044 その一歩を強く踏み出せ
今年の都大路は…
残酷な結末に終わりました。。
『おーいみんな、お茶が入ったで。』
「…」
『おーい、お茶やでぇ。』
「…美味いな。これ、玉露やないか??」
『なんや。…思ったより冷静やん。』
「…」
…ムリもないわな。
都大路のレベルを知っただけでもキツイのに…
あの残酷なシーンを見せられたんやから…
でも駅伝をやる以上は…あれが現実なんやから。
『なんやぁ??都大路を見てビビったんか??』
「いや、でも…あんな残酷な結末を見せられたら…」
『心配せんでええよ。ウチらは失うものがないんや。
どんな負け方でも誰かのせえにはせぇへん。
…それだけは約束するから。』
「けど…」
…さすがにキツイな。
誰かのせいにしないのはチームの当然やけど…
責任を背負い込むのは選手の当然。
こいつら…みんなその自覚があるんやろうな。。
『…わかってる。だからやれることをやろ。。』
「やれることって??」
『…これでもウチはコーチやで。
具体的に指示するから、まずは一歩前に踏み出そ。』
「…まずは一歩前に…か。」
…みなみだけは…いつでも前向きや。
何があろうと変わらない。
進むことしか考えてない。
でも…それやったらワシがとるべき道は…
「よし!!じゃぁワシから指示してくれ!!」
『え、昇から??』
「そうや。ワシは一区やからな。。
一区が走り出さな…後のモンは続けんやろう!?」
『おいおい…大丈夫なんか??』
「…かまわんよ。それより泉はフォローしたってくれ。
みなみの指示を聞いて…経験者の責任として…」
『軌道修正か??…調子ええヤツやな。』
『ウチからも頼むわ…。
泉の知恵がないとどうにもならんから。。』
『難波あんたは…それ以上に調子ええヤツやな。。』
みなみのヤツ…知恵もないくせに無茶しやがる。
…けど今はそれでええと思う。
未熟なコーチやけど誰よりも前向きやから…
こいつが神輿でいる限り…チームは折れんはずやから。
ただその指示は…前を向きすぎているわけで…
『じゃぁ昇は…できるだけ早く5キロ15分を切れ。』
「ああ。それは今までの目標通りやな。」
『次にそのペースで…6キロを走れるようになれ。』
「は…はぁぁ!?」
『それができたら7キロ…その次は8キロ…』
「…●♂Ω▼$♀!??」
『最後にはそのまま10キロ走り切れ!!
あんたは一区を30分ジャストで走り切るんや。
それで今年の区間賞と同じ走りができる!!』
「む…無茶苦茶や!!あとレース展開は無視か!?」
『関係ない!!周囲は無視してマイペースを保て!!
順位なんて何番でも気にすんな!!』
「…気にすんなって…それはムリやろう…」
『大丈夫。ずっと孤独に耐えてきた昇なら…
どんな展開でも自分を保てる!!できるはずや!!』
「……(・.・;)」
…なんちゅう無茶な策略や。。
…人付き合いが苦手でずっと孤独やった苦悩…
それすらも武器にしようというのか??
けどたしかに1区を30分ジャストなら確実に上位。
例年より遅いとはいえ、今年の都大路の区間賞相当。
府大会なら…おそらくトップやろう。。
…たしかにワシはいつも自分だけで精一杯。。
…でも周りを気にしなくていいのなら…
…揺さぶりも駆け引きもする必要がないのなら…
…これは…実現不可能な目標でもないかも。。
『どうや泉??この作戦??』
『…悪くないと思うよ。
前半はタイムと上位を確保するんが重要やから。
これ…天保山なら可能かもな。。』
『じゃぁ…』
『ああ。天保山には一キロ3分を徹底させよう。
それで10キロ行けたら…一区としては文句なしや。』
「……(・.・;)」
…ムチャ言いよるなぁ…
5キロは3分ペースでなんとか行けそうやけど…
その倍の10キロって…あと一年でそこまで行けるか??
けど今のワシは…正直者ではアカン!!
無茶とは知ってても…一歩前を見据えんとアカン。。
「…よし、それで行こう!!」
『ええんか天保山。かなり無茶な目標やぞ。』
「…かまへんよ。ワシがそれぐらいせな勝ち目はない。
何しろワシは花の一区を任されたんやからな。」
『…やっぱり調子のええヤツやな。
まぁでも…とりあえずは信頼したろか。。』
「ああ。やったろうやないか!!」
…正直キツイ。普通に考えれば不可能。。
…けどやらなあかん。
だってワシは信頼をされたんやから…
生まれて初めて…
ワシを頼ってくれる仲間に出会えたんやから。
そんなワシがやらな…他の連中が続かれへん。
ワシと同程度の無茶を全員がやり遂げない限り…
都大路なんて夢のまた夢。
…ならやるしかない。
御託を並べるヒマがあったら自ら範を示すべき…
…正直者ではアカン。
少しでも可能性があるのなら…
…その一歩を…強く踏み出すしなかいんや!!
勝ち負け以前に大事なこと。。
少しだけ学べたのかもしれません。。
あと世羅高校おめでとう。
圧巻のアベック優勝でした。




