親友の思い(4)
43話、未冬視点です。
第1話並み(それ以上?)の短さです。
「これが、水族館…」
「思ったよりもずっと大きいな」
修学旅行2日目、プログラム行動。
バスを降りるや否や、ヤベちゃんの言葉に続けて、朴念仁がそんな感想をこぼす。
…確かに、私達とって水族館っていうのは、近所にあったもっと小さな建物だったし。小学校当時ならともかく、今見ると雲泥の差に感じる。ま、まぁ?中学校に上がった時話題になるくらいだったし、あの水族館が悪いと言いたいわけじゃなくて。とにかく、目の前の水族館は、私の─もっと言うならミユちゃんやユウヤの中にもある水族館像を大きく壊したことになるわけで。
私自身、少し浮足立った状態で、続けてゲートを通過した。
ーーー
キラキラと、幻想的な光の差す水槽。
入場してしばらく、館内を練り歩いた私達は、中でもひときわ大きなアクリル面を前に、思わずその足を止める。
「おぉ」
隣から聞こえる低い声。ふと視線を動かすと、ユウヤの瞳に巨大な魚影が映る。
…うん。前々から知ってはいたけど、こう見るとユウヤって顔立ちが結構整ってるのよね。あのミユちゃんはともかく、どおりで女の子が寄るわけだな、とも。少なくとも、普通にしてれば性格のいいイケメンだし、彼女がいたと言っても驚くことは無いスペックはしてる。むしろ女っ気無かったのが謎なまである。…ちょっと身内贔屓すぎるかな?
ぼんやりと。そんなどうでもいいことを考えて、何気なく周囲に視線を動かす。
何事でも、集団というのは不思議なもので。既に私達幼馴染組、他女性陣といった感じに分断されていたりする。…もう一人男子がいた気がするけど、まぁ見当たらないし気にする必要はないでしょ。
「ミユちゃんミユちゃん」
精一杯の小声。そっと半歩下がって、後ろに立ったミユちゃんと場所を入れ替える。
一瞬困惑した表情の彼女に、私は精一杯のサムズアップをすると、緩む頬のまま2人のことをあとにする。
──これで、合法的にミユちゃんをユウヤと二人きりにできたのだ。
この前の反省も生かして、ちゃんとミユちゃんへのメッセージも伝えたし、我ながら完璧である。
そう。ユウヤやその好きな人がどうであれ、幼馴染である私がやることはいつだって変わらなくて。
私は、親友の恋路を全力でサポートすると決めたのだ。そこに一切の妥協をするつもりもない。
あとは、不確定要素を引き離せれば、ミッションコンプリート。ミユちゃんとユウヤはどう足掻いても2人きりになる…ふふ、我が策略ながら恐ろしい!
弾む足取りで、でもユウヤに気付かれないようにして。パネルを覗く2人にまとわりつく。
さぁ目指すは深海魚コーナー!
しっかり鉢合わせないよう、ミユちゃんの好みと反対へ2名様ご案内!カンペキ!
そもそも高校の修学旅行って何を経験するためのものなんだ、と。物語や人伝の知識しか知らない私はそう思うのです。
中学までなら義務教育的にまだわかるのだけどね…個人的に、青春作品の「紆余曲折」を与えるイベントってイメージしかありませんね。
P.S.某城が燃える前に、沖縄には行ったことがあるのだけど。その時の私は水族館に行っていなかった為、館内の様子は完全に弟の思い出話(+マップ等)からの推測です。なんかおかしかったらまぁ「この世界ではそうなんだなー」とでも思ってください。




