検定と学園祭に向けて!
今回は2人が検定に挑みます!
そして合格の為の「おまじない?」とは!?
「本当にごめん!!」
俺、西村咲は両手をすり合わせて謝る。
「い、良いよ……咲君が落ちた方が嫌だもん」
「それに…ちょっと嬉しかったし…」
羽崎さんはにこにこの表情を描いた紙を掲げながらボソッと呟く。
嬉しかったの意味がどんな意味なのか、今の自分には分からなかった。
「と…とりあえず帰ろっか」
「そ、そうだな」
俺達はお互い赤い顔のまま歩き出した。
「今週末は情報処理検定がある。しっかりタイピング練習しとくように」
ホワイトボードの前でおじさんな先生が言う。
「「「はい」」」
合わせるように教室内のシステム科全員が返事をする。
(検定かぁ……ちょっとExcel…特に関数は自信ないな)
俺達が受ける情報処理検定の3級はExcelがメインだ。
そして関数はExcelに指示を出す式みたいな感じだ。
俺はチラッと羽崎さんを見る。
羽崎さんはいつもサクサクとExcelを作成している。
(ちょっと教えて貰おうかな)
~放課後~
(結局聞けてねぇ〜)
あれから聞けずに放課後になってしまった。
異性に聞くとなるとつい聞きにくくなるこの気持ち分かるだろうか?特に最近色々と意識していると尚さらだ。
今日聞くならこれがラストチャンスだ。
俺は勇気を出して聞いてみることにした。
「あのさ…俺Excel苦手でさ、偶に違う関数使っちゃったりするんだけど…羽崎さんはExcelとか上手いから、良かったら教えてくれないかな?」
「いいよ…私の家……寄っていてくれる…かな?」
羽崎さんは嬉しさと恥ずかしさの混ざったような表情で言う。
「あぁ。いいよ」
俺は速攻快諾した。
~羽崎さんの部屋~
俺の目の前にはモニターとマウス、手元にはキーボードがある。そう羽崎さんのパソコンだ。俺は家ではノートパソコンぐらいしか使ったことが無いのもあって変な感じだ。
「えーと、た、多分、咲君は関数がゴチャゴチャになってきちゃうから、違う関数を使っちゃうんじゃないかな?」
羽崎さんは俺の隣に立ちながら言う。
隣に立たれるとドキドキしている自分が居た。
「じゃあ、とりあえずやってみて」
「う、うん」
カタカタカタカタ
俺は開かれているExcelに問題集通りの表を打ち込む。
(あっ違っ…)
「やっぱり似てる関数がこんがらがってる……ちょっと良いかな?」
=sum(C5:C9)
羽崎さんはサクサクと式を打っていく。
ムニッ
羽崎さんの柔らかくて温かい指が俺の手の横で動いていて、勝手に鼓動が速くなる。
スッ
俺と羽崎さんの肩が当たる。
「あっ…ごめん」
俺は反射的に謝る
「い、いや私こそ……」
顔を赤らめている羽崎さんも可愛い。
このあとも俺と羽崎さんの特訓は検定の前日まで続いた。
~検定前日~
「うん。出来てる」
確かに。教えてもらう前より関数を間違う事が殆ど無くなった気がする。
時計を見るともう7時になろうとしていた。
「ヤベッ、帰らないと」
俺は立ち上がる。
すると羽崎さんが何かを言いたそうにしていることに気付く。
「あの……その、よ、良かったら…うちで夕飯…食べていかない?」
「ええっ、えっと…」
突然の誘いに俺は驚く。
ぐぅ〜
体は正直な物でお腹が鳴る。
こうなっては断れるわけが無い。
「食べていきます」
「分かった」
羽崎さんは少し嬉しそうに頷くと部屋を出ていく。
俺も一緒に部屋を出た。
カッカッカッ シャカシャカシャカ
