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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
27/111

2-7 作戦会議モドキ

俺は間違っていないはずだ、間違っていないはずだ。(ガラ)

「戦争ごっこだと!人が死んでいるのに不謹慎な!」

「うっさい爺さん!こっちは殺そうとしてないんだ、そんなもん戦争ごっこで十分だろう!」

「なっ!」


うるさい爺さんを黙らせ会議場に無理やり割り込む。

ちょうど開いている椅子があるしそこに腰をすえた。


「良し!作戦会議だ、文句あるなら聞いてからにしてくれ」

「なんだと!」

「結論を出すのはアキラの話を聞いてからでもいいんじゃないか、デニムのじーさん」


この爺さんデニムって名前だったのか。

別にどうでもいいけど。


「まず戦場の確認な。戦場は縦1.6㎞、横1㎞の草原。中央に向かって緩やかな下りになっている盆地。両サイドは岩壁に囲まれていて真正面からぶつかる以外に戦いは無い。確認終わり!この情報で間違いはあるか?」

「ありません」

「良し次!戦闘方針!」

「“できるだけ相手を殺さない”で頼む」

「あいあーい」


ベンジャミン結構難しい事頼むよな、俺は別に職業軍師ではないんだけど。

だからそんなに期待した目で見ないでください。


「ふむ、じゃあまず塹壕作るか」

「残光?」

「塹壕、穴掘って出た土を壁に使用する簡単な防御壁。昔の戦場の絵とかで見たことない?」


“ああ”とか“なるほど”とか聞こえたので思い当たるヤツは何人かいたようだ。

守りの手段が有るのと無いのでは戦いは大きく違うと言ってもいいだろう。


「これは誰か“土いじりが得意だよー”って人いない?……オヤ、ツチイジリトイエバ?」

「わざとらしいな、ペドロを呼んでくれ、後ダニエルもだ」


苦笑しながら支持を出すベンジャミン。

来るまでに二人の能力……というかこちら側の特殊能力を把握しておこうか。



ベンジャミン・リンカーン

『先頭』……集団の中で先頭を行くと身体能力が上がる力。

      集団の数が多ければ多いほどその能力は上がる。


クリスチャン・リンカーン

『激怒』……怒りによって我を忘れて暴れまわる能力。

      身体能力のリミッターがはずれて敵味方関係なしのバーサーカー。

      バーサーカーモードではレオン・ハザードを除く東西の人間最強。 


ペドロ・シウバ

『土弄』……土を扱う時、身体能力が上がる。

      最大100人力くらい、戦闘では使用できない。


ダニエル・ハート

『射線』……直接目視できる対象を限定に自分自身が投げる、飛ばすなどで発射できるものを確実に当てる能力。

      当てるだけなので矢とか槍とかは刺さらない。



「ペドロ・シウバ来たぞぉ!!」

「ダニエル来ましたー」


大声と軽いノリで入ってくる二人

この二人が会議に呼ばれてなかったのは、一人は大声で会議にならないから、もう一人は難しい話をすると寝るから、だそうだ。

見事に現場に人間ですね。

しかしこの二人の能力見事に今回の作戦にあっている。

まあ、あうようにちょっと調整したんだけどさ。


「二人とも何で呼ばれたかわかってるよな?」

「戦争するんでしょ?人殺し以外で力になれることなら任せてください!」

「俺はぁ!!別に殺しでもかまわんぞぉ!!」

「物騒なこと言うなよ。殺しは無しだから安心しとけダニエル」

「なんでアキラさんが座ってるんですかー」

「ここで軍師(仮)をやることになってな」

「あはは、まあお手柔らかにー」


二人が新しく用意された席に座る


「まずペドロだ、戦場のここから200mの場所に塹壕を横一直線に作りたい。できるか?」

「深さはぁ!」

「50㎝くらいあればいいんじゃない?掘って出た土は前に出して壁にするOK?」

「オォォケェェ!!言ってくるぅ!!」


そう言ってテントから飛び出すペドロ


「土壁は中に骨組み入れろよぉ……聞こえたかな?」

「大丈夫だろ、アレで土に関しての知識は深いから」


ベンジャミンの意見を信じよう。

では次は戦場か。


「次、戦場に罠を張るけど異論はないな?大丈夫だろ?よしじゃあ……」

「待て待て!戦場に罠を張る!?こちらが引っかかったらどうするんだ!」


俺の発言に異を唱えるベンジャミン。

会議の他の集積者も同じような事を言っている。

黙っているのはクリスとデニムじーさんくらい。

アレー?


「ベンジャミン。俺は塹壕を横一直線に作ると言っただろ」

「ああ、それがどうした」

「その時点で気づいてくれ。今回俺がやろうとしてるのは防衛戦だ」


会場が少しざわつく。

ナンデキヅカナカッタノ?

第一に相手より数が少ない時、真正面からぶつかるしかない状況で打って出るほど勇気は

俺にはねーよ。


「今回は約1㎞走ってきた相手を陣地からチクチク殴ります」


そう宣言すると絶句したのか周りの人間が静かになった。

ついて来れてるのはさっき黙ってた二人かな?

全く、ホントに戦争半年もやってきたのかな?

呆れているとクリスが


「アキラさん兄たちの戦争はそもそも、『近くに行って殴る』、『それっぽく弓も使う』、くらいだってんです。あんまり失望しないで上げてください」


どの時代の戦争だったんだろう?

ま、戦術もクソも無い場所で命の危険のない事やってたら延々と続けたら頭が固くなるか。なるか?

