デルタクローズの方も、セイグリッターに負けていない。

武装を失いもがいているタオゼントフースに対し、背中の光波推進システムを使い、天高く舞い上がる。



『ギュ!?』



おののくタオゼントフースの見つめる先で、デルタクローズの右の爪先がドリルに再変形し、光波推進システムの翼が上を向く。


翼より光波が噴出され、ドリルが高速回転する。

回るドリルの切っ先を向け、デルタクローズの巨体がタオゼントフース向けて、飛び蹴りを食らわせるように飛来する。



「必殺!スパイラルキーーック!!」



光波により加速したデルタクローズより繰り出されるその強烈な蹴りは、タオゼントフースのボディに深く突き刺さる。


ドリルはタオゼントフースのボディを砕き、粉砕し、ねじ切る。

直にタオゼントフースは、デルタクローズのスパイラルキックを食らった箇所を起点に、真っ二つに分解した。



『ガ、ギ………?!』



バカな、と呟くような断末魔の後、タオゼントフースの別れた上半身と下半身は、大爆発を起こした。



「これが人類の底力だ………わかったかポンコツロボット!」



バラバラに吹き飛んだタオゼントフースの破片が、雨のように落下してくる。

足の変形を解除したデルタクローズが、その爆発を背景に、地表に着地する。


地球人の技術が、邪悪な侵略者に打ち勝った瞬間である。



「タオゼントフースが………くっ!」



よろよろと、跪くように立ち上がるガイストパンドラー。

胸には大きな傷が空き、刃を叩き込まれた右足は完全に破壊されている。

左腕も損壊し、バチバチと火花を散らしている。


撃破にこそ至らなかったものの、受けたダメージは少なくない。

味方のタオゼントフースも撃破された。


ブレードの眼前、ガイストパンドラーの前にはセイグリッターとデルタクローズが立ちはだかる。


この状態で二機のスーパーロボットを相手にして勝てるか否か。

ブレードは、自分がどうするべきか解っていた。



「………ガイストパンドラー、撤退する」



翼を広げ、去ってゆくガイストパンドラー。


貴重な一機であるガイストパンドラーを失う訳にはいかないと、ブレードは判断した。


またヴォルガンから折檻を受けるだろうが、ガイストパンドラーを失う損失よりはマシだと、考えた結果である。



「逃がすか………ぐっ!」



追撃しようとするシャルルだったが、瞬間肩に痛みが走った。

今のセイグリッターに追撃は無理だ。


そしてデルタクローズも、エネルギーのほとんどを使い果たしている。


追撃ができない彼等の眼前で、ガイストパンドラーは空の彼方へと消えていった………。





………………





インベイドベムを撃退した後、夕日に染まる東京グランドピラーにて取り残された人々の救出が始まった。


救出に出動したレスキュー隊員の誘導に従い、東京グランドピラーからぞろぞろと出てくる人々。


その中に。



「ああ………折角セレブ気分を味わえると思ったのに………」

「ご、ごめんなさい春香さん、僕のせいで………」

「いや、シャルル君は何も悪くないよ………はは」



インベイドベムの襲撃により上映会が中止になり、セレブ気分の一日を過ごすはずが台無しになってしまった春香が居た。


上映会自体は別の日に再開する予定なのだが、残念ながらその日春香には仕事が入ってしまっていた。


がっくりと肩を落とし、シャルルと共に帰路につく春香。

その姿は寂しげで、そして悲しげであった。



「………刃」



先にスカイデルタを帰還させた刃。

その前に、救出された由子がやってきた。



「………私、何がなんでも刃と一緒に居る事にしたわ、たとえ悲しい終わりになるとしても、別れるなんかよりずっといい」



由子の言葉に、迷いは無かった。

真っ直ぐな瞳の中には、刃の姿があった。



「………これからも、一緒に居てくれる?」



微笑み、問いかける。

あなたの返答はどうですか?と言うように。


刃は一息ついた後、呆れたような笑顔を浮かべ、その口を開いた。



「………じゃあ、これからもどうかよろしく」



沈む夕日は、まるで恋人たちを祝福するかのように、赤く輝いている。

抱き合う刃と由子の姿が、夕日の中に溶けていった………。

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