羽崎さんはエプロンを付けると、少しまごつきながらも料理をしている。
俺は邪魔しないようにリビングのソファーに座って待つことにした。
「そう言えば羽崎さんのお母さん達っていつ帰ってくるんだ?」
「えーと、日によってバラバラで、夜に居ない日もあれば、朝に居ない日もあるし、それか一日中居ない日もあるよ」
羽崎さんは少し寂しそうに言う。
「俺も同じようなものだよ、父は殆ど家に居ないし、母もパートとかで居ない方が多いから」
「そうなんだ」
羽崎さんは少し意外そうにしている。
「ま、俺達は本当に似た者同士なのかもな」
『ちょっと嬉しかったし…』
俺はあの日の羽崎さんの言葉を思い出す。
まぁ似た者同士は惹かれ合うとも聞いたことがあるが……まさかな。
「で、出来たよ」
羽崎さんが持っているお皿の上でオムライスが湯気を上げていた。卵が少し破れていたりと手作り感が凄いが……それも羽崎さんらしい気がする。
「美味しそうだな!」
「そ、そう…かな?」
羽崎さんは照れたように顔を赤らめる。
エプロン姿で照れる羽崎さんがまた可愛い。
(そう言えば、羽崎さん、最近俺には凄く色んな表情を見せてくれるよな)
やっぱり声にするのにオドオドするところもあるけど、最初よりは話せるようになったなと思う。かく言う俺もだが。
羽崎さんが座ったのを見て俺は手を合わせる。
「いただきます」
「ど、どうぞ」
パクッ
「美味しい!」
程よく塩味の効いた卵とトマトライスがめちゃくちゃ美味い。
「良かった…」
羽崎さんは凄く嬉しそうにしている。
パクッパクッ
俺はどんどん食べていく。
ツンツン
羽崎さんが俺の肩を指で突く。
「?」
「あ〜ん//」
「!?」
羽崎さんは顔を赤らめながらスプーンを俺の方に差し出していた。
「ちょっ、ちょ…い、良いのかよ」
「良いよ…/ /」
爆発しそうなほど心臓がドキドキしている中、俺は
口を開く。
パクッ
食べさせて貰ったからこそ倍美味しく感じる。
チュッ
「!?」
俺は不意を突かれるように頬に温かさを感じて振り向く。
すると羽崎さんが上目遣いでこちらを見ている。
(今、ふ、不意打ちでキスされた!?)
今度は事故では無く、正真正銘彼女からキスをしてきた。
「あ、明日…検定、二人で合格出来るように…おまじない?みたいな…//」
羽崎さんは照れ隠しのように赤らんだ顔で言う。
「お、おう。明日は二人で頑張ろうな!」
「うん//」
俺は絶対に合格すると心に誓ったのだった。
「バイバイ」
私、羽崎咲花は咲君が見えなくなったのを確認して家に戻る。
「私、なんであんな事したんだろう」
私は夕飯の時の事を思い出す。
咲君に食べさせてあげた後、不意打ちでキスをしたのだ。
シュゥー
恥ずかしさが最大に達して顔が真っ赤になる。
(私、やっぱり咲君の事が…好き)
自分と同じ経験をして、それでも学校に行っていて、私なんかのことも気にかけてくれて……頼ってくれて……咲君の事を尊敬したし、同時に惚れていた自分も居た。
咲君と出会ってから私は寂しいと思う事が減ったように思う。だって彼のことを考えていたら寂しさなんて吹っ飛ぶからだ。
それに咲君の為ならなんでも頑張れる自分が居た。
あのオムライスだって最初は全く作れなかったのに、気付けば何度も練習をして出来るようになっていた。
中学の間一切友達と話すことの無かった私の初恋の相手。
そしてさっき咲君にしたキスは私の初めてのキスでた。
~数時間後~
私は咲君とのトーク画面を開くと打ち込む。
