077 敗者復活戦
なんとも運の悪い新聞記者、千林旭さん。。
コーチを引き受けてくれるのかな??
「じゃぁコーチ就任の件は??」
「どうしようか。。名谷先生への告げ口は勘弁だけど…」
『頼むから引き受けてぇな。キビ団子もあげるから。。』
「そうそう、鬼退治に…ってコラ!!(=゜ω゜)ノ」
やっぱりいくつになっても監督は怖いんやな。
…とはいえやる気はなさそう。。
もはやマジメなやりとりにさえなっていない。。
しょうもないボケにノリツッコミって…
ただ…ワシらには選択肢がない。。
だって千林さん以外に頼れる宛はないんやから。
それに加えて頼りたいのは、
都大路と箱根に出場したという千林さんの勝ち運。
何としてもその強運に乗っかりたいんやけど…
「実は…それが一番の問題でな…」
「せやけど放出の言うたことは事実でっしゃろ??」
「確かにウソではないのだが…」
「つまり…また紛らわしい誤報ってこと??」
「…その言い方はやめてくれ。(:n;)
都大路と箱根に出たのは紛れもない事実だ。」
「じゃぁ…どういうことでっか??」
…聞いた話では千林さんは…
高一で都大路を走ったが県予選には出てないらしい。
そして二三年生の時は県予選を走ったが…
いずれも惜敗で都大路には行けなかったらしい。。
そして全国に行けなかったために強豪大学に進めず…
弱小の大学で箱根出場を目指したモノの…
「けど箱根には出場したんでっしゃろ??」
「…出たよ。ただし学連選抜でだ。。」
「…ということは…」
「…もうわかっただろう??
ボクは予選を勝ち抜いたことがないんだ。。」
「けど…それは偶然なのでは??」
「でもな。。ボクのチームはいつも競り負けるんだ。
予選という予選はすべて僅差で負けてる…」
「…けど本戦では結果を出したんでっしゃろ??」
「いや…都大路では優勝を…箱根ではシード権を逃した。
…しかもいずれも一秒差でだぞ。。
ボクほど勝ち運のない男は他にはいないと思う。。」
…あらららら…それは重症やで。。
実力はあるのに予選という予選で悉く惜敗し…
大舞台で二度も一秒差って…奇跡に近い。。
しかも記者になったらガセネタを掴まされて誤報して…
今年の正月にも奇跡的な不運に見舞われて…
この人…筋金入りに運がないんや。。
だからワシらとの関わりを避けてようとしてるの??
また自分のせいで負けるかもと思って。。
その気持ちは分からんでもないけど…
やっぱりコイツだけは容赦ないわけで…
『たしかに不運やけど…それがどないしたんや??』
「どないしたって…みなみお前…」
『だってウチらは運のないモンの集まりやないか??
走る場を失い…顔も心も笑えず…孤独で…すぐ警察に逮捕られ…』
「それは全部ワシやないか!!(=゜ペ)ノ」
『あと補欠で腐ってた者…好きな団体競技に適性のない者…
泳ぎたいのにプールも仲間も手に入れられんかった者…
男でも女でも選手になれん者…故障で選手生命を絶たれた者…
さらには…その十字架にずっと苦しんどる者…』
「そう考えたら不運なヤツばかりやな…」
『あとウチは…いや、ウチはええんやけど…
こいつらに比べたら千林さんは幸運やと思うで。。』
「…幸運??勝ったことのないこのボクが??」
『だってあんた…大学まで競技生活を全うしたんやろう??
最高の舞台に二度も立って…都大路で二位に入って…
その歳になって未だに大好きな陸上に携れてるんやで。。
それ以上を望むのは…贅沢とちゃうんか??』
「まぁ…それは…」
『それって選手として努力を重ねた結果とちゃう??
駅伝の神様は…ちゃんと見てくれてはったと思うで。』
「たしかに…それは…」
「…俺も難波に同感ですね。。」
「放出くんまで…無茶を言うなよ。。」
「でもね…千林さんは悔しくはないんですか??
大好きな陸上で頑張って結果を残してきたはずなのに…
敗者の心持ちのままで…それでいいんですか??」
「…」
「俺はね…こいつらに言われたんですよ。
もう二度とここ以上の舞台は巡ってこないだろうって。
だから俺はその…覚悟を決めたんです。。」
「…壊れるまで…走り抜く覚悟かい??」
「…ええ。あと最後まで競技者として戦い抜く覚悟も。。
俺は負けたまま…競技人生を終えたくないから…」
「…覚悟…か。。」
…競技者として戦い抜く覚悟…
と言えば聞こえはいいけど。。
こんな勝ち目の薄い戦いで壊れることを承知の上で
突き進むのと同じ…
…死に場所を求めて彷徨うにも等しい愚行。。
…ならば自分はどうだ??
自分に指導を頼む者など二度と現れないかもしれない。
おそらくこれ以上の舞台は巡ってこないのは自分も同じ。
放出くんに比べれば大したリスクでもないのに…
ならばこれはきっと…
駅伝の神様が与えてくれた最後のチャンス。。
ここで逃げたら…おそらく自分は一生…
「…わかった…やってみよう。。」
「やるって何をですか??
コーチになってくれはるんですか??」
「ああ。。ボクを含めた全員の…敗者復活戦をやろう。」
「…敗者復活戦でっか??」
「そうだ。聞いた話ではこの駅伝部は…
一度は何かを失った敗者の集りなんだろう??」
「せやから勝ち運は全くありませんけど…」
「…いいよ。もうそんなの関係ない!!
そもそも駅伝は運や偶然で決まる競技ではないんだ。
だから…どんな不運や不遇に見舞われようと勝ち抜ける…
そんな精強なチームを作ろうじゃないか!!」
「…ええんでっか??」
「いや、こちらこそお願いする立場だよ。
きっと…陸上人生で最後のチャンスだと思うから。。」
『じゃぁササエのキビ団子あげる。。(;^∀^)ノ』
「…要らん!!(; ・`д・´)
明日からしっかり扱くから覚悟しろ!!」
おいおい。ふざけてる場合か??
けどなんや…急に頼もしなったな。。
そして目の前の靄が急に晴れたような感じやけど…
まぁそれはええとして…大事なこと忘れているような…
「あの…熱くなってるとこ悪いんですけど…
今日は何しに来たか忘れてまへんか??」
「ああ…忘れてた。。取材に来たんだったよな。。
実はこれがボクの悪癖で…(*^n^)
熱くなるとすぐに我を忘れてしまうんだよ。。」
『そっか。せやから手癖も悪いんですね??』
「佐野くん。コーチを受けた以上、その話はなしだ。
今後は指示に従った貰うぞ。。(`・n・´)」
『…手癖ってなんですか??』
『あれっ。阿倍野はさっきの話を聞いてなかった??』
『さっきの話って??』
『……実は。。(*^ω^*)』
『…(´゜д゜`)』
……あららら。。
遥のヤツ完全にドン引きや。。
怖がって…5歩ぐらい下がってしもたがな。。
千林さんは明日から指導に来るのはええけど
とりあえずは…
…ボディータッチ厳禁でお願いしますわ。。
都大路とは箱根の経験者がコーチが就任。
まぁそれはいいんだけど…
最近、作者の頭の中では
もう一つの連載小説と話が混同しまくってます。
指導者編なんて書けるのかな??




