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選択肢2ーD

選択肢2ーD


「こ、こいつは俺の彼女だよ…」


な、なんつー嘘ついちまったんだ…。

俺はナレータの事なんて全く知らないし、ましてや彼女なんてもってのほかだ。流石のナレータも鉄面皮を剥がさずにはいられなかったようで「何いってんだこいつ」と言わんばかりの顔だ。


「……」


これはやばい。昔からヤーデレは元気ハツラツの女の子だったが、ひとたび機嫌が悪くなると俺の友達、特に女友達が神隠しに会うとされてきたのだ。なので俺は男友達は出来たが女友達はヤーデレだけしか出来なかった。真相は闇の中だがとにかくそういうことが起きるのだ。ヤーデレは彼女自身の俯きとカジノの照明の逆光と相まって顔は全くと言っていいほどわからない。



「………その人が、スグシーヌの彼女…?」

「ウンソウダヨ…」

「……へぇ」


彼女の顔は未だにわからない。どういう意図で聞いているのか、どう思っているのか、顔色や声色だけでは全くと言っていいほど測れなかった。


「本当に?貴方スグシーヌの彼女なの…?」

「えっ」


急に話を振られて戸惑ったナレータは思わず口に出てしまう。数秒間固まったあと、恐る恐るナレータは喋った。


「じょ、冗談ですよ」

「……え?」

「スグシーヌのちょっとしたジョークじゃないですか?私達今さっき会ったばかりですよ。ははは。スグシーヌさんは冗談がお好きなようで」


ナレータは身振り手振りを加えながら弁明をした。

宝箱から出たときのように無口キャラかと思ったがここまでペラペラと喋るとは。


「……冗談?ねぇ、それ本当…?」

「い、嫌だな〜…ヤーデレ、俺が冗談好きなの知ってただろ〜?」

「………」


怖い、怖すぎる。ヤーデレの目が見たこともないぐらい赤く染まっている。まるで親の敵を見たような目だ。


「なぁんだぁ〜!!」

「へっ…?」


さっきの表情とは打って変わっていつもの笑顔のヤーデレに戻った。


「冗談だったんだね〜!知らなかったよ〜、スグシーヌって冗談好きだったんだ〜!いや〜!良かった良かった!嘘で!」


ちょっと違うのはいつもの笑顔なのだが目が全く笑ってなかった。それはそれで怖いが機嫌が良くなったので良しとしよう…。

しかし、ホッと安堵した俺のもとにヤーデレはそっと近づき耳元で囁いた。


「次、また嘘ついたら殺るよ。マジで」

「ヒィ…!」


人生でヤーデレをこれ程怖いと思ったことはなかった。ヤーデレは嘘が嫌いだったらしい…。


「な〜んて、冗談だよっ!」


その言葉に俺は少しも信じようとはしなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「へぇ〜!そんなことがあったんだねぇ〜!」


事のあらましをヤーデレに伝えるとすんなり納得してくれたようで、「じゃあ女神さんなんだね〜!よろしくぅ!」と気さくに挨拶を交わしていた。


「ところで、スグシーヌはなんでカジノ?もっとマシな方法あったでしょ?」


ギクリ…!ごもっともな言葉だ…。


「それ以外に思いつかなかったんだよ…。」

「モンスターからお金はドロップするじゃん」

「しかしなぁ…装備らしい装備もしてないし、一人ってのもなぁ…」


別にひよってるわけではないが、安全面と安定的にお金を稼ぐのであれば鉄製装備ぐらいは揃えておきたい。流石に農民の服と剣だけでは心もとない。


「そもそも、お前こそなんでここに?ヒーラーになったんだろ?」


ヒーラーとはいわゆる味方の体力や怪我などを回復させる魔法を持った役職で今、ヒーラーブームが巻き起こっているらしい。なんでも仕事に困らないとか。確かヤーデレはヒーラーになると言って村を出ていったきり会ってなかった。


「うっ…!じ、実はヒーラーになったんだけどね…。仕事がないの…」

「えっ!?ヒーラーって巷じゃ引っ張りだこじゃないのか!?」

「うん…そうだったんだけどね…」


ヤーデレの話を要約すると、ヒーラーブームで役職が飽和状態にあるらしいのだ。巷はどこもかしこもヒーラーだらけ。病気にかかったヒーラーをヒーラーが治すという事態まで発展するほどで、次第にヒーラーの中でも優秀なヒーラーが仕事に抜擢されるのが多くなる。そうしてくるとヤーデレのようなポッとでのヒーラーは仕事口が見つからない、いわばニートヒーラーが溢れかえるのだ。

ニートヒーラーとなってしまったヤーデレは行くあてもなく、やる気もなくなってしまったのでギャンブル漬けの毎日を送ることになってしまった。


「それで今はヒーラー兼ギャンブラーなの」

「人の行く先はわからないもんだな…。俺もまさか勇者になるとは…」

「あっ、勇者…ジャックポットに入りました」

「なぁにしてんだお前!!??」


ヤーデレの話に耳を傾けているとナレータは勝手に近くにあったスロットマシンに手を出し、あろうことか雀の涙しかない資金を全部つぎ込んでいた。

しかし、だ。ジャックポットと聞こえた。

確かならばこれは一攫千金の大チャンスだ。

まさか、こんなことになるとは…!


「おおぉぉ!!!おっ!おい…!!これって!?」


雀の涙とはいえ、ジャックポットに入った資金は何倍に膨れるのだろうか。


「……!ゆ、勇者!」

「なんだ!!」

「選択肢…しますか…!?」

「するわけねぇだろ!!このまま突っ込め!!」

「うぉ〜!これは…凄いことになりそうだねぇ!」


スロットマシンはジャラジャラと当たりを振りまき振りまくる。まるでこれからの旅路を祝福するように。

周りのざわめきをかき消すほどの大当たりだ!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


第二章エンディング


スロットマシンは鳴り止まない


第二章クリア。おめでとうございます。

それでは、第三章にお進みください。

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