表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/240

076 元駅伝選手・千林旭の場合

場末の駅伝部の取材にやってきた

千林記者の前に現れたのは…


播州工業の元エースランナー。。



「…なるほど。それで放出くんは天下茶屋へ…」

「はい。本当に偶然が重なった次第で…」


「…信じられないよ。奇跡としか言いようが…」

「たしかに。誰かさんの都合のいい思惑は感じますね。。」



 まぁその…都合のいい思惑についてはさておき…


 千林さんは驚いてちょっと震えてはる。。


 だって寄せ集めの新設駅伝部が都大路を目指す時点で

 あり得ないことやのに…

 本音ではムリやと決めつけてたのに…


 播州工業の二年生エースとして何度も取材をしてきた

 あの放出京喬が加わったとなると、

 これって急に現実味を帯びてきたんやから。



 …とはいえあの一件を…

 …スポーツ専門の記者が知らんはずない。。



「ところで膝の具合はどうなんだい??」

「…思ってたほどではありません。。

 だいたい半分程度の力でなら走れるってところです。」


「…タイムは計ってるのかい??」

「5キロを15分ぐらいならばなんとか…」


「…なるほど…それが限界か。。」

「…えぇ…おそらくもうこれ以上は。。」



 おいおい。そのタイムで半分って…

 絶望的な顔して限界って…


 全国のランナーが怒るか泣くかしとるど。(=゜ω゜)ノ


 でも実際、13分台のベストタイムを持つ放出にとっては

 これが嘘偽りないの実感なんや。。

 ホンマに桁違いの大物が入ってきたモンや。



 とはいえ半分の力でしか走れないランナーに花の一区を

 任せなあかんほどにウチは層が薄い。


 選手は7名丁度。そのうち女子が1名…いや2名か??

 さらにその多くがケガ人かドクターストップ。。


 とにかく…ギリギリ以下の選手層。。

 


「それはそうと千林さんはなぜこの学校の取材に??」

「いや…それは…まぁ色々とあってね…」

『そうそう。色々とありましてねぇ。(*´・v・`*)』


「ちょっと佐野くん。勝手に入ってこないで。。

 それは口外無用って約束だろう??」

『たしかに。…校外無用って言ってましたわな。』


「名前の読み間違えに続いて…

 今度は漢字が違う!!(; ・`д・´)」



 …まぁそういうわけで…

 

「はぁはっははは。それは気の毒でしたね。。」

『コラ放出!!誰が気の毒なんや!?(=゜o゜)ノ

 乙女が辱められいうのに笑い転げよって。。』


「…ひどいよ佐野くん。。(:_;)

 それに放出くんも笑いすぎ!!(=゜ω゜)ノ」

「…誰が乙女だよ。。千林さんもやらかしたし。。

 どっちも被害者ですわ…あぁ腹いてぇ…(;^∀^);」



 とりあえず放出はまだ笑ってるんやけど…

 実際には笑える状況やないんや。


 なんとか突破口はないんやろうか??

 と思ってたら放出が意外なことを言いだした。



「…けど、そういうことなら簡単だろ??

 千林さんに監督をお願いしたらいいじゃない。」


「えっ??それはムリだよ。。」

「少しならいいでしょ。マラソンシーズンはあと少しだし…

 ロードが専門の千林さんは夏場はヒマでしょ??」


『ちょっと待ちぃな放出。この人がそんなんできんの??』

「おいおい佐野。できるも何も最適任者だ。

 千林さんは報緑OBで都大路を経験しているし…

 たしか箱根にも出てるはずだぞ。」


『そういえばそんなこと言ってたような…(・_・;)』

「……ああ。その通りだよ。。(-_-;)」



 …ウソやろ。千林さんって…

 …都大路と箱根の経験者??



 ならばトレーニングやメンテナンスにも精通してるはず。

 そんな名選手が監督なら…もしかしたら…


「お誘いは嬉しいけど…やはりそれはムリだ。。」

「なんで??ワシからもお願いしますわ。」


「…だってボクは会社員だぞ。。

 外回りとはいえ、勤務時間中に指導なんてできないよ。」

「それやったら休みの日とかだけでも…」


「それもムリだ。…だって記者が特定の学校に肩入れしたら

 公正な記事を書けなくなるからな。。」

「……(´・ω・`)」



 …そうやったな。。

 この千林あきらさんは…ウソをつけない公正な記者。。


 それが思いがけない誤報をして評判を落としてるのに…

 不正を疑われること…なるだけ避けたいはず。


 …けどこんな時に

 …ややこしいヤツが帰って来たんや…



『…ちょっと。何の話してんの??』

「わっ!!…難波さん…」


 千林さん。。怯えてはる。。


 …ムリもない。

 正月にいきなりグーで殴られたんやから…



「それよりみなみ。どこ行ってた??

 というかいつの間に戻ってきたんや??」

『いや…今日は相談に行くって約束やったのに…』

 

「約束って、またどっかの駅伝部に行ってたん??」

『それが途中まで行ったとこで電話があってな…

 監督さんが急用でドタキャンされたんや。。

 しかも手土産を買うたのに渡せんかったってわけ。』



「あのさ難波さん。…その…どこの学校に行ってたの??」

『いや…その前に千林さんもこれ食べてぇな。

 手土産を余らせてもアカンから。。』


「それって西宮名物の…ササエのおはぎだよね??」

『うん。監督さんの好物らしくて…』


「じゃぁまさか…今日行ってた学校って…」

『…せやな。アンタが報緑OBとは好都合やわな。。』


「ちょっと…それどういう意味??」

『来週にはまた報緑に行くんやけど例のこと…

 名谷みょうだに監督にどう話しとこっかなぁ??』


「…ご…ごめんなさいぃ!!(/;Д;)/」



 おいおい。(-v-メ)

 また口にあんこ付けてから…


 こんなもん…完全に脅迫やないか。。



寄せ集め軍団の監督候補は

やっぱりはみ出し者。


かくしてその力量は??

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