彼女の詩(うた)
出会った時、私は彼に見惚れた。
とても綺麗で、胸が震えた。
婚約者になって、とても嬉しかった。
だけど、彼は違ったみたい。
最初はとても優しくされた。
だけど、学校に入って、彼は色々な人と付き合い、変わっていった。
彼は私を罵る。
確かに私は可愛くない。
大きな眼鏡をかけて、野暮ったい。
どんくさいのも本当だ。
だけど、私は彼女を傷つけていないし、話したこともない。
そう説明したけど信じてくれなかった。
しばらくして、彼女の事実が明らかになった。
彼は頭を地面にこすりつけて、謝った。
そう、彼は謝った。
だけど、私の心は、彼を好きだった心は消えていた。
今は彼のことが大嫌い
反省しているし、可哀そうだと思う。
だけど、私の気持ちは戻ってこない。
彼が私を愛してくれているのはわかる。
だけど、私の心は戻ってこない。
嫌悪感が込み上げてくる。
私を罵った時の彼の醜い顔の記憶、それが彼の美しい顔を上書きする。
顔を見たくなくて、一緒にいると視線を逸らしてしまうことが多くなった。
その先にいるのは大概あの人だった。
優しい人。
私の腹違いの兄。
彼に傷つけられた私を癒してくれた。
兄を見ると安心する。
だから、目が追ってしまう。
隣国との戦争が始まった。
彼は戦場へ旅立った。
兄も一緒だ。
戦いは激しく、けれどもどうにか勝って戦争は終わった。
彼は兄と共に戻ってきた。
けれども彼の片眼は見えなくなっていて、記憶も失っていた。




