第9話 入浴シーンはお好き?
ミョホホホ。
今回はお風呂シーンです。ミョホホホ。
よく笑い方きもいって言われます。ミョホホホ。
グへへへよりはマシだと思うんですが...。
男なら、誰しもが思うこと第1位。
「超絶美少女の裸が、みたい」。
現代日本なら、うまい絵師さんに頼むか、エロアニメ見るか、エロラノベの挿絵を見れば叶うだろう。
しかし、それは実物ではない。
実際に生きてはいない。
目の前で、動いたり、さわれたりはしない。
それらは全て虚像なのだ。
だが、今の俺は違う。
何故か?
そう。それは、俺の今の姿が超絶美少女で、その上今は朝食を終えて朝のシャワータイムだからである。
あ、ちなみに朝ごはんはクリームパンみたいなやつでした。
美味しかった。
って、それは置いといて。
自分の裸に興奮するのは些かおかしい...と、思うかもしれない。
だが、甘いのだよ諸君。
俺は元男なのだ。
男が女の裸を見て、興奮せずにいられるものか。
ほんとに、下半身の1部分がなくてよかったとつくづく思う。
ま、その代わり、あまり実りのない胸がついてるんだけどね。
でも、別に悲しくはない。
だって、俺は生粋の貧乳派だから。
多分、それを知っていた妹神官が恐らくはぺったんこにしてくれたんだろう。
でも、無いわけじゃない。
少ないだけだ。
そこに、俺は萌える。
胸に埋まりたい訳じゃないんだよ。
胸を揉みたい訳でもない。
分かる奴には分かるだろうが、少なくともそこの君、そう君には分かってほしい。
いや、分かってくれ。
そんな、邪な思考を一時放棄して、俺は長く伸びた髪の毛を洗い始める。
いや、別に俺が伸ばした訳じゃないんだけどさ...。
でも、洗うのは大変だ。
俺は水で軽く濡らした髪の毛に手を通す。
櫛のようになった指は、髪を繊細に掻き分けていく。
うん。
これは、やばい。
完全っに女子の髪ですわ。
洗い方を変えなければならないだろう。
俺は石鹸らしき石を擦って泡を出し、髪の毛にくぐらせる。
たしか、どっかのラノベで女の子の髪の毛の洗い方やってたな...。
俺は記憶を頼りに、爪を立てないように、指の腹で優しく髪の毛を撫でていく。
洗っている途中で少し目を開けて、鏡を見て見たけど髪の毛泡泡だらけですごかったよ。
体にまで泡が広がってて、泡のアーマーになってた。
ま、そのあと洗い流したけどね。
俺は、お湯で流してさっぱりとした体を、湯船へと向かわせていく。
右足を風呂の縁に掛け、ゆっくりと入れていく。
初めは少し熱かったものの、段々慣れてきてもう片足をお湯に入れる。
あー、いい湯だな。
足つけただけでも分かるよ。
ちゃぷん、とお湯の音を立たせながら俺はゆっくりと風呂に入っていく。
同じ人間とはいえ、体つきの違う肉体はうまく扱えない。
そもそも性別がちがうんだから尚更だ。
俺はムキムキであった訳でもガリガリであった訳でもないから、まあ体型は似てるっちゃ似てるんだがな。
ぶっちゃけ、共通点はそれと種族だけだ。
腕とかは余裕で動かせるけど、前と重量の感じ方が違う。
前までは軽々と持てたものも、今は少し重く感じたりする。
握力とか、筋肉の付き方の問題だろう。
これは今後頑張ってどうにかできるものでもないので、諦めることにする。
「うにゃぁ......」
ついつい、情けない声まで出してしまった。
俺の今の声は完全に女の子のそれで、もう男と言い張っても信じて貰えそうにはないくらいだった。
結構悲しいけど、それが運命だ。
俺は、この美少女しなやかボディーで生きていくのだ。
朝風呂は実に良い。
朝、寝起きで縮んでいる筋肉を、お湯に漬けることによってじんわりと引き延ばす。
体が程よく温まり、火照ってくる。
そろそろのぼせる頃なので、風呂から出ようかな─────と、思った頃。
『ここにタオル置いておきますよー!』
タイミングを見計らったような声がちょうど聞こえてきた。
「はーい、ありがとうー!」
感謝を相変わらずのタメ口で返し、俺はジャボジャボ音を立てながら風呂を出る。
ある程度の水滴を振り落としてから、俺は戸を開けて外に出る。
そこにはもう彼の姿はなく、ラッキースケベ的展開ももちろんない。
何気に心の中でよかった、とほっとしている自分がいる。
体が女になると、心もそっちにズレていくのだろうか?
うーむ、なんかやだな。
俺は俺で、男のままで居たい。
そんな葛藤を抱えながら、俺は手繰り寄せたタオルで体を綺麗に拭いたのだった。