まあいいや


「それよりも罠はどうするきじゃ?草が高いのでそれなりに隠せると思うが、トラばさみなどここにはないぞ?」


お!やっぱこの爺さんついてきてたか。確かに攻撃的な罠は無いよな。だが…


「今回はそもそも攻撃的な罠は使わない。殺しが無しなんだからな。それより草が高いなら簡単作れる罠ならある」

「それは?」

「“草結び”って知ってる?」


草結び

戦国時代に使われた罠の一つ、草の先端を結び輪っかにして相手を転ばす。

単純だし、手軽なので実際に使用したらハルマが草を蹴り上げて根っこごと引き抜いた、しかし土ごと引き抜き顔面土だらけにしたのはいい思い出。だが今回…

この世界の植物はたくましい、昨日の植物探索でもやたら根が太く深くて驚いた。葉っぱ自体も強靭なのでそこらの原っぱでも十分に威力があるだろう。

何より相手は走ってくるのだ、ぶっ倒れて顔面に泥だらけにしてくれたまえ。

ほかにもいくつか簡単な罠は知ってるし、それを仕掛けて足止めさせてもらおう。


「では、武器どうする?相手は毒矢や投げ槍を飛ばしてくるぞ?」

「それに関してはあんまり心配してない」

「理由は?」

「なんのための塹壕かな?」


思いっきりバカにした顔で言ってやった。

爺さんに冷ややかな目で見られたよ。美少女ならご褒美なんだけど、爺じゃ需要が無さすぎるな。


「矢はその塹壕の上から降ってくるじゃろう」

「そんな慣性の法則で降ってくる矢は盾か何かで防げる。降ってくるのが上だけなら傘でもいいくらいだ」

「では近づいてくるのを待つのか?内側に入られたら終わりじゃろう?」


間髪入れずに質問を叩きこんでくる爺さん。

イイね~、何であんたが村長やらないの?


「そのための足止め用の罠だろ?ついでにこちらは矢は使わない」

「!」


またも会場が押し黙る。

馬鹿だな、矢なんて攻撃、鏃が無きゃ基本刺さらんだろ?

無し無し、今回は殺しは無しなんだからそんな危ないのは使いません。

第一攻撃用の矢、有るの?


「一応あります。獲物をとるように刺さりやすくするため先端を尖らせたのが。今回の戦争で西村が使ったのは恐らくそれでしょう」

「なるほどね~」


クリスの言葉に合点がいった、だからか。


「だから数が少ないのか」

「数?」

「今回の死傷者。2割だっけ?毒矢攻撃自体は恐ろしいし、刺さればほぼアウトの毒、それなのに数が少なくない?」


戦場走りまわった身としては、そもそも矢自体ほとんど落ちて無かった気がする。

“殺さない戦争”でも矢はやはり目などに入ったら危ないので制限があったのだろう、獲物を捕る方がメインで戦争用はサブ、かな?

そもそもこれが計画された攻撃ならぶつかる前に雨あられと降らせればそれだけで装備自体貧相なこちらは終わりだろう。

なら、なぜそうしなかったか。

それは今回の攻撃は急遽決まったものだから、突発的なものだから、と言う事を示している。

なんで攻撃してきたかまでは分からないけどね。


「武器が不足してたのは相手も同じ。何より矢なんて持ってきた数しか使えないだろ、こっちはもっと原始的な武器を使います」

「その武器とは?」

「んー、ズバリ打撃武器、かな?」


途中までついてきていたクリスも情報の消化に手間取ってるようで爺さん以外ついてきていない。

やっぱこの爺さんスゲーわ。

その後、次の戦争に備える作戦会議は夜まで続いた。

情報収集や情報処理を記録媒体無しでやるのがこんなに大変だと思わなかったよ。

でもそのおかげで次の戦争は少し見物かもね。



「これでいいだろう」

「ああ、今回はそれなりに満足できたよ。でもね、やっぱり消化不良かな?僕は殲滅をお願いしたんだけど?」

「ならあの怪物を止めてくれ」

「あはは、ヤダよ~。僕だって負けるとは思わないけどケガしたくないもん」


西村、昨日と同じく深夜0時

同じテントでの会話

西村の村長“ガラ”と“誰か”の会話


「今回の件はまあ許すよ。僕だってアイツとは遣り合いたくないし。だから次は殲滅させてね?」

「明後日は奴らが白旗を上げるだろうから次の戦争は4日後だぞ?」

「かまわないよ。僕としてはどちらかが殲滅してくれたらいいんだ」

「だが、東を殲滅しても約束は守ってもらうぞ」

「分かってるさ、君はこの世界の居残りたいんだろう?」

「ああ、年を取らない世界!この世界は間違いなく俺の希望なのだ!」

「フフ、まあいいさ好きにしなよ。でもこの世界でも歳は取るよ?」

「俺が言っているのは二つ名の取得無しでの話だ」

「10倍速ね………フフフッ、まあ頑張りなよ」


そう言って席を立つ青年

そしてその姿は一瞬にして掻き消えた


「ああそうするさ、俺はこの世界に居座り続ける。これ以上馬鹿みたいに歳を重ねるのはゴメンだ!勝手に転生させて勝手に年を取らせるなど!……。だから俺は間違っていない、間違っていないはずだ…」


ガラは今一度心に誓う。それはまるで…



そして本物の戦争が始まる

そう思っていたのは西村の人間だけだったのかもしれないが……。


次回戦争開始!

アキラの戦術モドキはどうなるのかご期待いただけると幸いです。

限界が来たので毎日更新は今日まで。

次の更新は木曜日の予定です。

感想、コメントされると張り切ります。


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