『お互い明日頑張ろうね』
続けてファイト!と文字の入った犬のスタンプを送る。
『おぅ!頑張ろうな』
既読になって直ぐに返事が来る。
私はスマホを切ると枕元に置く。
明日は日曜日だけど、検定だから早めに寝ることにした。
ハァハァ
日曜日の朝、俺は日曜日にもかかわらず学校への坂を登っていた。
そう、検定を受けるためだ。
システム科の検定は各学校(一部を除く)のパソコン室で行われる。
そして入学後初めての検定に俺は緊張していた。
「咲君…おはよう……」
俺の横に立った羽崎さんは珍しく髪をポニーテールにしていた。
(ポニーテールの羽崎さんも可愛いな)
「羽崎さんおはよう」
すると羽崎さんはちょこんと拳を出してくる。
(拳をちょこんと出してくるの可愛すぎるだろ)
俺は羽崎さんの拳に返すようにちょこんと自分の拳を当てる。まるで"何処かの吹奏楽部の部長と副部長"のようだ。
「が、頑張ろう…咲君」
「あぁ頑張ろうな」
俺と羽崎さんはお互いに笑いあう。
「あと髪型似合ってるぞ。珍しいなそう言う髪型するの」
「あ、ありがとう……き、気合を入れて変えてみた…だけだよ」
羽崎さんは照れたように髪を触りながら微笑んだ。
パソコン室に着くともう他のシステム科のみんなも来ていた。
俺達は授業とは違って自由な席に座る。
「それじゃ受験票を机の上に置きなさい」
先生が指示を出す。
俺と羽崎さんはキッチリとキーボードの横に受験票を置く。
ちなみに忘れたやつらは先生に叱られていたのは言うまでもない。
その後は打ち込む表や作るグラフなどの印刷された紙が配られるのと並行して、パソコン画面ではクラウドからExcelのファイルをコピーして学年組名前を書き換えて開く。
「ではまず筆記から、制限時間は20分だ。キッチリ間違わぬように。」
先生がホワイトボードのタイマーをスタートさせる。
ペラッ
あちらこちらからプリントをめくる音がする。
筆記の内容はやはり関数や10進数などだ。
(平均を求めるのは……AVERAGEだな)
羽崎さんに教えてもらった事を思い出しながら回答に丸をする。
筆記はあっという間に終わった。
「次は実技、制限時間は30分だ。始め」
俺達は新しく配られたプリントをめくるとパソコンに目を向ける。
まずは穴埋めだ。表の開いている部分に数字を打ち込む。
(コーヒー豆の2010年の出荷量は……これか)
プリントから見つけて打ち込む。
そして俺が苦手な関数の問題。
(まず合計はsum関数で、平均はAVERAGE……)
#VALUE!
(あれ…えーと)
俺は慌てながらもう一度打ち込む。
(焦るな焦るな……)
隣ではスラスラと羽崎さんが表を完成させていた。
(いけた。次は……)
~30分後~
(グラフのタイトルを表示して……完成だ)
俺は画面から目を離す。
あとは間違ってなければ合格出来るはずだ。
ピピピピッ
タイマーが鳴る。
「では上書き保存して、パソコンをスリープにしたら帰ってくれ」
「「「ありがとうございました」」」
俺らは言われた通りにしてパソコン室を出て、検定は終わった。
~翌週の金曜日~
6時間目はロングホームルームなので担任の先生が教室に来ていた。
「えーと、まずは検定の結果からだ」
「事前に掲示もしていたが、一応読み上げるな」
そう言うと先生は持っていたバインダーに目をやる。
「岡村、今井……」
どんどん読み上げられていきついにその時が来る。
「西村、羽崎、木嶋……」
(よっしゃ!合格出来たー!)
