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043 アンカー勝負は残酷らしい。。

今年の都大路…ついに決着です。

 …都大路は六区に入った。。



 でも…この区間ではあまり大きな動きはない。

 いや正確に言えば…

 強豪はどこも安定感のある選手を使う区間やから

 力の差があまりないということや。。


 …確かに上位チームの選手の力は拮抗している。。


 でも…ウチにそんな選手はいない。

 いや正確にいえば…選手そのものがおらんのや。


 …ここに天下茶屋駅伝部が混ざったら惨敗…

 …どころか勝負さえできない。。


 こうして大きな動きなく最終七区に進んだけど…



「なぁ泉…お前はどの区間を走るつもりや??」

『ウチは希望なんか言える立場やないよ。。

 …経験者の少ないチームやから…

 空いた区間を埋めるのが仕事とちゃうんかな。。』


「けど希望はあるやろう??口にしたら叶うかも…」

『……あえて言えば…アンカーかな。。』



 …泉の希望は…アンカー七区か。。


 そもそも中距離走者の泉には8キロ区間でさえ厳しい。

 …5キロ区間を希望するのはわかる。。


 …さらに泉はスパートの切れ味が尋常やない。

 最終区間のスプリント勝負。…ラスト100mの削り合い。

 …それが泉の考える理想の展開というか…

 天下茶屋が都大路に行くとすれば他に形はないらしい。


 泉が七区を希望しているというよりは…

 その展開そのものが泉の希望ということ。。



 …けど今年はそういう競り合いはあまり見られない。


 だって先頭は長野の諏訪久聖が独走やし…

 九州勢同士の2位争いは小牟田が大林を引き離し…

 東北勢同士の4位争いは青山森田が萬台育栄を…

 笹羅も結局は東北勢を追い切れず6位で決まり。。


 …続く7位争いは近畿勢の二校。

 名門・報緑が地力を見せて7位を決定的にしたけど…

 我らが大阪の西風も入賞圏内8位をキープしてる。。


 …走りは安定してるし後続とは差があるから…

 西風も入賞は決まりやな。。



「けど…泉は凄いな。。」

『何が??』

「お前が戦前の予想…ことごとく当たってるやないか。

 7位まですべてお前の名前をあげた学校やで。」


『…ま、それだけ駅伝に番狂わせがないってことや。

 それにウチがあげたんは…八校やで。』

「…えっ??あと一つはどこをあげてたっけ??」


『もしそこが入賞したら…はじめて正解やわな。。』

「…いや…さすがにここから逆転は…」



 …でもその答えが…来た!!

 泉が名前をあげていた最後の一校が。。


 後方から猛然と追い上げるのは…愛知の鱧川はもかわ!!

 アンカーをつとめる二年生、チタ・セントレア選手は…

 …ケニアからの留学生!!


「なんや…なんで鱧川はこんな凄いのをアンカーに??」

『…わからんけど…こいつが鱧川のエースや!!』



 …信じがたい追い上げ。。


 第六中継地点で1分丁度の差があった入賞圏内…

 なのに…

 西京極競技場に入って8位の西風を…射程内に!?



「…ウソやろ…このセントレアって留学生…」

「…1分差をひっくり返すんか??」

「けどあと100mや…こんなペースで追い上げてきて

 ラストに足が残ってるわけが…」


 …あった。。


 そもチタ・セントレアは中距離走者…

 最終コーナーでとらえられた西風のアンカーは…

 その驚異的なラストスパートの前に…


 ゴール直前で入賞圏内から…はじき出された。。



 42キロ以上を七人でつないできたのに…

 勝負を分けたのは100mに満たない直線のスピード。

 …それがアンカー勝負というもの。。


 そしてチームが目標を果たせるも果たせないも…

 すべての責任を負うのはたった一人…


 それがアンカーに課せられた残酷な役回り。。


 …TVに映る西風のアンカー…

 …泣き崩れたまま仲間に抱えられる姿…


 …とても直視できない。。(・_・;)



 でも…もしワシらの都大路を目指す戦いが

 アンカー勝負に持ち込まれた時…


 …誰がその責任を負えるんやろうか??



駅伝のアンカー。。

個人的に作者はやりたくありません。


それにしても泉って…

馬券師にでもなった方がいいかも。。

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