表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリアと魔法の戦線  作者: 梔虚月
第一章 はじまりの物語
8/8

07 AI

 アリアの所属していた某国機械化部隊南方支部では、政府によって廃棄処分された彼女の後継機の開発を急いでいた。

 アリアを自らの手で葬った政府は、敵国の巻き返しに苦戦しており、世界を救ってくれる新たな終末の妖精の実戦投入を要請(オーダー)したのである。

 しかし廃棄処分の決定に反発していた当時のARA開発局長である(かい)(ぎゅう)(うし)(つぐ)博士は、政府からの身勝手な要請を拒絶して下野していた。


「ライブナピゲーションAIによる単独運用(スタンドアローン)では、ARAリアライズの機体性能を引き出せません。やはり海牛(マナティ)博士の設計したAIアリアとのツーマンセルでなければ、ARA00の完全コピーになりませんね」


 白衣を着た研究員は、背後に立っている開発主任ワイズ・ローリングに報告する。


「リアライズの武器使用を遠隔操作している現状では、アリアほどの戦果が期待できないし、このまま戦場に棒立ちさせれば敵に()(かく)される危険もある」


 ワイズは、オールバックの白髪を撫でつけると、研究員の肩を手を置いて呟いた。

 研究所の彼らは、新たな終末の妖精をアリア(型番ARA00)の姉妹機であるARAリアライズとして、ライブナビゲーションAI『ラビィ』による無人運用を計画している。

 ARAリアライズの素体は、研究所を去った海牛博士の製作した型番ARA00のパーツを流用して作られたN級品(スーパーコピー)であり、機体性能は同格かそれ以上となっていた。

 問題はARAリアライズを制御するラビィが、この戦争の引き金となった戦闘指揮AIの後継機であり、武器使用や戦況判断による戦闘を著しく抑制されていることだ。


「とはいえ、機能制御を解除したラビィにトリガーを預ければ、人類滅亡の危機です。我々人類は過去、AIに核のボタンを委ねた結果、総人口3分の2を失いました」

「ラビィのAIは、最も効率的に戦争を終わらせる。機械が自我に目覚めれば、人間も盤上の駒に過ぎないのだよ。彼に、木偶人形と人間の区別がつくと思うかね」


 ワイズはモニター越しに、おびただしい数の戦闘訓練用アンドロイドの首を圧し折るARAリアライズを凝視する。

 武器使用を遠隔操作されているラビィだが、素手であっても瞬時に大勢の人間を排除できた。

 彼に殺戮兵器のトリガーを渡して、その銃口が敵味方区別なく向けられれば人々に抗う術がない。


「政府の連中は、自我が芽生えて戦闘を拒んだアリアを廃棄した。彼女が、従順な兵士ではなくなったと判断したからだ」

「アリアのAIもまた、ラビィのように暴走すると考えたからですね」

「しかし、まともな人間ならば、戦争を終わらせるために目の前の人間を殺す所業に疑問を抱く。海牛博士の作ったアリアは、人として完璧だったのかもしれない」

「ワイズ博士、ARAリアライズにアリアのAIユニットを移植できませんか?」


 ワイズは研究員の問い掛けに首を横に振ると、肘掛け椅子を引き出して座った。


「海牛博士の作った自律型AIは、外界との対話学習により知性に目覚めたニューラルネットワーク制御の非ノイマン型方式のユニットだ。容れ物が同じでも、彼女と同じ知性を得られるとは限らない。それに……」

「それに?」

「ユニットのブラックボックスには、半導体素子だけでなくDNA(デオキシリボ核酸)を演算素子として用いている」

「バイオコンピュータですか」

「戦闘用アンドロイドの開発計画『ラストエンジェンプロジェクト』は、莫大な開発費を政府から得るためのお題目に過ぎない。海牛博士の真の目的は、人間を作ることだったらしい」

「人間を作る? まるで怪物を作ったマッドサイエンティストですね」

「アリアの廃棄処分か決定したとき、博士は『()()()()()()』と抗議したそうだ。彼にとってアリアは、我々と同じ人間だったのだろう」


 研究員は『では協力は得られませんね』と、ARAリアライズの後頭部に収納しているラビィのAIユニットを排出させた。

 


第一章『はじまりの物語』完

章の終わりに現代パートを挿入していきます。


次回より第二章、続きが気になった方は

ぜひブックマークをお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