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外の世界

郊外編、楽しみだね

「わぁ・・・街の外ってこんな感じなんですね~!」

「ナナシ、ちゃんと座れ、怪我するぞ」


黒い車が車道を走る、周りには草木は一つもない、まるで砂漠というようにカラカラで、車道以外はぽつぽつといる野良の魔物だけだ、黒い体に赤いラインの入った獣の魔物が、何かを食べている


「人居ませんね」

「エルメスからの情報曰く、もう少しで着く」

「・・・おや?」


突然、目の前に獣の魔物が!?


「先輩!」

「わかってる」


飛鳥はこの状況でも眉一つ動かさず、ブレーキを最低限にとどめながらシュッ!と素早くハンドルを切って魔物の数センチをすり抜けた、魔物は茫然としたまま、車は何事もなかったように行ってしまう


「野良の魔物も油断ならないな」

「もー、なんでこんなに魔物が居るんだろ」


広がる世界は、あのフェルム・アストラーテの未来的な世界とは全く違う、文明などまるで感じない場所だった、その中を走る黒い車一台・・・と、後ろからバイクが走っていた


「おーい!そこの黒い車ー!」

「ん?」


ナナシが後ろを振り向き、ひょこっと顔を出す、後ろに居るライダースーツを纏い、黒いヘルメット、そして赤いバイクに跨った人が手を振っている


「そこの車ー!おーい!止まってくれー!」

「先輩、一回車止めてください」

「わかった」


キキー、と車を止めると、ヘルメットの人もバイクから降りてものすごいスピードでこっちに走ってきた


「お前ら、さっきのハンドル捌き痺れたぜ!!」

「あぁ・・・ありがとう」


ヘルメットの人は飛鳥の手を両手で握り、興奮気味に振っている


「そうだな・・・いきなりこんなことを言うのはあれかもしれないが」

「?なんですか?」

「頼む!レースに参加してくれ!」

「・・・はい?」




・・・




「順を追って説明するとだな・・・」


すぐ近くにある、エルメスが言っていた村『サンフロート』。フェルム・アストラーテの市民権を得られず追い出されたはみ出し者達が命がけで暮らす、貧層で活気のない寂れた街に痩せこけた犬がゴミ箱をあさり、カラカラとした空気が人々の生気を奪い、ボロボロな家が並び、動物の骨が転がっている


「まあとりあえずあがってくれ」

「失礼しま~す・・・」


その中で唯一まともそうな家に案内された二人は、部屋の中央に丸いテーブル、氷が入ったグラスをそこに置いたヘルメットの人は、ゆっくりとヘルメットを脱いだ


「ふぅ・・・よぉ、俺はゼトン、いわゆる走り屋だ」


赤い髪に、オレンジ色の瞳、鼻に絆創膏、整った顔立ちに暑苦しさがにじみ出るザ・熱血と言った顔だ


「それで、なぜレースに参加しろと?それはどんなレースだ」

「あぁ、郊外には一か月に一回『ヘルクロスレース』って呼ばれるレースがあってな、そこで一位になったやつは市民権を得られるんだ」

「・・・それで、ゼトンさんは市民権を得たくて誘ったんですか?」

「あぁ、ま・・・嫌だったら良い、別に強制じゃねえしな」


その後、ゼトンはいろいろ教えてくれた、メンバーの一人が怪我をして動けないと言う事、レースは基本的に三人以上で参加するのが鉄則だと言う事、市民権は本人以外にも有効であること、そして・・・


「死・・・すら厭わないと」

「あぁ、『ヘルクロスレース』は妨害殺害何でもありの無法レースだ、だから別に——」

「だ、ダメです!!」


ナナシはテーブルをバン!と叩いて身を乗り出した


「ダメです!先輩にそんな危険なことさせたくないですし、それに僕らは——」

「落ち着けナナシ、俺らはレースに参加したくてここに来たわけじゃないんだ」

「そうか、まぁそうだよな、いきなり命かけろって言われたらな」

「悪いな、他の人を当たってくれ」


ナナシと飛鳥はその場を後にし、近くのホテルでも探そうとした瞬間・・・


「ねえねえ、あの人たちがゼトンお兄ちゃんが言ってた人達だよ!」

「うわ!」

「わー、金髪のお姉ちゃん!」

「ねえねえお兄ちゃん、その剣何?」

「あ、触るな、危ないぞ」


家から出たとたん、小さい、見るからに栄養失調とわかる、それでも目から希望が溢れ出している子供たちが居た


「ねえ、お姉ちゃんの名前なにー?」

「えと、僕はナナシって言うんです」

「へぇー!そっちのお兄ちゃんは?」

「飛鳥だ」


しかしおかしい、周りを見渡すと、そこには老人と小さな子供だけ、若者は一人もいない


「・・・?」

「あぁ、すまねえ、流浪者と乞食以外の人間がここに来るのは珍しくてな」


ゼトンが家から出て来た、それを見た子供たちが一斉にゼトンに集まる


「あの」

「どうした?」

「どうして小さい子供だけなのでしょうか・・・ゼトンさんが言っていたのが本当なら、ゼトンさんと同じ年代の人とか・・・」

「あぁ・・・実はだな」

「・・・死んだのか?」


一瞬、場の空気が凍り付いた、子供たちには聞こえてないのか無邪気に笑いあっている


「・・・ほらガキども、あっちで遊んで来い、俺はあのねーちゃん達と話があるんだ」

「はーい!」


子供たちが行った後、ゆっくりと壁に背中を押し当て、話し始めた


「俺と同じ年代の奴は、飛鳥の言う通り皆死んだ」

「・・・そんな・・・」

「生きてるのは俺とあと一人、少し前に腹の空かせた魔物の襲撃があってな、子供たちを守るために・・・」

「・・・」

「そこで気づいたんだ、この村は自然と滅びる、そうなる前に・・・」


ぐっ、とゼトンはこぶしを握りしめた、覚悟を決めた目で二人を見る


「俺はこの村に居る全員分の市民権を得て、誰も犠牲にさせずフェルム・アストラーテに住まわせる、そのためには・・・」

「『ヘルクロス・レース』に参加していると」

「あぁ、俺がかき集めた市民権を見た感じ、あと一回・・・あと一回だけ勝てれば、全員分の市民権を得られる、だが・・・」


ゼトンは悔しそうに唇をかんだ


「三人で参加が鉄則のレースで・・・そのうちの一人が死んだ」

「・・・」

「そこで、お前らに参加して欲しかったんだ」

「先輩」

「なんだ」


ナナシの目には同情と、覚悟を決めた目が映っていた


「・・・俺らはそのレースに参加するために来たんじゃないぞ」

「ですが、もしそのレースに幹部が関与していたらどうするんですか?」

「ダメだ、可哀そうな話だが俺らには関係が——」

「先輩!!」


ナナシの顔がずいっと飛鳥に近づく


「エルメスさんが言ってたじゃないですか、幹部が来るって、ゼトンさんの話的に、そのレースの開催も近いはずです・・・ねえ?ゼトンさん」

「あぁ・・・そうだ」

「だったら、関与してないと思いますか?レースに参加した方が接触できる機会が増えると思いますけど」

「・・・わかった」


飛鳥は観念したように息を吐き、ゆっくりとゼトンの方を見た


「参加する」

面白かったら以下同文

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