パウロへの遺書
パウロ
許されるなら、お前にこの手紙を読ませたくはなかった。
この七年、日々は泥のように重く、逃げ場のない窮状へと沈んでいった。学舎で高潔な志を語り合ったあの頃が、今では遠い熱病の記憶のようだ。地方の基層で功を立て、いずれ聖都へ返り咲く……そんな野心は、この地に根を張る死の臭いに掻き消された。
気候は狂い、海は冷たい毒を孕んでいる。貝類が最初に死に絶えた。彼らが死を察知する速度は、我々がそれを収穫するよりも早かった。食糧が消えれば、飢えた魚怪や魚人が陸へと這い上がり、漁民を屠る。私はオークとの交渉役を務めていた。糧食と騎獣の交易……だが、奴らも我々も、等しく飢餓の淵にいる。そこへ土砂崩れが追い打ちをかけた。山から溢れ出した無数の鼠が、黒い濁流となって街を飲み込み、疫病が火のように燃え広がった。死体は路地を埋め、街全体が巨大な墓標と化した。
「原住民の報い」「スクエア谷地の呪い」……誰かが吐いたその言葉が、腐敗した空気の中で真実のように囁かれている。だが、あんな不毛の地に呪いなどあるものか。すべては、あの「三角頭」を崇める邪教徒どもが撒き散らした毒だ。不可解なのは、奴らが保有する莫大な糧食と、我々の理解を超えた医療設備、そして悍ましい知識だ。双子の忌避、そしてロスト山谷を覆うあの物理的な厚みを持った霧……。
結局、その「怪物ども」がこの街を救ったのだ。町長という立場上、私は彼らに頭を下げ、接触を試みるしかなかった。何度か言葉を交わして痛感したのは、彼らの認知レベルの圧倒的な低さだ。その幼稚な精神と、彼らが弄ぶ高度な技術は、どう考えても不釣り合いだった。……ああ、これもお前の言う通り、私の「傲慢」なのかもしれない。
だが、私がロスト山谷へ潜入した時、その「皮を被った畸形ども」の正体がようやく理解できた。大祭司が十字架の前で祈りを捧げ、信徒たちは澱んだ星光を浴びる。そこで捧げられた病人が、私の目の前で「豚」へと変貌したのだ。そして、タコのような頭部を持つ別の怪物が、瞬時にしてその病人の姿へと擬態した。
彼らはその「豚」を即座に開墾し、冷水を胸に浴びせ、心臓と肺を抉り出した。最後は氷水の中へと放り込み、徹底的に冷やす。……およそ十五分だ。引き揚げられた肉塊は、極めて熟練した手つきで薄く、精密にスライスされていった。その手際は、吐き気がするほどに「考究」されていた。
その肉はソーセージへと姿を変え、骨組みは白濁したスープに煮出され、首領たちの食卓へと供された。中央には大祭司が鎮座し、脇を怪物どもが埋めている。彼らは、滑稽なほど流暢な「人間の言葉」を操っていた。その顔ぶれは、一つの軍隊、一つの国家を成すに十分なほどに完備されていた。主帥、軍師、祭司、禁軍、騎兵、歩兵、水鬼、造船、鍛冶屋、仕立屋、出納、糧食、屠殺、医師、獣医、斥候、文書、符印、建築、そして楽団。
人間を食らい、その職能までもを簒奪した畸形どもの「完璧な社会」が、そこにはあった。
私は気づいていなかった。自分がすでに奴らに悟られていたことに。報復は二年後に訪れた。あの日、私の双子が産まれた。予防線を張らなかったはずがない。聖都で産ませ、医師は王室の薬剤師、ブラウニー家の人間を配した。それなのに、夜の闇に紛れて子供たちは消えたのだ!パウロ、この喪失をどう受け入れろと言うのだ。聖都とスクエア谷地は千里も離れているというのに!リリスは臨月の三ヶ月前に聖都へ戻り、私はこの地で泥を啜り続けていた。完璧な布陣だと思っていた。それが、あの犬畜生どもに踏みにじられたのだ!
あの日以来、私は私ではなくなった。生きながらにして腐敗し、卑賤と屈辱の泥を啜って生きてきた。貴族どもの夜会に参加し、彼らが畸形どもと交わり、その一部と化していく様を、ただ見ているしかなかった。ああ、神よ、私は汚物だ。尊厳など疾うに捨てた傀儡に過ぎない。底辺の人々を救おうとした結果、私自身が沼に沈み、救うべき者たちはただの「収穫物」へと変えられた。呪われた地の祭壇に供えられる「苗」に過ぎなかったのだ。
教会と権力者は結託し、人間を「豚」として選び、ソーセージへと加工し、それを再び底辺の民へと売り捌く。この血の循環を断とうとする者は、自らが「豚」の列に加わることになる。神力を宿した畸形どもの目的は、ただ一つ。繁衍と、完全なる挿げ替えだ。
私はこの真実を留影石に刻んだ。パウロ、願わくば、この地を地獄ごと焼き尽くしてくれ。
——お前を永遠に信じ続ける友、ウェイン・スピンクより




