不安に押し潰される日々の始まり
翌日。目が覚めた時はいつもと変わらない朝だった。
出勤の準備をし、いざ着替えようとすると再び恐怖心が襲ってきた。
メモ用紙が付いているかもしれないから確認しなきゃ。
Tシャツを裏返し、振り回し目でもなにも付いていないことを確認する。
そのあとは表にして同じことを繰り返す。
これを何度も行いやっとTシャツを着ることができた。次はジーンズだ。
同じように裏返してはバサバサと振り回し、部屋の物に服かぶつかるとその部分を手で払ってから
また最初から同じことを繰り返す…服を着るだけで15分ほどかかってしまった。
出勤用のリュックを手にするとチャックが閉まっているか何度も引っ張り、指差しをして確認をした。
リュックを上下左右に揺らし、なにも落ちてこないのを確認する。
そのあとは手でリュック全体を触ってなにも付いていないことを自分に言い聞かせた。
大丈夫、大丈夫。
そうしてなんとか家を出ることがてきた。勤務先までは徒歩で10分くらいの距離だった。
この時点で昨日のように歩けないのではと思った。出勤時間が迫っている。
何度も確認したから大丈夫。なにも付いていないし普通に歩ける!
自分にそう言い聞かせたが現実は違った。
数歩歩いては後ろを振り向き石や落ち葉などの確認に戻る。
何度も何度も繰り返し昨日と同じ行動をしてしまった。
なんでこんなに不安なの!?なにも落としてないから大丈夫、前に進もう!!
心の中で叫んでいた。
頭では理解しているのに心と体が言うことを聞かず、何度も戻ってしまう。
どうにか出勤時間前に着くことができて安心した。建物の中にいるのは安心する。
わたしはどうにか一息着くことができた。
けれど本当に辛かったのは退勤時だった。
勤務時間が終わり、帰る支度を始めようとするがまた強い不安が襲ってくる。
自分が触った書類はきちんと片付けたか、パソコンの電源は落としたか。
2〜3回は指差し確認をしていた。それが終わると次は外に出るなら服の確認をしなければ。
当たり前にそう思ってしまっていた。トイレに入り、服を着たままバサバサして、手で払って最後はジャンプをした。それを何度も繰り返し行い、最後は鏡を見て全身になにもついていないことを確認した。
小声で大丈夫、なにもついてないから大丈夫と自分に言い聞かせて。
5分ほどトイレで確認をしてどこにも触れないようにリュックを手にした。
もちろん朝と同じようにリュックの確認をしてから。
帰る準備だけで20分近く経っていた。他にもここに書ききれないほど確認作業があった。
外に出ても職場のドアはきちんと締まっていたか心配になり何度か戻って確かめた。
朝は15分ほどでこれたから帰りもそれぐらいで帰れるだろうと思っていた。
だがそうはうまくいかないものだった。