心のなかでガッツポーズをする。
俺は羽崎さんの方を振り向く。
羽崎さんも今までで一番嬉しそうにしている。
(そういや木嶋のやつも合格出来てたみたいだな)
「…以上だ。殆ど合格できたいたんじゃないか。それで合格証書も来てるから呼ばれた順まで前に出て来てくれ」
先生はバインダーから合格証書の束を取り出す。
「次、西村」
「はい」
俺は教卓の横に立つ。
「おめでとう」
先生はそれだけ言うと合格証書を渡す。
「次、羽崎」
「は、ひゃい!」
羽崎さんは緊張のせいか盛大に噛んでいた。
俺は席に戻る。
机に合格証書を置いた。
~数分後~
「よし、呼ばれたものは全員貰ったな」
先生は確認をする。
「「はい」」
「あとこの時間は学園祭の事についても決めなければならないんだ」
「まず、クラスの出し物なんだが、何が良いか班で話し合ってくれ」
ちなみにこのあとの話し合いでは色んな案が出た。
お化け屋敷などまともなのもあれば、メイド喫茶と言い出すやつも居た。まぁ先生が即却下してたが。
結局普通の喫茶店と言うことになった。
「んじゃ、クラスの出し物のはこれでいくとして、もう一つ学年でも出し物をするらしいんだが、開会式後にステージをするらしいんだが、出てくれる女子は居るか?各クラス2人と言われてるんでな」
「ステージって何をするんですか?」
女子が質問をする。
「あぁ、一応アイドルユニット的な、そんな感じらしい。まぁダンスをするだけだがな。1から3組と4から6組で6人のユニットを2つ作る感じらしいが、詳しくは1組の西田先生に聞いてくれ、発案者だからな」
先生はやれやれと言わんばかりに言う。
確かにあのおじさん先生ならやりかねない事だ。
(五●分の花嫁じゃあるまいし)
あのアニメでも学園祭で二女のユニットがダンスをしていたのだ。
「はい」
手を挙げたのはクラスのマドンナ的な女子だ。
(やるのかよ)
俺は心の中で苦笑する。
すると意外すぎる人物が手を挙げた。
「は、ひゃい」
(はは、羽崎さん!?)
周りからも驚きの声が聞こえてくる。
そんな中、羽崎さんは顔を赤らめながらも手を挙げている。
「よし、"中須"と羽崎だな」
先生がバインダーに書き込む。
こうして6時間目が終わった。
~放課後~
俺は羽崎さんと帰っていた。
「二人で合格出来て良かったな」
俺は自分の合格証書を見せる。
「うん!」
羽崎さんは嬉しそうに俺と自分の合格証書を見ている。
「まぁ、合格出来たのは羽崎さんの"おまじない"のおかげだよ」
「あ、あれは……恥ずかしいから忘れて…//」
羽崎さんは恥ずかしそうに両手をバタバタしている。流石に可愛すぎるだろ
「それにしても学園祭のステージに手を挙げるなんて驚いたよ」
「そ、それは……や、やってみたかった…から」
羽崎さんは目線を反らしながら言う。
「そ、それよりもあ、明日とか時間ある?」
羽崎さんからの急な質問に俺は驚くも返事をする。
「あぁ大丈夫だぞ」
と言うか木嶋と何か約束してない限りは毎日暇なのである。
「良かった。だったらせっかく検定を二人で合格出来たんだし、明日くらいは咲君と……色々なことしたい」
羽崎さんは顔を赤らめながら少し含みのある言い方をする。
「まぁ、良いけど。色々なことって、何だよ?」
俺は苦笑しながら言う。
「そ、それは……い、一緒に買い物…とか…//」
羽崎さんは恥ずかしそうにしながら言う。
「そ、それって……で、デートって事か……?」
「は、恥ずかしいから……その言い方は…しないで…//」
どうやら羽崎さんは恥ずかしくてあの言い方をしたらしい。そう言うところも羽崎さんらしくて可愛い。
「ま、まぁ、付き合ってるわけじゃないしデート……ではない……か?」
「そ、そう……かな?」
それから俺達は恥ずかしさでお互い共目を逸らして歩いた。
最後までお読み頂きありがうございます!
今回は検定について書いてみました。
検定の内容は自分が実際に受験した日の事を思い出しながら書きました。ちなみに自分も情報処理検定3級合格しました(笑)次回は早めに更新します!更新を休んでしまいすみませんでした。次回番外編お楽しみに!




